住宅ローンが払えないとどうなる?解決策と対処法を解説

住宅ローンが払えないとどうなる?解決策と対処法を解説

 

「住宅ローンが支払えなくなるとどうなるのか?」
住宅ローンの返済ができなくなることは、住宅ローンを組んでいる方の誰にでもあり得る問題です。
本コラムでは、住宅ローンが返済できなくなるとどうなるのか、住宅ローンが返済できなくなる原因はなにがあるのか、返済できなくなった時にはどのような対策があるのか、返済できない時に避けるべきことについて解説します。
いざ返済が難しくなった場合、焦らずに冷静に対応するための参考にしてください。

 

住宅ローンが払えないとどうなるか

住宅ローンを返済できなくなった場合、滞納から競売までの流れは督促・催告→「期限の利益」の喪失→保証会社による代位弁済→競売申立となります。


各段階の状況について解説します。

段階 時期の目安(滞納後) 主な通知・手続き 債務者への影響 対応の余地
督促状 数日~1か月程度 金融機関から電話・督促状が届く 延滞扱いになるが、通常はまだ契約継続中 滞納分を支払えば正常化できる可能性が高い
催告書 1~3か月程度 「至急支払ってください」という正式な請求書面が届く 信用情報への影響が大きくなり、法的手続きの予告がされることがある 金融機関と返済条件の変更(リスケジュール)を相談できる場合がある
期限の利益喪失通知 3~6か月程度 分割返済の権利を失った旨の通知 ローン残額の一括請求を受ける 一括返済ができなければ次の段階へ進む
代位弁済通知 4~7か月程度 保証会社が金融機関へ立替払いした通知 債権者が金融機関から保証会社へ変わる 任意売却や債務整理の検討が現実的になる
競売申立て 6~10か月程度 債権者が裁判所へ競売を申立てる 不動産が法的手続きの対象になる 任意売却が可能な場合もある

 

最悪のケース

住宅ローンの滞納が続くと、最悪の場合強制売却となり、売却成立後は立退きをする必要があります。

強制売却とは、不動産の所有者の意思とは関係なく、裁判所の手続きによって不動産が売却されることです。例えば、不動産の所有者が住宅ローンなどの返済を滞納すると、金融機関から残りの借入金を一括で返済するよう求められることがあります。それでも返済が行われない場合は、保証会社が債務者に代わって金融機関へ返済(代位弁済)を行います。その後も債務者から保証会社への返済が行われない場合は、保証会社などの債権者が裁判所へ競売を申し立てます。裁判所による競売手続きが進み、不動産が落札されて代金が納付されると、その不動産の所有権は元の所有者から落札者へ移転します。

競売によって不動産の所有権が落札者へ移ると、元所有者はその不動産に住み続ける権利を失います。そのため、元の所有者や同居している家族、物件を使用している人(占有者)は、不動産を明け渡さなければなりません。これを「立退き」といいます。不動産が落札された後は、落札者やその代理人から、退去の時期や方法について連絡があります。話し合いのうえで自主的に立ち退けば、手続きは円満に終了します。一方で、立退きに応じない場合は、落札者は裁判所へ建物の明渡しを求める手続きを申し立てることができます。裁判所が明渡しを認めると、最終的には強制退去が行われることがあります。一般的には、競売で落札されてから約4~5か月後に強制退去となるケースが多いとされています。

家族への影響

住宅ローンを滞納すると、信用情報機関に事故情報(いわゆる「ブラック情報」)として登録される可能性があります。信用情報への記録期間は、長期延滞をすると延滞解消後5年間、個人再生や自己破産をした場合は概ね5~7年間です。

信用情報機関に事故情報が登録されると、一定期間、信用情報を確認する金融機関やカード会社の審査に影響が生じる可能性があります。例えば、クレジットカードの新規発行や利用限度額の増額が認められにくくなるほか、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、フリーローン、カードローンなどを新たに申し込んだ場合、審査が通らない可能性が高くなります。

 

 

住宅ローンが払えない主な3つの要因

住宅ローンが返済できなくなる主な要因は以下の3つです。

・収入減少
・支出増加
・返済計画のミス

これらは意外と身近に潜んでいる要因です。
以下、どのようにこれらの要因が起こるのか、解説していきます。

 

収入減少

収入減少につながる要因は、病気、リストラ、転職、離婚、介護などがあります。各要因が収入減少につながる主な理由は以下の通りです。

・病気
病気や治療による欠勤・休職、時短勤務、残業・深夜勤務の制限、配置転換による役職手当や営業手当の減少、歩合制・成果報酬の低下、休職・離職などが挙げられます。病気後に再就職ができたとしても、収入水準が下がることも少なくありません。

・リストラ
リストラは突然発生することが多くあります。失業により給与収入がなくなることはもちろん、再就職まで収入が途絶え、再就職後の給与水準が前職よりも低い場合があります。

・転職
転職によって給与水準が下がるケースがあります。勤続年数や社内評価による昇給、役職手当などがリセットされることで、以前より収入が減少し、返済計画に影響が出ることがあります。

・離婚
離婚後は生活環境が変わります。子育て負担の増加や引っ越しによる通勤環境変化、勤務時間制限など収入が減少する働き方に変わることにより、収入減少につながります。

・介護
勤務時間の短縮、正規雇用から非正規雇用への転換、昇進・昇給機会の喪失、休職・長期欠勤、キャリアダウン転職などにより収入が減少する可能性があります。

これらのライフイベントは事前に予測したり避けたりすることが難しいものです。

 

支出増加

家計の圧迫源は、教育費増加や無駄な出費などが挙げられます。

教育費は必要不可欠かつ長期的に継続する固定支出であり、削減しにくいのが特徴です。また、子どもの人数が増えるほど教育費の負担も大きくなる傾向があります。教育費の負担が大きくなると、生活費や貯蓄に回せるお金が減り、住宅ローンの返済が家計を圧迫する可能性があります。

無駄な出費には、利用していないサブスクリプションや会員サービスの料金、外食やコンビニの利用が多いことなどが挙げられます。一つ一つの支出は少額でも、積み重なると家計に大きな負担を与える可能性があります。教育費と違い、見直しをすることで支出を削減できるのが特徴です。

 

例として、子育て世帯の支出変化について順を追って説明します。

①    子供の誕生: 育児用品やミルク、おむつなど、継続的な育児費用が発生します
②    幼稚園~小学校:幼稚園・学校にかかる費用に加え、習い事や学用品などの教育関連費用が増えていきます。
③    中学生~高校生:塾や受験対策費、通学費、部活動費などの支出が増え、教育費の負担がさらに大きくなります。
④    大学生:入学金や授業料、教材費などに加え、一人暮らしをする場合は家賃や仕送りも必要になることがあります。子育て期間の中でも、特に家計への負担が大きくなる時期です。
⑤    就職・独立:教育費や仕送りなどの支出が減少し、家計の負担は徐々に軽くなります。

子どもが複数人いる家庭では、教育費がかかる時期が重なることも少なくありません。その結果、家計への負担がさらに大きくなり、住宅ローンの返済に影響を及ぼす可能性があります。

 

返済計画のミス    

住宅ローンの返済が退職後も続く場合、現役時代のような給与収入がなくなるため、年金や貯蓄を取り崩しながら返済を続けなければならないことがあります。その結果、住宅ローンの返済が家計の大きな負担となり、老後資金が不足するリスクがあります。

こうしたリスクは、返済計画が十分でない場合に高まります。例えば、退職時点の住宅ローン残高を把握していない、退職金だけで完済できると考えている、老後の生活費を少なく見積もっている、金利上昇や住宅の修繕費、介護費などの将来の支出を考慮していないといったケースが挙げられます。

 

〈返済期間設定の甘さが招く問題の具体例〉
・返済期間を長く設定しすぎた結果、退職後も住宅ローンの返済が続いてしまう
・返済期間中に金利が上昇し、毎月の返済額や総返済額が増加する
・返済期間が長いことで総返済額が増え、老後資金や教育資金などの貯蓄が思うようにできなくなる
⇒計画段階で退職時の残債や返済方法について十分な検討が必要だった。

 

住宅ローンが払えないときの対策4つ

住宅ローンが返済できない時の主な対策は以下の通りです。

・金融機関への相談
・返済条件の変更申請
・ローンの借り換え
・任意売却の検討

住宅ローンの返済が厳しいと感じたら、延滞する前に相談することが大切です。早い段階で相談することで、返済条件の見直しや借り換えなど、利用できる選択肢が広がり、状況が深刻化する前に対策を講じられる可能性があります。

住宅ローンについて相談できる主な窓口としては、借入先の金融機関(保証会社)、他の金融機関、自治体の相談窓口、弁護士・司法書士などがあります。それぞれ相談できる内容や役割が異なるため、状況に応じて適切な相談先を選ぶことが重要です。

以下では、それぞれの相談先について詳しく解説します。

 

金融機関への相談

住宅ローンの返済が厳しくなった場合は、まず借入先の金融機関(保証会社)へ返済条件の見直し(リスケジュール)を相談することが重要です。返済が困難になった理由や今後の返済見込みによっては、返済条件の変更に応じてもらえる場合があります。

リスケジュールが検討される主なケースとしては、失業や転職による収入減少、病気やケガによる休職、離婚による家計の変化、家族の介護による収入減少など、一時的または継続的に返済が難しくなった場合が挙げられます。

主なリスケジュールの方法と、その内容は以下のとおりです。

 

対応策 内容
毎月の返済額の減額 一定期間、月々の返済額を減らす
借入期間延長 返済期間を延ばして月々の返済額を下げる
元金据置措置 元金返済を一時的に停止し、利息のみ支払う
ボーナス返済の見直し ボーナス払いの減額・中止を行う
金利タイプの変更 固定金利・変動金利の見直しを行う

 

ただし、金融機関の審査結果や家計状況によっては、リスケジュールが認められないこともあります。その場合は、住宅ローンの借り換え、自宅の任意売却などの手続きなどを検討する必要が出てきます(後述)。
住宅ローンのリスケジュールは、返済が困難になったときの重要な救済策の一つです。返済に不安を感じたら、延滞する前に金融機関へ相談することが問題解決への第一歩となります。

 

返済条件の変更申請

金融機関への返済条件の変更申請手続きは、金融機関への相談→申請書類の提出→審査→条件変更案の提示→契約手続き→変更後の返済開始という流れで行われます。

申請手続きの必要書類は以下の通りです。
・本人確認書類
・住宅ローン返済予定表
・給与明細書、源泉徴収票、確定申告書
・預金通帳の写し
・家計収支表
・事情説明書(返済が困難になった理由や今後の見通しを説明する書類)
・その他資料(診断書、離職票、給与減額通知書など、状況を証明する書類)

住宅ローンは、一般的に滞納期間が長くなるほど解決が難しくなります。特に3か月以上の滞納は、金融機関が債権回収手続きへ移行する可能性が高くなるため、その前の段階で相談することが非常に重要です。返済が厳しいと感じた段階で相談すれば、返済条件の見直し(リスケジュール)や借り換えなど、利用できる選択肢が多く残されています。また、金融機関と協議しながら解決策を検討できるため、延滞の長期化や信用情報への影響を抑えられる可能性があります。

早めに対応することで、自宅を手放さずに済む可能性も高まります。住宅ローンの返済に少しでも不安を感じたら、滞納が長期化する前に借入先の金融機関へ相談することが大切です。

 

ローンの借り換え

住宅ローンの借り換えを検討する際の目安として、一般的に次の3つの条件が挙げられます。

・金利差が1%以上
・住宅ローン残高が1,000万円以上
・返済期間が10年以上残っている

住宅ローンの借り換えには、金利の引下げや毎月の返済額、総返済額を減らせる可能性がある一方で、事務手数料や登記費用、司法書士報酬などの諸費用がかかります。そのため、借り換えによるメリットが諸費用を上回るかどうかを確認することが大切です。
金利差、残高、残期間などによりメリットの大きさは変わりますが、例として残高が500万円、1,000万円の時に借り換えた場合のコスト・メリットがそれぞれどのような金額になるか、以下比較を確認してみましょう。

 

○残高500万円の場合 ※借り換え時コスト(登記費用、事務手数料、解約違約金など)を30万円と想定して計算。

金利差\残期間 5年 10年 20年
0.5% 約23万 負担増 約17万 負担増 約3万 負担増
1.0% 約17万 負担増 約3万 負担増 約26万 負担減
2.0% 約4万 負担増 約23万 負担減 約80万 負担減

 

○残高1,000万円の場合 ※借り換え時コスト(登記費用、事務手数料、解約違約金など)を60万円と想定して計算。

金利差\残期間 5年 10年 20年
0.5% 約47万 負担増 約23万 負担増 約3万 負担増
1.0% 約33万 負担増 約6万 負担増 約53万 負担減
2.0% 約8万 負担増 約45万 負担減 約160万 負担減

 

このように、金利差、残高、残期間が大きいほど、借り換えをしたときのメリットがあることがわかります。

 

任意売却の検討

住宅ローンの返済が難しくなった場合は、任意売却やリースバックを検討する方法があります。

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、金融機関(債権者)の同意を得て、市場で不動産を売却する方法です。競売と比べて市場価格に近い価格で売却できる可能性が高く、引越し時期の調整や残債の返済方法について相談できる場合があるなどのメリットがあります。

リースバックとは、自宅を売却した後も、家賃を支払いながら同じ家に住み続けられる仕組みです。生活環境を維持できる一方で、家賃の支払いや売却価格が市場価格より低くなる場合がある点には注意が必要です。

任意売却とリースバックは、それぞれ特徴やメリットが異なるため、自身の状況や何を優先したいかに応じて選択することが重要です。また、いずれの方法も滞納が長期化する前であれば選択できる可能性が高いため、返済に不安を感じたら早めに金融機関や専門家へ相談しましょう。

 

住宅ローンが払えないときに避けるべきこと

住宅ローンが返済できなくなったとき、避けるべき行動があります。

・滞納を放置する
・他の借金で返済する
・連絡を無視する

返済を滞納したとき、焦ってとりがちな行動です。
しかし、これらの行動をなぜ避けるべきなのか、なぜ危険なのか、以降説明していきます。

 

滞納を放置する

住宅ローンの返済が難しくなったときに、金融機関への相談をせず滞納を放置すると、状況は段階的に悪化していきます。

滞納が続くと、期限の利益を喪失し、住宅ローンの残債を一括で請求される場合があります。その後も返済ができないと、保証会社による代位弁済が行われ、最終的には競売や強制退去へと進む可能性があります。

一方、返済が厳しいと感じた早い段階で相談すれば、リスケジュールや借り換え、任意売却など、状況に応じた解決策を選択できる可能性があります。

 

他の借金で返済する

住宅ローンの返済が苦しくなった時に、一時的な資金不足を補うためにカードローンや消費者金融などの高金利借入を利用するケースがあります。しかし、高金利借入での返済はかえって家計を悪化させる可能性があります。
住宅ローンの金利は年1~3%程度ですが、カードローンや消費者金融の金利は年10~18%程度になることがあり、同じ金額の借入でも利息負担が大きくなります。
返済を行うために複数の金融機関から借入をすると、返済先が増え、家計管理が難しくなり、多重債務のリスクが高まります。

高金利の借入れは一時的な資金不足を補うことはできますが、根本的な解決にはなりません。返済に不安を感じたら放置せず、早めに金融機関や専門家へ相談し、自身に合った解決策を検討することが重要です。

 

連絡を無視する

住宅ローンの返済が難しくなった際に、金融機関や保証会社からの電話や督促状を無視してしまう方もいます。しかし、連絡を無視しても問題は解決せず、状況をさらに悪化させる原因になります。

返済が滞ると、金融機関は電話や郵送による連絡、督促状、催告書の送付を行います。それでも連絡が取れない場合は、内容証明郵便が送付されることがあります。内容証明郵便は、一括請求や期限の利益の喪失など、法的手続きへ移行する前の重要な通知です。

その後も対応しなければ、保証会社による代位弁済や競売などの法的手続きへ進む可能性があります。一度法的手続きが始まると、自分の意思だけで手続きを止めることは難しくなります。

金融機関からの連絡や内容証明郵便が届いたら、放置せず、できるだけ早く相談することが重要です。

 

まとめ

住宅ローンの支払いが難しくなるきっかけは意外とみなさんの身近に潜んでいます。住宅ローンを組む際は、今後の人生計画・家計状況について考えながら、堅実な返済計画を組むことが重要です。返済を滞納してしまった際は焦らず、まずは住宅ローンを組んでいる銀行など、専門機関へ相談しましょう。自身のみで解決を試みようとすると、方法によっては状況が悪化してしまう可能性があり、取り返しのつかないケースにまで発展することもあります。
住宅ローンを支払うことが難しくなった場合、自分自身や家族の生活を守っていくため、金融機関・専門機関への早期相談、早期対応を行うことが重要です。

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