住宅ローン返済中でも賃貸に出すことはできるのか?リスクや注意点を解説

住宅ローン返済中でも賃貸に出すことはできるのか?リスクや注意点を解説

 

住宅ローンとは、自宅として戸建住宅やマンションを購入するときに利用できるローンです。原則として住宅ローンを利用している不動産を賃貸に出すことはできません。金融機関の承諾なしに貸し出すことは契約違反となり、一括返済を求められるリスクがあります。やむを得ない事情がある場合、金融機関の承諾を得ることで賃貸が可能なケースも存在しますのでその事例、賃貸に出すときのポイント、賃貸以外の選択肢などを説明いたします。

 

 

 住宅ローン返済中の賃貸は原則契約違反

住宅ローン返済中の家を賃貸に出すのは、原則として契約違反になるケースが多いです。

住宅ローン(いわゆる「居住用ローン」)は、「本人または家族が住むこと」を前提に低金利で貸し出されています。

そのため、第三者に賃貸する、自分が住んでいない状態が続く といった場合、契約条件違反(用途違反)と判断される可能性があります。

 

無断で賃貸した場合のペナルティ

住宅ローンを利用中に無断で賃貸した場合は金融機関より下記のような対応をされることがあります。

1. 一括返済請求

契約違反が重大と判断されると発生します。

<起きやすいケース>

最初から住む意思がなかった。長期間・継続的に賃貸している。 銀行の確認に対して虚偽説明。改善指示を無視したなど。 

 

この場合「期限の利益喪失」と判断され、残債の一括返済請求を受けることがあります。

 

2. 高金利ローンへの変更

住宅ローンは自分が住む前提で金利が優遇されているので、無断で賃貸に出すと投資用ローン扱いへ変更されることがあります。その場合には 金利が大幅上昇(例:0.6% → 2〜4%台)し、毎月返済額が増加になります。

 

3. 刑事告訴

無断賃貸だけでは刑事事件にはならないが以下に該当すると、詐欺罪として金融機関が刑事告訴する可能性があります。

・最初から投資目的で購入する予定だったが「居住する」と偽ってローンを申し込んだ 

・居住実態を偽装(住民票だけ移す等) 

・書類や申告内容に虚偽 

 

個人の信用情報に登録されるものではありませんが、取引していた金融機関からの信頼を喪失してしまう行為のため注意が必要です。

 

賃貸に出したことが金融機関に発覚する理由

金融機関に「物件を賃貸に出している」と発覚するのは、次のようなルートがあります。

 

1. 住所・郵便物のズレ

ローン契約時は「自己居住」が前提。購入後に住民票を移し、郵送物が届かない。

 

2. 確定申告・税務情報

家賃収入がある場合、通常は確定申告を行う必要あり。 金融機関は直接税務情報を見るわけではないですが、融資の再審査・追加借入の相談時に提出する書類で発覚します。 

 

3. 管理会社・保険からの情報

賃貸に出すと管理会社との契約。火災保険の契約内容変更(居住用から賃貸用)が発生します。 これらがローン契約内容と相違があると、調査時に判明することがあります 

 

4. 金融機関の定期チェック

一部の金融機関では担保物件の状況確認として、書面や現地確認を行うことがあります。 

金融機関による現地確認の際に、郵便受けの状況や居住実態などから賃貸利用が判明する場合があります。

 

5. 新規ローン・借り換え時

収入証明の内容、物件状況を細かく見られるため、ほぼ確実に発覚します 

 

 住宅ローン返済中でも賃貸できるケースとは

住宅ローン返済中でも絶対に賃貸NGというわけではありません。
ただし原則は自己居住用なので、例外的に認められるケースに限られます。現実的に認められやすいパターンは次の通りです。

 

1.転勤で一時的に不在になるケース

2.介護などのやむを得ない事情があるケース

3.賃貸併用住宅に変更するケース

 

次条以下で詳しく説明いたします

 

転勤で一時的に不在になるケース

多くの住宅ローンは「自己居住用(自分が住むため)」が前提ですが、以下のような事情があれば例外的に賃貸が認められる場合があります。

 

<認められやすい条件>

・会社都合の転勤 

・一時的(数年以内など)な移動で戻る予定がある 

・空き家にしておくと管理が難しい 

 

⇒このような場合は事前に金融機関へ相談・承認を得ることが必須です。

① 金融機関に申請して「例外承認」をもらう

転勤証明書などを提出 ・・・「一定期間のみ賃貸可」となるケースが多い 

 

② 条件付きで賃貸

金融機関によっては以下の条件が付くことがあります:期間限定(例:2~5年以内) 

定期借家契約にする(期間満了で確実に戻れるように) 

 

介護などのやむを得ない事情があるケース

住宅ローン返済中でも、介護などのやむを得ない事情がある場合は、転勤と同様に例外的に賃貸が認められる可能性があります。但し、これも金融機関の承認が前提になります。

 

住宅ローンは本来「自己居住用」ですが、以下のような時は「やむを得ない事情」として扱われやすいです。

①    親や家族の介護が必要になり同居・近居が必要 

②    介護施設への入居に伴い自宅が空く 

③    長期間の通院・療養で住めなくなる 

 

<認められやすい条件>

・一時的な不在(戻る可能性がある) 

・事情が客観的に証明できる
(例:診断書、要介護認定、施設入所証明など) 

・空き家にしておくと管理が難しい 

 

⇒このような場合は事前に金融機関へ相談・承認を得ることが必須です。

① 金融機関へ事前相談(最重要)

「介護のため住めなくなった」こと説明し必要書類を提出。一定期間の賃貸許可を申請。

 

② 条件付きで賃貸になることが多い

よくある条件:期間限定(例:2〜5年) 

定期借家契約の利用(戻れるように) 

 

③ ケースによっては条件変更もある

長期化すると「投資用ローン」扱いに変更され 金利上昇や条件見直しの可能性あり 

 

賃貸併用住宅に変更するケース

自己居住用の住宅を賃貸併用住宅へリフォームする場合、現在の住宅ローンをそのまま利用継続できるとは限らないため、事前の手続き重要です。

 

<手続きの流れ>

① 金融機関へ事前相談(最重要)

一部を賃貸にしたいこと、リフォーム概要を説明。この時点でOKの方向か条件変更が必要か判断されます。 

 

② リフォーム計画の提出

工事内容・見積書、間取り図(変更前・変更後)、賃貸部分の面積・割合、想定家賃などが求められます。

 

③ 審査

金融機関は次のことを重要視します。

自己居住割合(50%以上が目安)。返済能力(家賃込みで見る場合もあり)。 賃貸の合理性(無理な計画でないか)。 

 

④ 承認後の手続き

(パターンA)住宅ローンはそのまま継続し諸条件の軽微な変更 

(パターンB)一部を事業用扱いとし金利の引き上げ

(パターンC)投資用ローンへ変更、再審査・再契約(賃貸割合が大きい場合に多い)

 

⑤ リフォーム実施

承認前に工事開始はNG

 

 住宅ローン付き物件を賃貸に出す際のポイント

住宅ローン付き物件を賃貸に出す場合は、金融機関の承認→募集→契約→引渡しという順番を守ることが非常に重要です。実務で失敗しないために「相談から賃貸開始までの流れ」を、現実的な動きに沿ってまとめます。

 

<全体の流れ>

事前準備 ⇒金融機関へ相談・承認取得 ⇒管理会社・募集条件の決定⇒入居者募集⇒ 

賃貸契約締結 ⇒賃貸開始

 

トラブルを避けるための次の3つのポイントを次条以下で詳しく説明いたします。

①    金融機関への相談から承認までの手順

②    投資用ローンへ借り換える方法

③    信頼できる賃貸管理会社の選び方

 

金融機関への相談から承認までの手順

<全体の流れ>

事前準備(事情整理・資料用意)⇒ 金融機関へ相談⇒ 必要書類の提出 ⇒審査・条件提示 ⇒承認(または条件付き許可)⇒賃貸開始 

 

① 事前準備

まずは「なぜ貸すのか」を整理します。

⇒ポイント 理由:転勤・介護・療養、期間:いつまで賃貸するか、戻る予定の有無、空き家にするリスク(管理・防犯)など「一時的でやむを得ない」ことが重要

⇒用意しておくと良い資料 転勤辞令・介護証明・診断書、ローン返済予定表、 想定家賃(周辺相場) 

 

② 金融機関へ事前相談

⇒ポイント 正直に事情を説明、「戻る前提」で話す、収支(家賃で返済可能か)も説明 

 

③ 必要書類の提出

金融機関から求められることが多い書類:理由を証明する書類(転勤・介護など)、賃貸予定の概要(家賃・期間)、賃貸契約書案(または条件)、本人の収入状況 

 

④ 審査

金融機関のチェックポイント:本当にやむを得ない事情か、一時的か(戻る意思があるか)、返済に問題が出ないか、投資目的ではないか 

 

⑤ 承認パターン

承認はだいたい次の3つに分かれます

条件付きで賃貸:期間限定(例:2〜5年)、定期借家契約、 状況報告義務あり 

条件変更あり:金利引き上げ、投資用ローンへ切り替え

不承認:理由が弱い、長期・戻る予定なし、投資目的と判断 

 

⑥ 承認後に行うこと

承認を得たら初めて賃貸へ進みます。

⇒実務面のポイント:定期借家契約にする(戻れるように)、管理会社を入れる、 保険内容の見直し(賃貸対応) 

 

投資用ローンへ借り換える方法

住宅ローン付き物件を賃貸に出す場合、長期的に貸す・戻る予定がないと判断されると、金融機関から投資用ローンへの借り換えを求められることがあります。ここでは、その現実的な進め方と注意点を整理します。

 

<なぜ投資用ローンへの借り換えが必要なのか>

住宅ローンは「自分が住む前提」で低金利です。
そのため、「長期間賃貸に出す、自分が戻る予定がない」という状態になると契約違反状態に近くなるため、条件変更が必要になります。

 

⇒借り換えの基本パターン

① 同じ金融機関で条件変更

住宅ローン → 投資用ローンへ切り替え

② 他の金融機関へ借り換え

投資用ローンを新規で組み今の住宅ローンを完済 

<金利・条件の違い>

項目 住宅ローン 投資用ローン
金利 低い 高い(+1~3%程度)
審査 個人中心 収益+資産価値
目的 居住 投資

借り換えのメリット:

正式に賃貸運用できる(リスク回避)、長期賃貸が可能、 心理的に安心 

借り換えのデメリット:

金利上昇・返済額アップ、諸費用(登記・手数料)がかかる

 

信頼できる賃貸管理会社の選び方

賃貸募集の主な方法として仲介会社と管理会社に依頼する方法があります。

 

仲介会社に依頼(媒介契約):

①一般媒介契約:複数の不動産会社へ同時に募集を依頼する方法。情報の拡散力が高く、多くの人の目に留まりやすい。

②専任媒介契約:1社のみに募集を依頼する方法。丁寧なサポートや、定期的な活動報告を受けられる。

管理会社に一任(管理委託・代理契約):

建物管理をしている会社に募集も任せる方法。入居者選定や契約手続きを代理で行ってくれるため、オーナーの手間が少ない。

 

ここでは、管理会社に一任する場合のポイントを整理します。

なぜ管理会社が重要か?

・家賃回収・入居者対応を代行してもらえる(手間がかからない) 

・空室期間の短縮につながる 

・トラブル対応(騒音・滞納など) 

 

信頼できる管理会社の選び方

① 入居者を付ける力

自社で客付けできるか(仲介力)、ポータル掲載の質(写真・説明)、周辺エリアの実績 

 

② 管理実績と専門性

管理戸数(多すぎても放置されるリスクあり) 、同じエリア・同タイプ物件の経験、分譲マンションの賃貸管理経験 

 

③ 管理内容の透明性

管理費(通常3〜5%前後)、業務範囲(何が別料金か)、修繕対応のルール 

 

④ 入居者審査の厳しさ

保証会社の利用、審査基準(収入・職業など)、トラブル履歴のチェック 

 

⑤ 定期借家契約への対応

定期借家に対応しているか、再契約や退去調整の実務経験 

 

⑥ 担当者の質

レスポンスが早い、デメリットも説明する、数字(家賃・空室期間)を具体的に話す 

 

<避けた方がいい会社の特徴>

家賃を相場より不自然に高く設定、「すぐ決まります」と話すが根拠なし、管理費が安すぎる(放置の可能性)、修繕費の説明が曖昧 

 

<管理形態の選び方>

一般管理:家賃の数%で委託、自由度が高い

 

サブリース:不動産会社がオーナーから物件を丸ごと借り上げ、入居者に転貸する(又貸しする)仕組みです。

家賃保証あり。ただし、家賃引き下げリスク。契約解除制限

※実務的な選び方(失敗しない手順)

2〜3社に査定依頼し家賃・条件を比較。担当者の説明を比較する

 

 賃貸以外の選択肢も検討しよう

住宅ローン返済中の不動産は賃貸に出す以外にも「売却するか」「空き家として維持するか」という選択肢もあります。それぞれのメリット・デメリットを整理します。

 

① 売却する場合

メリット:ローンを一括返済できる(売却代金で残債を減らせる)、状況により余剰資金が生まれ次の住まいや投資に回せる、維持費が不要になる、 空き家リスク(老朽化、倒壊、防犯)を回避できる 

 

デメリット:売却価格 < ローン残高だと差額を自己資金で補填、売却コストがかかる( 仲介手数料、登記費用など)、心理的負担(思い入れのある家を手放す) 

 

② 空き家として維持する場合

メリット:将来の選択肢を残せる、立地によっては値上がりの可能性、売却タイミングを選べる(市況が良い時まで待てる) 

デメリット:維持コストがかかる(固定資産税・修繕費・ 清掃などの管理費) 

住宅ローン返済は続く、劣化により資産価値低下、空き家リスク(不法侵入、放火、倒壊 

税制リスク) 

 

売却して現金化する

住宅ローン付き物件を「賃貸に出すか・売却するか」判断するうえで、ローン残債と想定売却価格の把握は最優先の基礎作業です。

 

① ローン残債の確認方法

・返済予定表(償還表)

・ネットバンキング・会員ページ(借入先金融機関のWEBサービス) 

・金融機関へ直接問い合わせ

 

② 想定売却価格の確認方法

・不動産会社に査定依頼 1社だけでなく2〜3社に依頼(無料査定が基本) 

・相場サイトで調べる 「SUUMO」や 「HOME'S」など 

 

③ 諸費用を考慮し手取り予想金額を考える

 

(手取り計算)

手取り = 売却価格 − ローン残債 − 諸費用

主な諸費用:仲介手数料(売買価格×約3%+6万円+税)、土地測量費、抵当権抹消費用 

 

空き家として維持管理する

住宅ローン付き物件を賃貸に出さず、空き家として管理する場合は、税金・管理コストが負担になることがあります。実務的に押さえておくべきポイントを整理します。

 

① 固定資産税・都市計画税:空き家にしても課税は継続します。

② 管理コスト

空き家を維持するには以下の費用が必要です。

主な費用:清掃・除草、建物点検・メンテナンス、火災保険、光熱費 

③ 空き家管理で注意すべきリスク

老朽化による資産価値下落、定期的な換気・点検が必須、損害・事故リスク、火災・水漏れ・盗難など、特定空き家認定のリスク 行政指導 → 固定資産税増額・罰金の可能性 

 

※特定空き家とは、倒壊の危険、衛生上の有害、著しい景観損壊など、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすため放置が不適切な空き家を指します。

 

 まとめ

本章では住宅ローン返済中でも賃貸に出せるか、その際のリスクや注意点、賃貸以外での方法及びその際の注意点などを説明してきました。

住宅ローン返済中の物件を賃貸に出す際は、金融機関への事前相談が重要です。状況によっては借り換えや売却、空き家管理などさまざまな選択肢があるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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