老後資金の平均額はいくら?生活費や今から取るべき対応を解説

老後資金の平均額はいくら?生活費や今から取るべき対応を解説

 

老後資金の準備は、「いつか考えよう」と後回しにしがちですが、実は早めに向き合うほど選択肢が広がります。年金だけで生活できるのか、生活費はいくら必要なのか、医療費や介護費はどの程度見込むべきかなど、将来のお金には不確定要素が多くあります。本コラムでは、老後資金の平均額はいくらか、生活費や今から取るべき対応をわかりやすく解説します。安心して暮らすための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

 

 

 老後資金の平均額はいくら?データで見る現状

安心して老後生活を送るうえで、老後資金がいくら必要になるかを算出しておくことは大切です。老後資金は世帯形態と年代によっても大きく差が出ます。それぞれの平均値と中央値について、世帯別(夫婦二人・一人暮らし)・年代別(30代~60代)について次の章ではデータも参考にみていきます。

 

①【世帯別】夫婦二人・一人暮らしの平均貯蓄額

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2023年)によると、年代別の貯蓄額の平均値と中央値は、次のようになっています。

<年代別の貯蓄額の平均と中央値>

 

  単身世帯 二人以上世帯
平均値 中央値 平均値 中央値
20代 219万円 103万円 403万円 171万円
30代 912万円 300万円 856万円 337万円
40代 964万円 500万円 1,236万円 500万円
50代 2,288万円 555万円 1,611万円 745万円
60代 2,240万円 1,100万円 2,582万円 1,200万円

 

平均値は一部の高額資産層に引っ張られやすく、中央値は真ん中の人の実態を表すため、中央値の方がより現実に近い指標といえます。

一方で、同調査によると金融資産を全く保有していない(貯蓄ゼロ)の世帯は世帯形態によって差があります。二人以上世帯では約24%前後が金融資産非保有であり、単身世帯ではさらに割合が高く、約33%前後が貯蓄ゼロという結果です。特に若い世代では単身世帯の貯蓄ゼロの割合が高い傾向がみられます。

 

②【年代別】30~60代の平均貯蓄額

30代から60代の平均貯蓄額は上記を参照いただければと思いますが、ライフステージによって大きく変動します。

30代は共働き世帯が増え、住宅購入や教育費への積立が本格化する時期です。40代は、教育費のピークと重なり貯蓄が伸び悩む世帯も多く、格差が広がりやすい世代です。 

50代は子の独立や役職定年、早期退職などで老後資金準備のラストスパートに入ります。60代は退職金が加わり貯蓄額は全世代で最高額に達します。 

 

 老後の収入と支出は平均いくら?

老後の収入といえば年金収入となります。

総務省の家計調査(2023年)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入(主に年金)が月額約24.4万円、対する支出は約28.2万円となっています。毎月約3.8万円が不足し、貯蓄を取り崩して生活しているのが一般的な現状です。次章では、この収支の柱となる「年金受給額」の内訳と、ゆとりある暮らしに必要な「生活費」の詳細を具体的に解説します。

 

①【収入】年金の平均受給額

厚生労働省が公表している統計を基にした日本の公的年金(国民年金と厚生年金)の平均受給月額は以下の通りとなります。

平均受給額(月額)比較

年金の種類 平均受給月額(全国・団体)
国民年金のみ(老齢基礎年金) 約5.9万円/月 ※男女全体平均
厚生年金(国民年金分を含む) 約14.6万円/月 ※全体平均

 

◆国民年金の特徴(主に自営業の人) 

・自営業者やフリーランス、専業主婦などが主に加入する国民年金のみの場合の平均受給額です。

・令和6年度の統計では、男女全体の平均で約5万9,300円/月となっています。

・国民年金の受給額は加入期間(月数)に応じて決まるため、満額で受給するには40年間(480月)の保険料納付が必要です。

 

◆厚生年金の特徴(主に会社員)

・会社員や公務員が加入する厚生年金は、国民年金+厚生年金の2つを受け取れるため、国民年金だけの人より受給額が増えます。

・平均受給月額は約14万6,000円/月です。(令和5年度統計)

・現役時代の給与水準や加入期間などによって金額差が出ます(男性平均は16万円台、女性平均は10万円台など)

 

 

②【支出】老後の平均的な生活費

以下は、総務省「家計調査(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果をもとにした、夫婦世帯(2人以上世帯)と単身世帯の消費支出内訳の比較表です。

※金額は1ヶ月あたりの平均消費支出額(円)です。

※夫婦世帯は2人以上世帯の平均データ、単身世帯は単身世帯の平均データを使用しています。

 

支出項目 夫婦世帯(二人以上世帯) 単身世帯
消費支出合計 約325,000円 約169,547円
食料 約88,000円 43,941円
住居(家賃・修繕など) 約31,400円 23,372円
光熱・水道 約21,120円 12,816円
家具・家事用品 (含む) 5,822円
被服及び履物 (含む) 4,881円
保険医療 (含む) 8,394円
交通・通信 約50,000円 20,418円
教育 (小さい) 9円
教養娯楽 約19,000円 19,519円
その他の消費支出(理美容費・交際費等) (残り) 30,375円

 

主なポイント

・総支出額:2人以上世帯は約32.5万円、単身世帯は約17.0万円程度。

・食費:共に生活費で大きな比重を占める項目。2人以上世帯では約8.8万円と単身の約4.4万円を上回る。

・住居費:住居費も大きな比率を占める。単身世帯では家賃負担が割合として大きい。

・交通・通信費:夫婦世帯の方が高め。

 

 【実践】あなたに必要な老後資金の計算方法

それでは老後に必要な資金額の計算方法について解説します。

具体的には、下記のステップ順にシミュレーションするとよいでしょう。

・老後の生活費をシミュレーションする

・支出額から収入額を差し引きいくら不足するのか確認する

・不足分を効率的に準備する

 

シミュレーションを行うことは、老後の不安を「数字」で見える化し、計画的な資産形成につなげるための重要な第一歩となります。

 

ステップ1 |老後の生活費をシミュレーションする

老後の生活費をシミュレーションする際は、「最低限の生活」と「ゆとりある生活」の2パターンで考えると現実的です。まず最低限の生活では、食費6万円、水道光熱費2万円、通信費1万円、日用品1万円、医療費1.5万円、住居費(固定資産税や修繕積立)2万円などを合計し、月15~18万円程度を目安に算出します。一方、ゆとりある生活ではこれに加え、外食費2万円、趣味・習い事3万円、旅行積立3万円、交際費2万円、車関連費2万円などを上乗せし、月25~30万円程度を想定します。各項目を書き出し合計し、さらに年1回の旅行や家電買替などは「年額÷12」で月額換算すると、より精度の高い試算ができます。

 

ステップ2 |「老後の支出合計」から「老後の収入合計」を引く

老後資金の不足額を把握するには、まず「老後の支出合計」から「老後の収入合計(年金など)」を差し引き、毎月いくら不足するかを確認します。そのうえで必要資金は、次の計算式で算出できます。

(毎月の不足額×12ヶ月×老後年数)+一時的な支出

 

例えば、毎月3万円不足し老後生活が25年続く場合、3万円×12ヶ月×25年=900万円が不足分となります。

さらに老後は、毎月の生活費とは別にまとまった支出が発生します。代表例として、介護費用(施設入居費や介護サービス費)、自宅のリフォーム代(バリアフリー化、屋根や水回り修繕)、車の買い替えなどが挙げられます。これらを加えることで、より現実的な老後資金計画が立てられます。

 

 老後資金を効率的に準備する3つの方法

老後資金を効率的に準備する方法としては、以下の3つの方法があります。

・新NISA:運用益が非課税となるため、長期の資産形成に向いている。

・iDeCo:掛金が所得控除となり節税効果が高く、将来の年金づくりに有効

・家計見直し:固定費を削減し、毎月の余剰資金を確保。

 

①新NISA(つみたて投資枠)を活用する

新NISAは、投資で得た利益(値上がり益・配当)が非課税になる制度です。通常、利益には約20%の税金がかかりますが、新NISAなら税負担を抑えながら資産形成ができます。老後資金づくりでは、時間を味方につける長期投資が重要で、運用期間が長いほど複利効果が働き、資産が増えやすくなります。さらに毎月一定額を積み立てる積立投資は、価格が高い時は少なく、安い時は多く買えるため購入単価を平準化できます。加えて投資先を複数に分ける分散投資を行うことで、値動きのリスクを抑えやすくなります。初心者はまず、証券会社で口座を開設し、つみたて投資枠を使って低コストの投資信託(全世界株式やS&P500連動型など)を毎月少額から始めるのがおすすめです。無理のない金額で継続することが成功の鍵です。

 

②iDeCo(個人型確定拠出年金)で税制優遇を受ける

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除となる点が大きなメリットです。たとえば毎月2万円積み立てると年間24万円が所得から差し引かれ、所得税・住民税が軽減されるため、実質的に「節税しながら老後資金を作れる制度」といえます。さらに運用益も非課税で、受け取る際も一定の控除があるため、税制優遇が手厚いのが特徴です。

一方、新NISAは運用益が非課税ですが、掛金自体は所得控除にならず、節税効果はiDeCoほど強くありません。ただし新NISAは途中で売却や引き出しが可能で、資金の自由度が高い点が魅力です。iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、生活防衛資金を確保したうえで利用する必要があります。

併用する際は、まずiDeCoで節税メリットを活かしつつ、残りを新NISAで積立投資に回すのが基本です。老後資金はiDeCo、将来の教育資金や住宅資金など流動性が必要な資金は新NISAと役割分担すると効率的です。

 

③家計を見直し、先取り貯蓄を徹底する

家計改善の基本は、支出を減らし「先取り貯蓄」を仕組み化することです。まず固定費は削減効果が大きく、通信費(格安SIM)・保険料(保障の整理)・サブスク解約・住宅ローン借換え・電気ガスの契約見直しがポイントです。次に変動費は、食費の外食回数・コンビニ利用・交際費・日用品のまとめ買い・娯楽費の予算化で無駄を減らします。見直し後は、貯蓄分を給与振込と同時に別口座へ移す「天引き貯蓄」を行うと効果的です。残ったお金で生活する形になるため、自然と支出が抑えられ、無理なく貯蓄が継続できます。老後資金づくりの土台として最も確実な方法です。

 

 よくある質問

老後資金は必要ない?

老後資金は「年金があるから不要」と思われがちですが、医療費や介護費、物価上昇など想定外の支出が増える可能性があります。安心して暮らすためにも、最低限の備えは必要です。

 

貯金2000万で何年暮らせる?

貯金2000万円で暮らせる年数は、毎月の生活費次第です。例えば月20万円なら約8年、月25万円なら約6年半、月30万円なら約5年半が目安です。年金収入があればさらに延びます。

 

 まとめ

いかがでしたでしょうか?

現在ご準備されている資産で不足する部分は、計画的に準備していかなければなりません。

人生100年時代と言われる現在では、日々の貯蓄に加え、新NISAやiDeCo等の運用もうまく取り入れ、充実した老後生活を送れるように早めの準備を始めていきましょう。

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