老後の賃貸暮らしはきつい?後悔しないための賢い選択と5つの準備

老後の賃貸暮らしはきつい?後悔しないための賢い選択と5つの準備

 

長い人生の中で「衣・食・住」に係る費用は大きな割合を占めます。とりわけ「住」については、住んでいる地域、家族構成、生活スタイル、持ち家か賃貸かで大きく違いが生じます。特に収入が年金などに限られてくる老後においては、家賃の支払いが続くことは大きな負担と不安が伴うことでしょう。

この記事では、老後の賃貸住宅生活における現実と、老後生活に向けての対策について解説していきます。

 

老後の賃貸は「きつい」は本当?現実と対策を解説

老後の賃貸暮らしが「きつい」といわれる主な理由には、収入が年金などに限られても家賃の支払いが続くことや、高齢になると賃貸契約を結びにくくなることなどが挙げられます。また、特に単身世帯では、いざというときに頼れる人がいないことで、経済面だけでなく精神面でも不安を感じやすくなります。

しかし、あらかじめ正しい知識を身につけ、適切な準備をしておくことで、多くの不安を軽減することが可能です。この記事を参考に、安心して老後を迎えるための備えを進めていきましょう。

 

結論:正しい知識と準備があれば「きつい」は乗り越えられる

高齢者が賃貸住宅を借りることが難しい背景には、貸主(大家)側の事情であることが多いです。特に高齢の単身世帯は、家賃の滞納や孤独死といったリスクが発生するため入居を断られる可能性が高くなります。言い換えれば、貸主側のリスクをあらかじめケアしておけば、高齢の単身世帯でも賃貸契約は十分可能です。

具体的な対策としては、家賃保証会社の利用、高齢者見守りサービスの活用、緊急連絡先の確保などがあります。近年は、賃貸契約の際に連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用するケースが主流となっており、高齢者が賃貸住宅を借りる場合も同様です。見守りサービスは警備会社によるセンサー型のものや、緊急通報による駆けつけ型サービス、地域の高齢者見守り支援サービスや管理会社による見守りサービスの利用、ケアマネージャーとの連携などさまざまな方法があります。緊急連絡先の確保としては、子供や兄弟姉妹などの親族が望ましいですが、親族が難しい場合でも、友人や支援団体等で可能な場合もあります。

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、65歳以上の高齢単身世帯のうち借家の割合はおよそ32.2%となっており、単身の高齢者でも賃貸に住むことができている状況が分かります。

 

なぜ「老後の賃貸はきつい」と言われるのか?3つの理由

先述のとおり、老後の賃貸が「きつい」と言われる背景には、貸主側が感じるリスクがあります。

高齢者の賃貸で貸主側が特に気にするのは、大きく3つです。

・家賃を払い続けられるか(収入) 
・何かあった時に対応できる人がいるか(緊急連絡先・保証人) 
・室内で亡くなった場合の発見遅れや残置物の処理(孤独死リスク) 

国土交通省のアンケート(令和4年度)によると、60歳以上の高齢者に対する貸主入居拒否感は約7割という結果が示されています。同資料では拒否感の背景として、主に孤独死、残置物処理、相続関係、家賃滞納、緊急対応困難などが挙げられています。特に高齢単身者では、死亡後の契約解除や家財処理が困難という点が大きな理由とされています。

国土交通省の「高齢者の居住の安定の確保に関する基本方針」では、民間賃貸住宅において、高齢者が入居を断られるなど、円滑な入居が妨げられるケースが多く見られるとされています。このことから、「高齢者の入居拒否」は社会的な課題となっているといえます。

 

【生涯コスト比較】老後は「賃貸」vs「持ち家」どちらが得?

「賃貸」と「持ち家」はどちらが得なのかは悩ましい問題です。ここでは「賃貸」と「持ち家」の生涯コストを比較してみます。(前提条件として65歳~90歳までの25年間、一般的な都市部の中価格帯マンションを想定。)

<老後25年間の総コスト比較(65〜90歳)>

項目 持ち家(分譲マンション) 賃貸マンション
初期状態 住宅ローン完済済み 敷金礼金支払済み
月額住居費

管理費・修繕積立金

月3.5万円×12か月×25年=1,050万円

家賃

月12万円×12か月×25年=3,600万円

固定資産税 年12万円×25年=300万 なし
大規模修繕・設備交換 25年間で300万円 なし
更新料 なし

2年毎 

12万円(家賃1か月分)×12回=144万円

保険料

火災保険料(地震保険込)

年1.7万円×25年=42.5万円

火災保険料

1.5万円(2年毎)×13回=19.5万円

引っ越し費用 なし 1回25万円×3回=75万円
バリアフリー改修費 80万円 制限あり
25年間総額 約1,772万円 約3,840万円

(※費用はあくまでも目安です。社会情勢の変化により上下する可能性があります。)

 

「持ち家」と「賃貸」を比較すると、住宅ローンを完済していれば、「持ち家」の方が高齢期の住居費用は低くなる可能性が高くなります。「賃貸」では高齢になるほど新規契約の難易度が高くなるうえ、将来的に家賃が上昇するリスクもあります。

 

 

(出典)

総務省 「令和5年住宅・土地統計調査」

国土交通省 「高齢者の居住の安定の確保に関する基本方針」

 

老後にあえて「賃貸」を選ぶ4つのメリット

先述したような条件にて老後のコストを比較すると、持ち家の方が有利なようにもみえます。それでは「賃貸」を選ぶと不利なのでしょうか。

賃貸住宅を選んだ場合にも以下のようなメリットがあります。

1. 固定資産税や修繕費の心配から解放される

2. ライフステージの変化に合わせて気軽に住み替えできる

3. 面倒な建物の維持管理は大家さんにおまかせ

4. 子どもに相続トラブルの種を残さない

次項でそれぞれのメリットを詳しく解説していきます。

 

1. 固定資産税や修繕費の心配から解放される

自宅を所有すると、住宅ローン以外にも毎年の固定資産税や、将来の修繕費用を見込んでおく必要があります。所有する不動産の大きさや所在地によって幅はありますが、目安として年間10~15万円程度はかかります。都心部などの土地価格が高いエリアでは、 年間15万~30万円以上も珍しくありません。

修繕費用の例として、戸建住宅では屋根や外壁の塗装を所有者自身が計画的に行う必要があります。一般的に塗装の目安は10~15年ごととされており、費用の目安は外壁塗装が約80万~150万円、屋根塗装が約30万~80万円です。マンションは月々の修繕積立金がありますが、戸建の場合は積み立てておかないといざという時に修繕費を賄えないということも想像されます。また、戸建、マンションのいずれかでもかかるものとしては、給湯器交換(目安:10~15年、20万~50万円)、エアコン交換(目安:10~15年、1台10万~30万円)、トイレ交換(目安:15~20年、15万~40万円)、キッチン交換(目安:20~30年、80万~250万円)、浴室リフォーム(目安:20~30年、80万~200万円)などがあり、25年間では500~1000万程度が必要になると想定されます。

一方、賃貸住宅の場合はこれらの費用が貸主側負担になるため、修繕費用については賃貸住宅の方がメリットは大きいと言えます。

 

2. ライフステージの変化に合わせて気軽に住み替えできる

長い人生の中では、ライフステージの変化によって転居が必要になる可能性があります。例えば、子供が生まれたので広い家に引っ越す、逆に子供が独立したので狭い家に引っ越すなどです。老後においては、足腰が弱くなったので駅近やバリアフリーへの物件へ引っ越す、病院のそばへ引っ越すなどのケースもあります。

転居する際は、持ち家と比べて賃貸物件に住んでいる方が、住み替えに必要な手続きが少なくて済みます。持ち家では、現在の住まいの売却手続きが必要になるほか、新居も持ち家にするのであれば購入手続きが必要です。一方、賃貸物件から賃貸物件への住み替えであれば、手続きは比較的シンプルです。住み替えが比較的容易であるという点はメリットがあると言えるでしょう。

 

3. 面倒な建物の維持管理は大家さんにおまかせ

持ち家(特に一戸建)の場合、古くなった建物の修繕、庭の手入れ、設備のメンテナンスなどのさまざまな管理を自分で行う必要があります。

一方、賃貸物件の場合は、このような作業は貸主や管理会社が対応するため、居住に伴う負担を大きく軽減させることができます。また、建物や設備の修繕費についても、持ち家では原則として所有者が負担します。一方、賃貸では、通常の使用に必要な修繕については貸主側が負担するのが基本です

特に高齢者にとっては、このような管理は身体的な負担もあることから、貸主側で対応してくれることは大きなメリットになります。 

 

4. 子どもに相続トラブルの種を残さない

不動産は現金と違って分けにくいため、相続トラブルの種になりやすい要因です。

例えば、子どもが複数いるものの家は1軒しかなく、誰が相続するかで意見が分かれるケースがあります。また、「売却するか、住み続けるか」で相続人同士が対立することもあります。地方の実家では、買い手が見つからず、管理負担だけが残るケースもあります。特に、共有名義で相続した場合は、トラブルが起こりやすくなります。共有不動産では、次のような問題が生じる可能性があります。

 

・売却したくても単独では売れない

・管理や修繕の費用負担をめぐって揉める

・共有持分だけ第三者に売却され、不動産会社や投資家などが共有者として加わる

 

賃貸住居にしておけばこのような相続トラブルを回避することができるため、生前に不動産を売却して現金で分けられるようにしておくというのも一つです。

 

老後の賃貸暮らしで後悔しないための4つの注意点

老後の賃貸暮らしで後悔しないためにあらかじめ注意しておきたいことは以下の4点です。

1. 生涯続く家賃の支払いという経済的な不安

2. 高齢を理由に入居審査や更新で断られるリスク

3. バリアフリー化など、自宅のように改修できない

4. 持ち家と違い、資産として残らない

これらの注意点への対策については次項で詳しく解説していきます。

 

1. 生涯続く家賃の支払いという経済的な不安

持ち家の場合、住宅ローンの返済が終われば住居関連費用は固定資産税や管理費・修繕積立金等(マンションの場合)に限定されますが、賃貸の場合、家賃の支払いは生涯続きます。例えば家賃が月10万円の場合、20年住んだ場合は2,400万の支払いとなります。

年金収入に占める家賃の適切な割合については、世帯構成、厚生年金を受給しているか、取り崩せる貯蓄があるかなどの条件が異なるため一概には言えません。ただし、老後の資金計画では、一般に手取り年金収入の20~25%程度が無理の少ない水準と考えられています。

ケース①単身者 年金収入 月15万円

        20%…3万円、25%…3.75万、30%…4.5万円

ケース②単身者 年金収入 月22万円

        20%…4.4万円、25%…5.5万、30%…6.6万円

ケース③単身者 年金収入 月30万円

        20%…6万円、25%…7.5万、30%…9万円

現役時代は年収の30%位までが賃料に対する適正範囲と言われていますが、高齢者は医療費・介護費など現役時代にはあまりかからなかった支出が増えるため注意が必要です。収入が限られる中で不意の出費が発生したときに対応できるかという経済的な不安が付きまといます。

 

2. 高齢を理由に入居審査や更新で断られるリスク

高齢者は、「孤独死」「家賃滞納」「認知機能の低下によるトラブル」「残置物の処理」などが懸念されることから、入居を断られるケースがあります。そのため、年齢を重ねるほど選べる物件が少なくなる傾向があります。

高齢者が賃貸住宅を借りられなかった割合を示す全国的な統計は公表されていません。しかし、民間企業が実施した実態調査では、65歳以上の約3~4人に1人が、年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験があると回答しています。さらに、高齢者が入居できる賃貸物件自体も限られており、高齢になってから新たに賃貸住宅を借りることは容易ではないと考えられます。

現在賃貸住宅に住んでいる方は、一般的な普通借家契約であれば、高齢になったことだけを理由に更新を拒否される可能性は低いと言えます。日本では借地借家法により、貸主が契約更新を拒否するには「正当事由」が必要とされているためです。

高齢者の賃貸住宅契約に係るリスクを軽減するためにできる対策としては、次のような点が挙げられます。

・60代のうちに、長く住む予定の物件へ住み替えておく。 

・高齢者の受け入れに積極的な物件を探す。 

・住宅セーフティネット制度に登録された住宅を活用する。 

・見守りサービスや家賃保証サービスを利用する。 

・十分な預貯金の確保や安定した家賃支払い実績を示す。

賃貸住宅を終の棲家として考えている場合は、上記のような対策を取りつつ物件を選ぶと良いでしょう。

 

3. バリアフリー化など、自宅のように改修できない

持ち家と異なり賃貸物件ではバリアフリー化の改修が制限されることがあります。ただし、一律に禁止されるわけではなく、改修内容や契約条件によって異なります。

主な制限は次のとおりです。

・貸主(大家)の承諾が必要・・・手すりの設置、段差の解消、ドアの交換など、建物に変更を加える工事は通常、貸主の承諾が必要です。無断で工事を行うと契約違反になる可能性があります。

・原状回復義務・・・賃貸借契約では、退去時に原状回復が求められることがあります。そのため、退去時に改修部分を元に戻す条件が付く場合があります。 

・建物の構造上の制約・・・耐力壁を撤去する、共用部分にスロープを設置するなど、安全性や建物全体に影響する改修は認められないことがあります。

・管理規約の制限・・・賃貸マンションでは貸主の承諾に加えて管理規約による制限がある場合があるため、管理会社への確認も必ず行いましょう。

建物に手を加える工事には、制限が生じる可能性があります。一方で、工事不要の置き型スロープや突っ張り式の手すり、滑り止めマット、取り外し可能な段差解消プレートなどは、建物を傷つけないため、承諾が不要または得やすい場合があります。ただし、契約内容や管理ルールを事前に確認することが大切です。

貸主と交渉する際のポイントとしては、次のような点を明確にすると承諾を得やすくなると考えられます。

・改修の必要性を具体的に説明する

・建物への影響が小さい工事であることを示す

・費用負担を明確にする

・退去時の取り扱いを話し合う

事前に貸主側とよく話し合い、懸念点に対する明確な対応を示すことで承諾を得やすくなります。大きな改修を行う際は、口頭での承諾で済ませず、承諾書や覚書など書面で内容を残しておくことも大切です。

 

4. 持ち家と違い、資産として残らない

賃貸住宅は、住まいに投じた費用や改修費が自らの資産として蓄積されません。生涯を賃貸住宅で過ごした場合、支払う家賃の総額はどのくらいになるでしょうか。

家賃 月8万の場合、30年総額…2,880万、40年総額…3,840万

   月10万の場合、30年総額…3,600万、40年総額…4,800万

   月12万の場合、30年総額…4,320万、40年総額…5,760万

賃貸住宅では、生涯にわたる住居費の総額は数千万円から場合によっては1億円近くに達することもあります。一方で、その支払いは住宅という資産の取得には直接結び付かず、資産形成の観点では持ち家の方が優れているという見方もできます。

一方で、賃貸住宅はライフステージや健康状態、就業状況の変化に応じて住み替えやすく、「流動性」や「自由度」を重視する人にとっては大きなメリットとなります。住宅を資産形成の手段としてではなく、生活環境として柔軟に利用するという価値観を持つ人々にとっては、賃貸住宅は合理的な選択肢となり得ます。

 

老後の賃貸暮らしに向けた5つの具体的な準備

老後の賃貸暮らしを成功させるために必要な準備を5点紹介します。

1. 老後の収支をシミュレーションし、払える家賃を知る

2. 保証人問題を解決する(保証会社の利用など)

3. 高齢者でも借りやすい賃貸物件の種類を知る

4.安心な物件選びのチェックポイント

5. 入居審査を通過するためのコツ

それぞれについては以下で詳しく解説していきます。

 

準備1:老後の収支をシミュレーションし、払える家賃を知る

老後に無理なく支払える家賃を知るには、「毎月の収支」と「貯蓄が何年持つか」の両方を確認することが重要です。

以下の手順にてシミュレーションを行い、家賃がいくらまでなら無理なく支払えるか確認してみましょう。

ステップ1:毎月の収入を書き出す

ステップ2:毎月の生活費を書き出す(家賃を除く)

ステップ3:毎月の余裕額を計算する(収入合計-支出合計)

      例:年金収入20万-支出合計15万=余裕額5万

ステップ4:貯蓄を活用した場合の家賃を考える

      例:貯蓄額2000万、65歳から95歳まで30年間利用とすると

        2000万÷30年÷12ヶ月=約5.5万円

この場合、年金収入だけで無理なく支払える家賃は5万円まで、貯蓄を

取り崩して賃料に充てた場合は10.5万円までということになります。

■収支シミュレーション表

 

  項目 金額(月額)
ステップ1 年金収入  
  その他収入  
  収入合計  
ステップ2 食費  
  光熱費  
  通信費  
  医療費  
  保険料  
  その他生活費  
  生活費合計(家賃を除く)  
ステップ3 家賃に充てられる金額(収入-支出合計)  
ステップ4 貯蓄額  
  予定余命(年)  
 

毎月取り崩せる金額合計

(貯蓄額÷予定余命÷12)

 
 

無理なく支払える家賃上限

(家賃に充てられる金額+毎月取り崩せる金額合計)

 


 
■家賃設定の目安

老後は医療費や介護費など予想外の支出が増える可能性があるため、計算上の上限まで使い切るのではなく、毎月1~2万円程度の余裕を残して家賃を設定すると、より安定した家計を維持しやすくなります。

 

準備2:保証人問題を解決する(保証会社の利用など)

老後に賃貸住宅を借りる際は、保証人を確保できるかが大きな課題になることがあります。賃貸借契約では、家賃の滞納や原状回復費用などが発生した場合に備えて、貸主は連帯保証人または保証会社による保証を求めるのが一般的です。高齢者の場合は、家賃の支払い能力だけでなく、緊急時の連絡先や見守り体制について確認されることもあります。保証人を頼める親族がいない場合には、解決策として保証会社を利用するケースが増えています。

保証会社とは、入居者が家賃を滞納した場合などに貸主へ立て替え払いを行う会社です。入居者は保証料を支払うことで利用できます。

※保証会社の種類や特徴、費用、利用の大まかな流れは以下の通りです。

保証会社の種類 特徴 初回保証料目安 継続費用の目安 向いている人
信販系保証会社 クレジットカード会社と提携。家賃はカード払いの場合が多い。 家賃の30~100% 年1万円程度または月額賃料の1~2%程度 安定した収入・信用情報がある
独立系保証会社 最も利用物件が多く、幅広い入居者に対応。 家賃の40~100% 年1~2万円程度 一般的な賃貸契約を希望する人
管理会社系保証会社 不動産管理会社のグループ会社が運営。 家賃の30~100% 管理会社の規定による 指定された保証会社を利用する人
公的支援型保証制度 高齢者など住宅確保要配慮者を対象とした制度。 制度による 制度による 高齢者や住宅確保要配慮者


・保証会社の利用の流れ

① 物件を申し込む・・・入居申込書を提出

② 保証会社へ審査申請・・・年金収入や勤務状況などを確認

③ 審査結果・・・通過後、賃貸契約へ進む

④ 保証料を支払う・・・初回保証料を納付

⑤ 入居開始・・・家賃保証が開始される

⑥ 更新・・・更新料や月額保証料を支払う場合がある

 

 

準備3:高齢者でも借りやすい賃貸物件の種類を知る

高齢者が借りやすい住まいには、一般の賃貸住宅だけでなく、高齢者向けの住宅制度を利用した物件があります。それぞれ対象者やサービス内容、費用が異なるため、予算や自分の健康状態に合った住まいを選ぶことが大切です。

高齢者でも利用しやすい賃貸物件の種類と特徴等を以下に示します。

住宅の種類 主な特徴 費用の目安 入居条件 向いている人
UR賃貸住宅 礼金・仲介手数料・更新料が不要、保証人不要(所定の条件あり)。高齢者向け住宅や見守りサービスを備えた物件もある。 家賃のみ(敷金あり) 収入など所定の申込資格を満たすこと 自立した生活ができる人
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) バリアフリー設計。安否確認・生活相談が基本サービス。食事や介護サービスは必要に応じて利用。 家賃5~15万円程度+サービス費・食費 原則60歳以上または要介護・要支援認定者など 将来の生活支援も視野に入れたい人
シルバーハウジング 公営住宅を活用した高齢者向け住宅。生活援助員(LSA)が見守りや相談に対応。 比較的低家賃(所得に応じて決定) 自治体の募集条件・所得条件など 家賃を抑えたい人
高齢者向け優良賃貸住宅 バリアフリー化された民間・公的賃貸住宅。所得に応じて家賃補助がある地域もある。 家賃は地域・物件による 所得・年齢など自治体の条件 安全性と費用のバランスを重視する人


住み替えを検討する際は、現在は自立しているか、将来介護が必要になる可能性が高いかを基準に選ぶと、長く安心して暮らせる住まいを見つけやすくなります。

 

準備4:安心な物件選びのチェックポイント

高齢期の住まい選びでは、「家賃」や「間取り」だけでなく、安全で安心して長く暮らせる環境かどうかを確認することが重要です。周辺環境・室内の安全性・サポート体制の観点で確認すべきポイントを以下に示しますので、内見時や契約前のチェックに活用してみてください。

■物件選びチェックリスト

チェック項目         確認内容       ✓

①周辺環境                □ スーパーやコンビニが徒歩圏内にある                  

                     □ 病院・診療所・薬局が近くにある                     

                     □ 銀行・郵便局・役所へ行きやすい                     

                     □ バス停・駅まで無理なく歩ける                      

                     □ 夜間でも街灯があり、安全に歩ける                    

                     □ 坂道や急な階段が少ない                      

                     □ 洪水・土砂災害などのハザードマップを確認した           

②室内の安全性       □ 室内に段差が少ない                           

                     □ 浴室・トイレに手すりがある、または設置できる           

                     □ 廊下や出入口の幅が十分ある                       

                     □ エレベーターがある(2階以上の場合)               

                     □ 室内が十分に明るく換気しやすい                  

                     □ 緊急通報装置やインターホンが整っている              

                     □ 冬場の寒暖差が少ない設備(断熱性など)がある           

③サポート体制       □ 管理会社や管理人への連絡が取りやすい                 

                     □ 見守りサービスを利用できる                      

                     □ 緊急時の連絡体制が整っている                   

                     □ 宅配ボックスがあり荷物を受け取りやすい                

                     □ 高齢者の入居実績がある                   

                     □ 保証会社や緊急連絡先の条件を確認した               

 

老後の賃貸暮らしはきつい?後悔しないための賢い選択と5つの準備

 

準備5:入居審査を通過するためのコツ

高齢者でも安心して賃貸契約を進めるためのポイント

賃貸住宅の入居審査では、「家賃を継続して支払えるか」「安心して住んでもらえるか」が主な確認事項です。高齢であることだけを理由に審査に通らないわけではなく、支払い能力や緊急時の体制を示すことで、貸主や管理会社の不安を軽減できる場合があります。

・家賃は年金収入に見合った金額を選ぶ・・・最も重視されるのが、家賃を無理なく支払えるかです。一般的には、家賃は月収(年金収入を含む)の30%程度までが目安です。

・家賃の支払い能力を証明する・・・高齢者の場合は、給与収入がなくても安定した年金収入や十分な預貯金があることを示すことが重要です。年金振込通知書や預貯金残高が分かる書類を示すことで具体的な支払い能力を証明できます。

・保証会社を利用する・・・保証会社を利用することで、貸主にとって家賃回収のリスクが軽減されます。

・緊急連絡先を確保する・・・保証人とは別に、緊急連絡先を求められることが一般的です。

・健康状態や生活状況を正直に伝える・・・貸主や管理会社は、万一の際の対応も考慮しています。例えば、定期的に通院している、身の回りのことは自分でできる、見守りサービスの利用予定などを説明すると、不安の軽減につながることがあります。

 

よくある質問

高齢者は賃貸に入居できない?

高齢者でも賃貸物件への入居は可能です。高齢者が賃貸住宅を借りることが難しい理由は、貸主側の事情によることが多いです。特に高齢の単身世帯は、家賃の滞納や孤独死といったリスクが発生するため入居を断られる可能性が高くなります。逆に言うと、貸主側が懸念するリスクにあらかじめ対応しておけば、高齢の単身世帯でも賃貸契約は十分可能です。

 

老後賃貸に住むといくら必要?

世帯構成、居住地等により家賃相場が異なりますが、例えば家賃が月12万円で25年住む場合、賃料3,600万円、更新料144万円程度、火災保険料19.5万円程度、合計3,763万円ほど必要となります。年金など限られた収入と貯蓄額の取り崩しから、生活に支障なく支払える家賃をシミュレーションし、安心して暮らせる物件を選びましょう。

まとめ

本章では老後に賃貸暮らしを選択した場合の不安点を深掘りし、賃貸暮らしのメリットと後悔しないための注意点、賃貸暮らしをする場合に向けた具体的な準備事項、物件を選ぶ際のポイントなどを解説しました。老後になってから様々な準備をしようとしても、収入面や健康面などが原因で思うようにいかず途方に暮れてしまうということにならないよう、老後の生活を具体的にシミュレーションして準備をしておくことが、豊かな老後を送るための第一歩です。まだ先のことと思わずに、余裕をもって準備をしましょう。

監修者

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「不動産と金融のコラム」編集部

執筆者   編集部 部長
保有資格  貸金業務取扱主任者
所属    株式会社アサックス

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