不動産担保ローンの審査基準 | 通過率UPの秘訣とは? | 不動産担保ローンなら株式会社アサックス

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不動産担保ローンとは、不動産を担保にして融資を受けるローンのことで、銀行や不動産担保ローン専門会社、カード会社、信販会社などが扱っています。不動産の価値だけでなく、借り入れする本人の信用力も審査されるため、事前の準備が大切です。 この記事では金融機関による不動産担保ローンの審査基準の違い、必要書類、審査通過のためのポイント、審査の流れについて紹介します。本人の信用力に対する審査基準や、担保になる不動産についての審査基準についても詳しく解説していますので、スムーズに審査が受けられるようにぜひ参考にしてみてください。
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不動産担保ローンの審査基準は?
不動産担保ローンの審査の対象となるのは主に2点です。ひとつは 「融資を希望する人に十分な返済能力があるか」、もうひとつは「担保となる不動産に融資額に値する価値があるか」です。
本人の返済能力については、例えば、収入に対するローンの返済比率や勤続年数、年齢などを確認し、安定して返済できる条件が備わっているのか審査します。また過去の返済履歴や今現在の借入状況も審査の対象になるため、これまでに返済が滞った履歴があると審査が通りにくくなることがあります。
担保となる不動産の価値は、土地と建物を別に評価することになります。土地については公示地価や基準地価、路線価、現在の取引事例などをもとにして評価額を計算します。
建物については、あらたに建物を新築した場合にかかる費用(再調達価格)を算出し、延べ床面積と法定耐用年数を用いて、建物の評価額を計算するのが一般的です。
金融機関による審査基準の違い
不動産担保ローンの審査基準について解説します。主なポイントは3つ。①返済能力の有無、②信用情報、③担保不動産の評価です。
①返済能力の有無について。金融機関は、融資したお金がしっかり返ってくるか否かを判断するために、申込人の返済能力を審査します。例えば、収入に対するローンの返済比率や勤続年数、年齢などを確認し、安定して返済できる条件が備わっているのか審査します。また、事業者においては事業の安定性が重視されます。安定性は事業内容、事業規模、営業年数、過去数年の決算内容などをもとに多面的に判断され、継続的に支払いが可能か審査されます。
②信用情報について。過去の返済履歴や今現在の借入状況も審査の対象になるため、これまでに返済が滞った履歴があると審査が通りにくくなることがあります。また、今の借入をしっかり返済していても、借入件数が多く、借入額も大きい場合は、将来的な資金繰りが懸念されるとして審査にマイナスの影響を与える可能性があります。
③担保となる不動産の評価について。土地と建物の合算価値になります。評価方法は、土地については公示地価や基準地価、路線価、現在の取引事例などをもとにして評価額を計算します。建物については、あらたに建物を新築した場合にかかる費用(再調達価格)を算出し、延べ床面積と法定耐用年数を用いて、建物の評価額を計算するのが一般的です。
不動産担保ローンの審査をスムーズに進めるための準備
不動産担保ローンの審査を受けるためには、いくつかの書類が必要になります。金融機関やノンバンクなどローン申込先によって必要書類が異なることがあるため、必要になる書類については事前に確認し、申し込み方法についてもチェックしておきましょう。
ここでは、不動産担保ローンの審査を受けるための流れと必要書類について解説していきます。また金融機関によっては、必要になる可能性がある書類も紹介しますので、参考にしてください。
STEP1 - 問い合わせ・申し込み
不動産担保ローンの審査を受けるためには、金融機関へ問い合わせ、仮審査の申し込みをすることがスタートとなります。
金融機関へは、「窓口に行って相談する」「直接電話をする」「ホームページ内の申し込みフォームを利用する」などの方法で仮審査の申し込みを行います。
「電話」でのお問い合わせの場合は、お客様のお話やご要望を伺った上で、必要なことをヒヤリングする形となります。
「ホームページ内の申し込みフォーム」でのお問い合わせの場合、下記項目が必要になります。
≪各金融機関共通≫
「氏名」「電話番号」「メールアドレス」「希望金額」「不動産の所在地」
≪金融機関によっては必要≫
「資金使途」「不動産の種別」「不動産の面積」「不動産の利用状況」「不動産の築年数」「不動産の所有者」「不動産を担保にした借り入れ状況(住宅ローン含む)」「無担保ローンの借り入れ状況」「お客様属性」「年収」「家族状況」「会社情報」など
<各金融機関共通項目>は最低限必要になりますので、事前に準備しておきましょう。
STEP2 - 本申し込み
仮審査通過後、担当者と面談し、本申し込みを行います。来店型・訪問型・どちらでも可と対応は金融機関によって異なりますので、担当者に聞いてみましょう。金融機関によっては、郵送やインターネットのみしか受け付けていないこともあるのでご注意ください。
本申し込みに必要な書類は下記のとおりです。
≪不動産担保ローンの申し込みで共通して必要になる書類≫
銀行・ノンバンクなどで不動産担保ローンを申し込む際、最低限必要になる書類等と取得先を下記に記載します。
「本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)」
「認印」
「収入のわかるもの(確定申告書・源泉徴収票等)」
「ローンの返済予定表」」…ローンを組んでいる金融機関に申請します。
「(法人の場合)決算書・事業計画書・事業内容がわかるもの」
【金融機関や状況によって必要になる書類】
申し込み先の金融機関によっては用意する必要がある書類等と取得先を下記に記載します。(必要になるかどうかは金融機関により異なりますので、各金融機関に確認して下さい)
「印鑑証明書」…区・市役所(町村役場)
「実印」
「納税証明書」…税務署、都・県税事務所、区・市役所(町村役場)
「土地建物評価証明書」…都税事務所、区・市役所(町村役場)
「不動産登記簿謄本」
「公図」
「地積測量図」
「建物図面」
「(法人の場合)商業登記簿謄本」…法務局、インターネット
その他、不動産購入の場合には「売買契約書」や「重要事項説明書」、建物新築・増改築の場合には「工事請負契約書」、担保となる不動産が収益物件であれば「賃貸借契約書」、担保となる不動産がマンションであれば「間取図」や「管理費・修繕積立金の金額がわかるもの」などが必要になる可能性があります。
本人の「信用力」についての審査基準
「信用力」の審査とは、金融機関では一般的に「与信審査」と言われています。借り入れに対する「信用力」であることから、審査内容は「返済能力の有無」を判断することとなります。銀行・ノンバンクにかかわらず、返済能力の有無は最重要な審査ポイントです。但し、金融機関ごとに、法人と個人では異なった基準を設けています。審査を行ううえで、銀行は過去・現在の状況を重要視するのに対し、ノンバンクは現在・将来の状況を考慮して審査することが出来るため、銀行より柔軟な審査が期待できます。ここでは法人・個人を別にし、銀行とノンバンクの考え方を加えながら説明していきます。
法人の場合
法人の場合の審査は、これまでの決算内容、現在の財務状況、今後の事業計画と成長性、業界全体の将来性などに加え、代表者個人の信用情報も審査されます。
財務状況では、財務指標(自己資本比率、利益率、債務比率など)の内容が見られますし、事業計画ではその要素(市場分析、収支計画、リスク対策など)が適確で説得力のある内容か否かがポイントになります。
決算状況と財務内容(赤字や債務超過は審査にどう影響するか)
法人の場合、直近の決算状況が赤字であると審査で取り扱いしてもらえなかったり、かなり不利な要素になる可能性があります。
財務指標(自己資本比率、利益率、債務比率)については下記に記載します。
・自己資本比率…総資産に対する自己資本の割合で、30%以上が良好とされる。
・利益率…売上に対する利益の割合。安定した黒字が望ましい。
・債務比率…総資本に対する総負債の割合(総負債÷自己資本)。業種により異なるが、100%未満なら安全性が高い。
赤字決算や債務超過の場合、一時的な赤字や債務超過で翌期以降に回復する見込みが高ければ取り扱う金融機関がある可能性はありますが、回復の見込みが無ければそもそも取り扱ってもらえない可能性が高いです。
この対応策としては、以下のような対応が考えられます。
・根拠のある事業計画書(事業改善計画書)の提出(黒字化が見込まれる具体的な根拠を示す。)
・キャッシュフローを重視した説明(決算上は赤字でも減価償却費が大きいなど)
・代表者個人の信用力で補う(代表者個人の信用情報や資産状況がプラスなら、代表者保証で補完する。自宅や不動産などが担保に使える場合も検討。)
・保証協会付き融資の利用(日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資なら、金融機関のリスクが軽減されるため通りやすい)
事業計画の具体性と実現可能性
融資や出資を受けるために評価される「事業計画書」には、具体性・現実性・信頼性が求められます。特に、市場分析・収支計画・リスク対策は、審査で重視される3大要素です。
・市場分析…事業の市場規模、成長性・トレンド、ターゲット顧客、競合分析など
・収支計画(損益・資金計画)…売上計画、経費計画、利益計画、資金繰り計画、損益分岐点分析など
・リスク対策(事業の弱点と対策)…売上未達、コスト増、人材確保、法規制、資金ショートなどに対する対策
これらが具体的で信頼性や実現可能性が高ければ評価される事業計画書となります。個人での作成が難しい場合は、専門家である税理士や認定支援機関、経営革新等支援機関と連携して融資申請を行うと説得力が上がります。
個人の場合
個人事業主なのか、給与所得者なのかによって異なります。
個人事業主
法人と同じく「事業者」となるため、審査ポイントは類似しています。事業内容のヒヤリングや事業計画書については同じですが、唯一違う項目は決算書です。法人ではないため決算書自体がありませんので、年度末に税務申告をする「確定申告書」の内容から売上や利益などを確認していきます。法人の決算書と比べると、取引先がわかりにくいため、主要取引先を説明したり、固定的な収入がある場合には業務委託契約書等を提出したりして、金融機関担当者が理解できるように工夫をすることも必要になってきます。
給与所得者
住宅ローンと同じく、現在の収入や勤続年数、過去に借り入れしたローンの返済状況、他の金融機関からの借り入れ状況がポイントとなります。
≪収入≫
本人に、どのくらいの収入があるのか審査します。収入が多ければその分信用力もアップしますが、収入に対する毎月の返済額も重要です。
例えば毎月の収入が50万円、毎月の返済額が15万円の場合は、返済負担率は30%になります。返済負担率によっては審査が厳しくなるため、収入が多い場合でも返済額に注意し、返済期間を長くするなどして対処しましょう。
また収入が、毎月安定しているかどうかも判断基準になります。収入に波がある場合は、審査が厳しくなる可能性があります。
≪勤続年数≫
本人の勤続年数も、審査するうえで重視されるポイントです。勤続年数が長ければ、その分安定した収入が見込めると判断されるため、審査にプラスに働きます。近い将来不動産担保ローンを利用する予定であれば、借入れの直前に転職することは避けた方が良いかもしれません。
しかし勤続年数が短い場合でも、同じ業種から転職して収入が増えている、もしくは安定している場合は、それほど不利にならないこともあります。勤続年数が短い場合は、転職理由や収入の増減について、説明することを忘れないようにしましょう。
≪年齢≫
ローン完済時の年齢が、ローン審査に大きく影響することがあります。ローンの返済期間は10年、20年と長くなることが多く、たとえば完済時の年齢が70歳を超えるような場合は、安定した収入が途切れると判断される傾向があり、審査が厳しくなるでしょう。
返済計画を立てる際は、ローンの返済負担率だけでなく完済時の年齢も考慮したうえで、返済期間を定めることをおすすめします。
≪過去の返済履歴≫
過去にローンを借り入れたことがある場合、他の金融機関からの借入であっても、当時の返済状況を調査されることになります。
返済の遅延が1~2回程度でかつ滞納が短期間の場合は、「引き落とし口座の単なる残高不足」と判断されることが多く、それほど心配することはありません。
しかし滞納した期間が長い、もしくは滞納した回数が極端に多い場合は、審査が通りにくくなるでしょう。
今後不動産担保ローンの借入を予定している場合は、引き落とし日前に残高を確認するなどして、滞納履歴などが残ることがないように注意してください。
≪ほかの金融機関からの借り入れ情報≫
現在ほかの金融機関から借り入れがあるのか、またその借入に対する月々の返済額がいくらになるのかは審査の対象になります。その他の借入の有無や金額についてヒアリングされたら、正直に伝えるようにしてください。
審査の際に返済負担率は、そのほかの借入額も加味して計算されますので、借入額や期間によっては、希望する金額を借入できないかもしれません。
自己資金でほかのローンを返済できる場合は、完済して返済負担率を下げてからあらたなローン審査を申し込むことも検討してみましょう。
法人と同様に個人の場合でも、過去・現在の状況を確認し、将来の返済能力を判断していくこととなりますが、ある程度のリスクを取ることができるノンバンクの不動産担保ローンは、どちらかというと過去よりも将来の返済能力を重視する傾向があります。
個人事業主の場合、現在の取引先とは良好な関係を維持しつつ、更なる業容拡大のために取引先を広げ、利益が増加していく見込みがあることを担当者に説明しましょう。
給与取得者の場合では、何年も前に延滞履歴があるものの現在は安定収入が得られているのであれば、延滞した時の状況を担当者に説明しましょう。当時勤めていた会社が倒産した・親の介護が必要になった等の一過性の理由であれば、柔軟に対応してくれるかもしれません。
担保となる「不動産」価値についての審査基準
不動産の評価に影響を与える要素として、物件の種類、物件の所在地、権利関係(共有名義)などがあります。
金融機関により取り扱う物件の種類は異なりますが、一般的に流動性が高い物件が対象になります。更地、一戸建、区分マンション、一棟マンション、一棟アパート、店舗、ビルなどが対象になり、建物を建てられない土地、工場地帯の物件などは特殊性が高く取り扱うことが難しくなります。また、共有持分のみ、借地権・底地物件なども取り扱うかどうかは金融機関により異なります。
評価は駅に近く利便性や商業性の高い立地は価格が高くなりますが、同じエリアでも土地の形状、大きさ、道路付け、向き、日当たり等の個別要因によっても差が出ます。権利関係も評価に影響を与えます。例えば、共有名義の物件(持分1/2ずつなど)の場合、売却には共有者全員の同意が必要となります。もし持分だけで売却しようとすると買い手が付きにくいため、相場よりもかなり低い金額になってしまいます。また、借地権建物や底地権なども所有権物件と比べて割安になります。他にも建築基準法上の道路に面していないために建物の再建築が出来ないような土地は、利用用途が限られてしまうため、二束三文の評価になってしまいます。
土地の評価方法
土地の評価に使用する指標には、「公示価格」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」「実勢価格」がありますが、どの指標を重視して評価するかは金融機関により異なります。銀行系は実勢価格・公示価格・路線価などを参考に、ノンバンク系は主に実勢価格と各社独自の基準を組み合わせて不動産の評価をしていることが多いようです。
・公示価格…国交省が毎年3月に発表。実勢価格に近い。
・基準地価…各都道府県が毎年9月に発表。公示価格と同程度。
・路線価…国税庁が毎年7月に発表。公示価格の80%程度。税務署が相続税などを課税するために使用。
・固定資産税評価額…市区町村が固定資産税の課税のために評価する。公示価格の70%程度。3年に一度見直しが行われる。原則不動産所有者のみに公表される。
・実勢価格…実際に成約した売買事例に基づく価格。不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム「レインズ」や、不動産専門のデータ会社「株式会社東京カンテイ」の会員向けデータベースなどを参考にしている。
所在地(エリアの人気度や将来性)の評価基準
担保評価に影響がある立地条件について。郊外よりも都心部で利便性が高い地域は人気があり、価格も高くなります。主な条件は以下の通り。
・交通アクセスの良さ(駅からの距離が近い、複数路線が使える、急行停車駅など)
・商業施設が近くにある(生活利便性が高い)
・人気の学区エリア(子育て世帯に重視される)
エリアごとの評価傾向として東京を例に挙げると、23区内と多摩エリアでは利便性の高い23区内の方が価格は高くなります。また、同じ23区内でもいわゆる都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)は特に人気が高く、住居系・商業系ともに高い評価となっています。23区内でも山手線の外側は、駅周辺を除けば住宅地が中心となっており、都心部よりは劣りますが安定した価格が形成されています。多摩エリアはニーズの違いから駅周辺と郊外で価格差が大きくなります。住宅地が多くを占め、価格は都心部と比べて割安ですが大きな価格変動もありません。
形状、面積、接道状況の影響
一般的に、敷地の形状は整形地が良く、面積が適切で、前面道路が広い土地は評価が高くなります。以下のような土地は標準値を比べて評価が下がる要因となります。
・不整形地、旗竿地(道路と接する間口が狭く奥が広い)
・所在地エリアの標準的な広さと比べ狭小、または広大すぎる土地
・前面道路が4m未満の幅しかない、自分の敷地まで車両が進入できない。
・道路が私道で持ち分が無く、所有者から通行・掘削の承諾が取れない。
・道路や隣地と高低差がある。
建物の評価で重視されるポイント
建物の評価は、再調達原価法、取引事例比較法、収益還元法などいくつかありますが、基本になるのは再調達原価法です。同一の建物を新たに建築する場合に必要になる建築コスト(再調達価格)から算出します。
再調達価格に現存建物の築年数、構造、法定耐用年数から残存年数を算出し、床面積と乗じて算出します。再建築が出来ない建物は原則として取り扱い事態が難しいケースが通常です。
構造(法定耐用年数)と築年数の関係
建物は木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等の構造によって、「再調達価格」は異なります。構造ごとの法定耐用年数から現在の築年数を差し引いた残存法定耐用年数を算出し、それに「再調達価格」と「延べ床面積」を乗じた金額が建物価格となります。従って、法定耐用年数が超過していると建物価格はゼロとなります。
| 構造 | 法定耐用年数 | 主な用途 | 再調達単価(円/坪) |
| 木造 | 22年 |
戸建住宅 アパート |
約60~83万円 |
| 軽量鉄骨造 |
19年(骨厚3mm以下) 27年(骨厚3mm超~4mm以下) |
戸建住宅 アパート |
約66~92万円 約83~110万円 |
| 重量鉄骨造 |
34年~38年(骨厚4mm超) |
マンション ビル |
約93~132万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 47~50年 |
マンション ビル |
約99~165万円 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47~50年 |
マンション 高層ビル |
約132~198万円 |
※再調達単価は目安です
・計算例
(例)木造 築10年 戸建 建坪30坪
建坪×(残存法定耐用年数/法定耐用年数)×再調達単価=評価
30(坪)×12/22(年)×83万≒1,358万
建物の保存状態やメンテナンス履歴
建物評価は「メンテナンスしているか」が重要になります。建築後に全くメンテナンスをしていない建物と、定期的にメンテナンスをしている建物では劣化速度が違うため、法定耐用年数で単純に一括りにすると明らかにおかしいケースが生じます。また、近年では新築のようにリノベーションをする工法もあるので、建物の大規模な修繕履歴がある場合には、その資料を金融機関に提出することで評価が上がる可能性があります。
不動産担保ローンの審査通過のためのポイント
不動産担保ローンにおける銀行等とノンバンクの審査傾向の違いは以下の通りです。
■銀行
審査が厳格で慎重。借り手の信用情報や返済能力を重視。担保不動産の価値だけではなく、借り手の属性(年収・勤務先・信用情報)を重視する。提出書類(収入証明・確定申告書・納税証明など)を厳密に求められる。
■ノンバンク
銀行よりも審査が柔軟かつスピーディー。返済能力もみるが、担保評価を最重視。信用情報が原因(延滞など)で銀行に断られた案件でも、個別に判断し対応してもらえる可能性がある。
担保不動産の対象エリアや属性を確認する
■対象エリア
金融機関ごとに取扱い可能なエリアが異なります。自社店舗を置いている近隣エリアは基本的に取り扱っていると考えられますが、周辺エリアをどこまで扱っているかは確認が必要です。金融機関で評価されやすいエリアは、駅徒歩圏内、市街地で商業性が高い、生活利便性が高いなど需要が高いエリアは評価されやすくなります。詳細は金融機関に確認しましょう。
■不動産の属性
不動産の属性によって取り扱いの有無が異なります。
一般的な土地・戸建・区分マンション・アパート・ビル等はほとんどの金融機関が取り扱っていますが、築年数が古い・既存不適格・違反建築など遵法性に問題がある・隣地建物に越境されている又は越境している等のネガティブ要素がある不動産については、対象外としている金融機関もあります。また、共有持分や借地、底地など権利関係がやや複雑な不動産になると取り扱う金融機関が限られます。銀行は一般的な物件でネガティブな情報が無い物件を好み、ノンバンクは銀行が取り扱わないような不動産についても柔軟に対応している場合が多いです。取り扱う物件については、金融機関の担当者に確認してみましょう。
必要書類を不備なくそろえるためのポイント
「不動産担保ローンの審査を受けるための準備」でもご紹介しましたが、金融機関によって申し込み時に必要となる書類は違います。本人確認書類や収入のわかる書類など、手元にある資料で良い場合もあれば、担保となる不動産の資料を法務局で取得しなければならなかったり、税務署・都道府県税事務所・市区町村役所で納税証明書を取得しなければならなかったりする金融機関もあります。
法務局関係の資料や納税証明書については、委任状を提出すれば代理で取得してくれる金融機関もありますので、担当者に確認してみましょう。申し込みをする時の必要書類だけを見ても、その金融機関が柔軟に対応してくれるスタンスかを見定められるかもしれません。アサックスでは、法務局関係の資料や納税証明書の代行取得を行っておりますので、お気軽にお申し付けください
不動産資料や納税証明書の取得費用は、不動産の数や個人・法人などによって幅がありますが、概ね数千円程度が目安になります。また、証明書の有効期限は3ヶ月以内が目安となります。資金をお急ぎの場合は証明書の準備もスムーズに行いたいものです。
根拠を持った事業計画を作成する
法人や個人事業主の場合には、事業計画書の提出を求められます。金融機関の担当者は、審査に説明をしなければなりませんので、お客様の事業内容や事業の見通し、資金調達後にどのような展開を予測しているのか、返済計画はどう考えているのかといった情報が必要になります。現在までの状況を俯瞰し、資金調達後の将来を見据え、実現可能性の高い事業構想を考える必要があります。
事業計画書に記載すべき項目としては以下のようなものがあります。
・経営理念・ビジョン
・会社概要
・経営者プロフィール
・事業内容・ビジネスモデル
・市場環境と競合分析
・販売戦略・マーケティング計画
・組織体制・人員計画
・収支計画(3〜5年)
・資金計画・融資希望内容
・リスク対策と今後の展望
事業計画書の中でも金融機関が重要視するのは、事業の収益性と返済計画です。収益性については、売上予測の金額が具体的で根拠があることが大切です。どのような顧客に対して、いくらで、どの位売れるのか等を明確にしましょう。また、粗利益率や営業利益率が事業内容に対して適切な範囲であること、損益分岐点を把握していること、安定した収益が見込まれるかどうか、などもポイントになります。
次に、返済計画については、返済原資となる営業利益やキャッシュフローで返済できるか
がポイントです。年間の返済額が営業利益の7~8割以内が適正な範囲ですが、少なくとも原価償却費を考慮したキャッシュフローで支払えることが前提となります。この返済割合が低ければ無理のない返済計画と判断されます。
書面に記載する方法がわからなければ、担当者に事業構想や計画をしっかりと説明することによって、どのように記載すればよいかのアドバイスをくれる金融機関もあるでしょう。また、顧問税理士や中小企業診断士等の専門家が身近にいれば、記載の仕方を相談してみても良いでしょう。
複数の金融機関に同時に申し込むのは避ける
金融機関は融資の申し込みを受けると、加盟する信用情報機関に照会をかけます。その際、照会履歴が6ヶ月残ります。複数の金融機関に同時に申し込むと、短期間に複数の照会があったことが知られるため、「資金繰りが厳しいのではないか」、「他行で断られて困っているのではないか」などネガティブに捉えられる可能性があります。これらを避けるためには、申込先の担当者に、複数の金融機関に相談していることを伝えることや、事業計画書を提出してしっかり説明することで、誠実な印象を与えることも大切です。
審査に落ちてしまった後に再申し込みを検討する場合、適切なタイミングはいつでしょうか。まず審査に落ちた時に、その理由をしっかり確認しておき、問題点の改善が進んだ状態で申し込むのが良いでしょう。例えば、返済能力の問題であった場合には、改善策を基に半年程度は実行期間を開け、改善した売上げや返済能力を示しながら再申し込みをすると評価される可能性が上がります。その際、事業計画書を再度提出することになりますが、税理士・中小企業診断士・商工会議所に相談したうえで作成した事業計画書であればより信頼性が上がります。
担当者にはなるべく多くの情報を与える
どの金融機関の担当者も、お申し込みいただくお客様とは初めて面談をします。金融機関の担当者は、お客様が初めて不動産担保ローンでの資金調達をご検討されていることを前提に、自社の会社概要や商品説明をお客様にとってわかりやすく説明するでしょう。担当者によっては自社の強み・弱み・有用性なども含めて説明してくれるかもしれません。それと同じように、担当者はお客様のことを知りません。審査に必要となる事項については、質問をしてくれますが、お客様自身が担当者に熱意を持って説明をすることも必要です。お互いに虚偽の説明はせず、お互いがありのままを説明することによって、信頼関係が構築されていきます。資金調達は目的ではありますが、取引関係のスタートでもあります。資金調達後に、信頼関係のある良好な取引関係とするために、申し込み時から将来を見据えて説明するように心掛けるといいでしょう。
不動産担保ローンの申し込みから借り入れまでの流れ【期間も解説】
金融機関の窓口に行くか、直接電話をする又はホームページにある申し込みフォームから申し込みします。
不動産担保ローンの申込みから借り入れまでの流れについて、銀行とノンバンクを比較し、その違いを解説します。(※詳細な手続き、かかる日数については金融機関により異なりますので、相談先の金融機関にご確認下さい)
| 手続きの流れ | 銀行系 | ノンバンク |
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事前相談 仮審査申込 |
・本人確認、収入証明、担保物件の資料などを提出 ・仮審査結果が出るまで、1週間程度 |
・簡易な物件査定 ・仮審査結果が出るまで、即日~2日程度 |
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本申込 本審査 |
・詳細な与信審査、不動産評価など ・本審査結果が出るまで、1~3週間程度 |
・必要書類(収入証明など)の受領、与信調査、不動産評価など ・審査結果が出るまで、1日~1週間程度 |
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契約 融資実行 |
・契約書署名、登記申請など ・契約は実行予定日の1週間前~当日 |
・契約書署名、登記申請など ・契約は実行予定日の数日前~当日 |
| 申込から融資実行までの合計期間 | 概ね3~5週間程度が目安 | 最短3日~7日程度 |
一般的に、銀行系は審査が厳しく時間がかかるのに対し、ノンバンクは審査が柔軟で融資実行までもスピーディーに対応しています。急ぎの資金の場合にはノンバンクに相談することも一つです。
不動産担保ローンの審査に関するよくある質問
最後に、不動産担保ローンに関するよくある質問を紹介します。今後借入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産担保ローンの審査に落ちる確率はどれくらいですか?
銀行・ノンバンクにかかわらず、不動産担保ローンの審査結果や審査基準については公表されていません。金融機関によって判断基準が異なり、また審査を申し込む人の条件によって結果も違ってくるため、審査に落ちる確率を算出することは難しいでしょう。
ちなみに、ある銀行で審査が通らなかった場合でも、ほかの金融機関の審査に通ることがあります。
複数の金融機関に申し込むことで、審査に通る確率は上がるかもしれません。審査に落ちたとしても、あきらめずに相談することをおすすめします。
なお仮審査に通過した場合、本審査で承認が出る可能性が高いといえます。しかし仮審査後に転職やほかの借入をするなど条件が変わってしまうと、審査が通らなくなることがあります。審査が下りるまで、気を抜かないようにしてください。
不動産担保ローンの審査期間は?
不動産担保ローンの審査にかかる期間は、タイミングや条件によっても変動しますが、数日から数週間程度で下りることがほとんどです。
仮審査と本審査の2段階で審査することになり、仮審査は2~3日程度で結果が出ることが多いでしょう。
ただし本審査に対して承認までに1~3週間かかることが多いため、不動産担保ローンを申し込む際は、ゆとりを持ってスケジュールを組むようにしてください。
不動産担保ローンの仮審査はどこまで調べられますか?
不動産担保ローン仮審査は、本審査前におこなわれるもので、事前調査のような役割をします。
不動産が融資の担保として十分な価値があるのか、本人の収入や年齢、返済負担率などが一定の基準を満たしているのか審査します。この時点で本審査をする必要がないと判断されると、仮審査の段階で落ちることになるでしょう。
個人の信用情報も確認されるため、過去に長期の滞納や破産した経験があると、仮審査の時点で承認されないこともあります。
まとめ
不動産担保ローンの審査は、お客様の与信と担保になる不動産の両方に対して審査が行われます。審査基準は金融機関によって異なり、審査基準は公表されていません。不動産担保ローンは担保があるから借入しやすいというのは事実ですが、返済能力の判断は必ず行われますので、まずは事業計画書などを用いて金融機関に明確に示すことが出来るように準備しましょう。また、担保となる不動産についても、物件の所在地、種類、築年数、維持状況などで取り扱いや評価額が変わりますので、事前審査の段階で担当者に確認しておくと良いでしょう。
複数の金融機関に相談することも考え方としてありますが、ネガティブに捉えられる可能性もあるため、相談先はなるべく絞った方が良いでしょう。また、提出資料などは速やかに提出し、金融機関の担当者とは誠実な対応をすることで信頼関係を築くことも大切です。事業計画書の作成にアドバイスをしてもらえたり、相談に乗ってもらえる可能性もあります。
不動産担保ローンは長期間借り入れることが多く、金融機関との付き合いも長くなります。最終的には、信頼関係を構築できると感じた金融機関に相談してみましょう。





