金利から利息(利子)を計算するには?計算方法から金利・利息に関する注意点まで解説!

金利から利息(利子)を計算するには?計算方法から金利・利息に関する注意点まで解説!

 

金融機関から借り入れすると、「金利」「利息」「利子」といった用語がでてきます。どれも似たような意味を持っていますが、厳密に言うと違いがあります。今回は、それぞれの用語の意味や計算方法、注意点などを解説していきます。

  そもそも金利とはなにか?  

金利とは、借入金額に対する利息の割合のことを指します。一般的に金利は1年単位で表記されるため、年利や年率とも呼ばれています。(稀に1日単位の日歩や1ヶ月単位の月利で表記されていることもありますので、ご注意ください。)

 

金利の上限については、どのような金融機関から借り入れする場合でも、利息制限法が適用されます。利息制限法第一条には、下記の様に3段階の借入元金に応じて上限金利を設け、超過部分は無効とすることが定められています。

 

<利息制限法第一条>
金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合  年二割(年20%)
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合  年一割八分(年18%)
三 元本の額が百万円以上の場合  年一割五分(年15%)

 

また、住宅ローンの比較サイトやクレジットカードなどの金利が書いてある部分に、「実質年率」や「実質金利」(以下「実質年率」といいます。)という用語の記載があります。これは、金利以外に支払った手数料や保証料などを利息とみなし、借入金利と合算して年率換算した金利です。その根拠は、利息制限法第三条となります。

 

  <利息制限法第三条>
前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りではない。

 

したがって、実質年率が上限金利を超えた場合、超過部分は無効となります。また、同一の債権者から2つ以上の借り入れがある場合の上限金利は、合算した借入金額によって決まりますので、知っておくとよいでしょう(利息制限法第五条)。

  利子と利息の違いとは?  

借入金額に対して金利をかけた金額を「利子」や「利息」と言いますが、意味合いは同じです。どちらの用語も広く使われており、一般的には債務者と債権者の立場によって使い分けがされています。

 

「利子」は主に債務者に使われている用語です。「利子を支払う」という使い方をされるように、債務者側が融資を受けた際に支払う対価が利子と呼ばれています。
「利息」は主に債権者に使われている用語です。「利息を受け取る」などのように、債権者側が融資をした際に受け取る対価を利息と呼んでいます。

 

銀行に預金をしている場合、預金者は「利息」を受け取ります。銀行預金は預金債権であり、債権者は預金者、債務者は銀行です。したがって、債権者である預金者は「利息」という用語を使います。一方、ゆうちょ銀行や国債の場合には、預金者や国債の購入者は「利子」を受け取ると言います。同じ債権者であるにもかかわらず「利子」という用語が使われている正確な理由はわかりませんが、相手が国家であるため特別な使い分けがされているのではないかと思われます。

 

また、法律によっても使い分けがされています。利息制限法では「利息」が使われ、所得税法では「利子」が使われています。利息制限法は主に民間の債権者に対して規制をする法律であり、所得税法は国家の税金を定めた法律であるため、使い分けがされているのかもしれません。

  金利と利息の計算方法は  

利息の計算には、借入金額と金利のほかに、返済するまでの日数がかかわってきます。毎月の利息を計算する場合には、月によって日数が異なることを考慮する必要があり、支払う利息の総額を計算する場合には、借入日から完済日までの日数を把握しなければなりません。ここでは金利の確認方法と利息の計算方法を解説します。

金利の確認方法
銀行の場合、住宅ローンやカードローンなどの個人向け商品と、法人や個人事業主を対象とした事業性資金で金利の確認方法が異なります。

 

個人向け商品の場合には、各銀行のホームページに〇%~〇%と記載されているため、下限金利と上限金利が把握できます。実際に適用される金利は審査によって決まりますが、カードローンの場合には借入金額によって適用金利が変わることもありますので、細かく確認することをお勧めします。また、住宅ローンの比較サイトを見ると、住宅ローンの金利の他に実質年率が記載されていることがあります。前述の利息制限法第三条に定められている事務手数料や保証料などがみなし利息に該当するため、その費用等も含めた金利を比較サイトが計算して記載しています。実際に負担する利息相当額は実質年率であるため、表面金利とともに比較するようにしましょう。

 

一方、事業性資金の場合にはホームページに記載がありません。したがって、融資担当者に相談する際におおよその感触を確認する必要があります。審査事項のため担当者に決定権限はありませんが、目安となる金利の幅は教えてくれる可能性があります。どうしても確認できない場合には、希望の金利を伝えておくようにしましょう。

 

ノンバンクの場合には、貸金業法で金利と実質年率の掲示が義務付けられているため、ホームページに記載されています。金利は〇%~〇%と記載されており、実質年率は利息制限法第一条の上限金利以下という記載があります(実質年率:年15.00%以下など)。銀行の場合と同様に、金利の目安については融資担当者に確認することができます。実質年率については、利息制限法の定めを超過しないという意味で記載されているため、実際にどの程度になるかは融資条件次第となります。

 

実質年率の厳密な計算方法を説明すると長文となりわかりづらいため、目安を確認できる簡易な計算方法をご紹介します。あくまで簡易な計算方法であり、厳密な計算方法ではないことはご理解ください。

 

実質年率の簡易な計算方法
金利が4%、手数料が1%を前提とした場合、契約期間によって変わります。

 

「契約期間が1年だった場合」…金利4%+「手数料1%÷1年」=5%
「契約期間が2年だった場合」…金利4%+「手数料1%÷2年」=4.5%
「契約期間が5年だった場合」…金利4%+「手数料1%÷5年」=4.2%

 

上記のとおり、手数料を年率換算して金利に加えたものであるため、契約期間が長期になるほど実質年率は低くなります。低金利であったとしても、手数料が高く契約期間が短期になると実質年率が高くなることは知っておいた方がよいでしょう。

 

利息の計算方法
金利は1年単位で表記されますが、利息を計算する時は日割り計算することが一般的です。金利は毎月決められた日に支払うものであり、月によって日数が異なるため、一日当たりの金額を計算することとなります。具体的な計算式は下記のとおりです。

 

借入金額(残高)× 金利 ÷ 365日 × 借入日数 = 利息
(閏年の場合には366日で割ることになります。)

 

具体的に計算してみましょう。

 

借入金額が1,000万円、金利4%だった場合の1ヶ月分の利息
1ヶ月が31日:1,000万円×4%÷365日×31日=33,972円(小数点以下切り捨て)
1ヶ月が30日:1,000万円×4%÷365日×30日=32,876円(小数点以下切り捨て)
1ヶ月が28日:1,000万円×4%÷365日×28日=30,684円(小数点以下切り捨て)

 

借入金額が600万円、金利5.8%だった場合の借入期間ごとの利息
借入期間31日:600万円×5.8%÷365×31日=29,556円(小数点以下切り捨て)
借入期間100日:600万円×5.8%÷365×100日=95,342円(小数点以下切り捨て)

 

このように、毎月の利息金額だけではなく、借入期間に応じた利息金額を計算することもできます。返済計画を立てる中で、どの程度の期間で返済できるかを考え、それに応じて必要となる利息金額をシミュレーションするようにしましょう。ただし、借入期間中に元金を一部返済した場合には、残元金に対して利息がかかるため、当初のシミュレーションよりも利息負担を軽減することができます。ほとんどの金融機関のホームページ内に返済シミュレーションをすることができるページが設けられているため、活用してみてください。

  金利・利息に関する注意点とは?  

実際に借り入れする場合の注意点を3点ご紹介します。

 

適法な金利かを確認する
前述のとおり、利息制限法では借入金額によって異なる上限金利が定められており、上限金利を超えた部分については無効となります。仮に上限金利を超えた契約であることを事前に把握していたとしても支払う義務はありませんが、そのような金利を提示する会社とは契約をしないことが賢明です。まずは、法に定められた上限金利以下であるかを確認するようにしましょう。

 

また、支払いが遅れてしまった際に発生する遅延損害金についても注意が必要です。遅延損害金について、利息制限法第四条では上限金利の1.46倍(15%の場合は21.9%)を超える場合は無効とされ、出資法では上限金利が20%と定められています。利息制限法の上限金利を超えた場合は無効であり行政処分の対象となりますが、出資法の上限金利を超えた場合は刑事罰の対象となります。したがって、実質的には遅延損害金の上限は20%となっています。この点も事前に確認するようにしてください。

 

返済計画を立てる際の金利の考え方
実際に適用される金利は事前に把握することができないため、返済計画を立てる際には金利を高めに見積もっておくことをお勧めします。なぜなら、それよりも悪い金利条件にはならないからです。高い金利を前提とした返済計画を立てれば、少しでも金利が低くなれば余裕ができることになります。借入れするのは現在ですが、返済は将来にわたって行うため、余裕を持つことは非常に重要なことです。

 

返済計画の具体的な立て方をご紹介します。
住宅ローンやノンバンクなどのホームページに金利が〇%~〇%と記載されている場合は高い方を、銀行の事業性資金の場合には担当者に聞いた金利幅の高い方を採用します。ここでポイントとなるのが返済期間と毎月の返済金額です。

 

誰しもが借金は早く返したいと考えるものですが、返済期間を短くすると毎月の返済金額は増えるため、無理が生じてしまうことがあります。借り入れは、毎月の返済金額が確保できれば、延滞になることはありません。したがって、毎月の返済金額をベースとして必要となる返済期間を導き出す方法であれば、余裕を持った返済計画を立てることができます。

 

その条件に合った融資をしてくれる金融機関を選べば、安心して返済することができるでしょう。

 

借り入れごとに金額、金利、返済金額を把握する
そんな当たり前のことを、と思う方も多いでしょう。しかし、複数の金融機関から借り入れをしている場合、毎月の返済金額のことで頭がいっぱいになり借入金額や金利を把握していないことがあります。

 

カードローンは、借入限度額の範囲内で借り入れと返済を繰り返すことができるため、気がついた時には想像以上の借入金額になっていることがあります。ショッピングなどでリボ払いを使う場合も同様です。リボ払いは毎月一定の金額を返済する商品ですが、返済金額を抑えるために低い金額を選択すると、返済金額の内訳がほぼ利息となります。そのため借入金額がなかなか減らず、複数のリボ払いを行っていると想像以上に借り入れが膨らんでいることがあります。そのような場合には、銀行が提供しているおまとめローンなどを活用して抜本的に見直してみるのも良いかもしれません。

 

また、銀行からの融資を複数受けている場合も同様です。低金利ではあるものの、借入残高に対して返済金額が多くなっていることがあります。返済金額が多いと運転資金に余裕がなくなり、新たな借り入れが必要になります。そもそも資金が必要なのは、返済負担が重いことが理由なのであれば、長期間での返済ができる不動産担保ローンなどを活用して、毎月の返済金額を減らすことを検討してみても良いでしょう。

  返済方法によって利息が変わる  

一般的な返済方法は、元金を一括で返済する「元金一括返済」と元金を分割して返済する「元利均等返済」「元金均等返済」があります。それぞれの違いは、毎月の返済金額と支払う利息総額です。具体的に説明しましょう。

 

元金一括返済
契約期間中の支払いは利息のみとし、元金は最終返済期日に一括して返済する方法です。元金が全く減らないため、毎月の返済金額は低く、支払う利息総額は多くなります。具体的に計算してみましょう。

<借入金額1,000万円、金利5%だった場合>
(毎月の返済金額)
1ヶ月が31日:1,000万円×5%÷365日×31日=42,465円(小数点以下切り捨て)
1ヶ月が30日:1,000万円×5%÷365日×30日=41,095円(小数点以下切り捨て)
1ヶ月が28日:1,000万円×5%÷365日×28日=38,356円(小数点以下切り捨て)
(利息総額)
返済期間1年:1,000万円×5%×1年=500,000円
返済期間3年:1,000万円×5%×3年=1,500,000円

 

※実際には日割り計算されます。1年は、31日が7回、30日が4回、28日が1回であるため、返済期間1年の場合には毎月の返済金額を該当回数分合計した499,991円ですが、説明を簡素化するために年間計算しております。

 

元金一括返済は、毎月の返済金額を抑えたい場合や将来まとまった入金がある場合に向いています。例えば、「2年後に退職金が入る」「1年後に定期預金の満期がくる」「不動産や株式を売却する予定がある」などです。また、繰り上げ返済ができるかもポイントになります。金融機関によっては繰り上げ返済を認めていなかったり、手数料がかかることがあります。繰り上げ返済をすることができれば、返済した元金分の利息はかからないため、毎月の返済金額を抑えられるメリットを最大限享受することができます。

 

元利均等返済、元金均等返済
元利均等返済は毎月返済する元金と利息の合計額を一定にしたものであり、元金均等返済は毎月返済する元金のみを一定としたものです。元金一括返済よりも毎月の返済金額は増えますが、支払う利息総額は低くなります。毎月の返済金額の順番は「元金一括返済<元利均等返済<元金均等返済」となり、利息総額は「元金一括返済>元利均等返済>元金均等返済」の順となります。

 

元利均等返済の具体的な計算は複雑ですのでローン電卓で算出しています。シミュレーションツールを利用することで誰でも計算できますので是非ご利用ください。

 

<借入金額1,000万円、金利5%、元利均等返済だった場合>
(毎月の返済金額)
返済期間1年:856,074円
返済期間3年:299,708円
(利息総額)
返済期間1年:272,897円
返済期間3年:789,522円

元金均等返済は、借入金額を返済回数で割って返済元金を固定し、利息は減少していく元金に対してかけられます。したがって、初回が最も返済金額が多く、2回目以降は返済金額が減っていきます。

 

<借入金額1,000万円、金利5%、元金均等返済だった場合>
(返済期間1年、初回、6回目、12回目の返済金額)
初回:874,999円、6回目:854,166円、12回目:836,808円
(返済期間3年、初回、12回目、36回目の返済金額)
初回:319,444円、12回目:306,712円、36回目:278,935円
(利息総額)
返済期間1年:270,833円
返済期間3年:770,833円

 

どの返済方法も一長一短であり、返済金額と利息総額のどちらを重視するかは人それぞれです。元金一括返済でも、元利均等返済や元金均等返済と同じ金額を返済すれば、同様の効果を生むことができます。
どうすべきか迷う場合には、金融機関担当者に相談してみましょう。

  まとめ  

金利や利息についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
金融機関に支払う利息は、融資を受ける側にとってはコストであるため、金利がどの程度になるのかは誰しもが気になるところです。また、返済方法や返済期間によって毎月の返済金額や支払う利息総額も変わってきます。融資を受ける際に、融資条件として何を重視するかを考え、金利や返済方法、返済期間について様々なシミュレーションをすることが大切です。今回のコラムをご覧いただき、理解を深めていただければ幸いです。

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