不動産担保ローンは税金の支払いに使える?税金の支払いに利用するメリットも解説

不動産担保ローンは税金の支払いに使える?税金の支払いに利用するメリットも解説

 

事業者の方の中には、資金繰りが苦しい際に納税のための資金を運転資金に使用してしまい、滞納して督促状や差押え通知が届くような状態になってしまった、というケースを耳にすることがあります。手元資金が不足しているため、融資を受けて支払えればとお考えの方もいるでしょう。

不動産担保ローンは、原則として資金使途が自由なため、納税資金としても利用できます。本記事では、納税資金のために不動産担保ローンを利用するメリット、注意点などについて解説します。

 

 

 不動産担保ローンは税金の支払いに使える?

不動産担保ローンは、原則として資金使途が自由なため、納税資金としても利用できます。金融機関としては、不動産担保ローンは無担保ローンよりもリスクが低くなるため、まとまった金額を長期の契約で融資し易くなります。税金には、固定資産税、住民税、所得税、相続税、贈与税など様々な種類がありますが、税目に限らず納税資金として使用できます。

 

資金の使い途が自由なため納税資金として活用できる

不動産担保ローンは原則として資金使途が自由なため、納税資金としても利用することが出来ます。但し、金融機関の中でも銀行系とノンバンク系とでは、取扱いに違いがある可能性があります。一般的に、ノンバンク系では取り扱っていますが、銀行系では取り扱っていないところもありますので、事前に確認が必要です。

不動産担保ローンは、金融機関側から見たリスクを抑えられるため、無担保ローンと比べて、低い金利でまとまった金額を長期の返済期間で融資することが出来る商品です。上手に利用すれば、資金繰りも円滑になり、与信を低下させずに済みます。

 

固定資産税・相続税・住民税など様々な税金に対応可能

納税資金として利用できるため、基本的には税目を問いません。以下に主だった税目と納期限の目安を記載します。納付時期は管轄の自治体により違いがありますのでご注意ください。

税目 納付時期 備考
申告所得税 3/15  
相続税 申告時 相続を知った日から10ヶ月以内
贈与税 3/15  
源泉所得税 対象となる所得を支払った月の翌月10日  
消費税 3/31  
個人事業税 3/15  
不動産取得税 申告後概ね6ヶ月くらい  
固定資産税 年4回 1月1日時点の所有者に課税
住民税

普通徴収…年4回分割(第1期は6月ごろ)

特別徴収…給与天引き

 

国民健康保険料

後期高齢者医療保険

介護保険

分割払い(自治体により異なる)

第1期は6月ごろ

世帯主課税

後期高齢者医療保険・介護保険は年金受給者の場合は天引きされる

法人税

地方法人税

事業年度末から2ヶ月以内に申告納付  

法人区(市)民税

法人事業税

同上  
社会保険料 納付対象月の翌月末  

 

 税金の支払いに不動産担保ローンを利用する3つのメリット

税金の支払いに不動産担保ローンを利用するメリットを3つ挙げます。

メリット1  差押えを回避し、一括で納付できる

メリット2  カードローン等より低金利で、返済負担を抑えられる

メリット3  長期の返済計画で、月々の返済額を軽く出来る

以下で詳しく見ていきます。

 

メリット1:差し押さえを回避し、一括で納付できる

税金を滞納すると督促を受けるだけでなく、長期延滞の場合には銀行口座や不動産などが差し押さえを受けることもあります。

不動産が差し押さえられると「差押登記」が設定されるため、金融機関で融資を受けようとする場合に差押えされていることが知られて、融資を断られたり、与信状況を低下させたりする可能性があります。

また、税金を滞納すると延滞税がかかります。2ヶ月以上延滞の場合、7.3%以上の延滞税を課されてしまうため、金融機関で融資を受けて一括納付した方が、延滞税の支払いを抑えられるという場合もあります。

 

メリット2:カードローン等より低金利で返済の負担を抑えられる

不動産担保ローンは、カードローンなどの無担保ローンと比べて、より低い金利で借入することが出来るローン商品です。以下に、不動産担保ローンと無担保ローンの金利の違いを記載します。

 

 

無担保ローン

(消費者金融系)

無担保ローン

(銀行系)

不動産担保ローン
金利 3~18% 1.5~14.5%

0.85%~(変動金利)

1.95~15%(固定金利)

(※上記はあくまでも目安です。詳細な条件は各金融機関により異なりますのでご注意ください。)

 

無担保ローンと比べると、不動産担保ローンは金利が低めで、高額の融資を長期で借入できます。また、ノンバンク系は審査基準が柔軟でスピードが早いのが特徴です。

不動産担保ローンは、担保がある分貸し倒れリスクを抑えることが出来るため、無担保ローンと比べて低めの金利で融資が可能になるのです。

 

メリット3:長期の返済計画で月々の返済額を軽くできる

不動産担保ローンは、無担保ローンと比べて低い金利で長期間の借入をすることが出来ます。返済期間を長く出来ると月々の返済金額を抑えられるため、資金繰りの改善につなげることが出来ます。

返済例:不動産担保ローンで1,000万円を固定金利7.8%で借り入れした場合

返済期間 月々の返済額 返済総額
10年 120,273円 14,432,760円(うち利息分 4,432,760円)
20年 82,403円 19,776,720円(うち利息分 9,776,720円)
30年 71,987円 25,915,320円(うち利息分 15,915,320円)


長期間でローンを組んだ方が月々の返済額は少なくなります。一方で、返済総額に占める利息は10年ローンが約440万円なのに対し、30年ローンは約1,600万円となります。借入期間が長くなると、利息の負担額が大きくなることについては注意が必要です。

 

 知らないと危険?不動産担保ローンを税金支払いに使う際の注意点

不動産担保ローンは納税資金に利用がすることができ、先述のようなメリットもありますが、利用する際に注意して頂きたい点が3点あります。

1.借入金を返済できない場合に担保不動産を失うリスクがある

2.審査から融資実行まで一定の時間がかかる

3.事務手数料や登記費用などの諸経費が発生する

以下で詳細に説明していきます。

 

注意点1:返済できなければ大切な不動産を失うリスクがある

不動産担保ローンを利用して税金の滞納を回避できたとしても、不動産担保ローンは住宅ローンと同様に不動産を担保にしているため、返済不能となった場合には不動産を売却して返済しなければなりません。金融機関は担保となる不動産に抵当権や根抵当権の設定登記を行い、返済ができなくなった場合には不動産を売却し、その売却代金から元金と利息の返済が受けられるように保全を図っています。

もちろん、数日間の滞納で急に売却されるわけではありません。滞納が続いた場合に、督促状が届き、一定の期間を設けた中で返済がされない場合は、金融機関が不動産競売申立て等の法的手続きを申請するという流れになります。そのような事態を招かないために、余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。

 

注意点2:審査から融資実行まで時間がかかる場合がある

不動産担保ローンを利用する際は、「融資実行までの期間に余裕を持つ」ことが非常に重要です。その理由は、申し込みから実際の融資実行までに一定の時間がかかるという点です。

不動産担保ローンは、審査項目が多く・手続きが複雑なため、一般的に以下のようなステップがあります

ステップ 主な内容 所要期間(目安)
1.申込 書類提出、事前ヒアリング 即日~数日
2.与信審査 本人確認、収入、信用情報チェック 約1週間
3.不動産調査 担保物件の現地調査・査定 約1週間
4.契約手続き 契約書締結、担保権設定準備 約1週間
5.融資実行 登記申請後に実行 約2~3営業日


合計約3〜4週間かかるのが一般的です。状況によっては1ヶ月以上かかることもあります。したがって、納税資金として利用する場合には、納付期限日から逆算して動き出さないと間に合わなくなる可能性があります。ご融資に関するお問合せ・ご相談は1ヶ月以上の余裕をもって行うことが大切です。

それでも予期せぬトラブルから早期に融資を受けなければならないことはあるでしょう。アサックスでは、ご面談・お申込みから通常1週間程度、最短3日での融資にも対応しております。

 

注意点3:事務手数料や登記費用などの諸経費が発生する

一般的に、不動産担保ローンで融資を受ける際には手数料がかかります。概ね融資金額の2%前後としている金融機関が多いようです。その他に、抵当権や根抵当権の設定登記費用、契約書に貼る収入印紙代などの諸費用がかかります。また、金融機関によっては、保証会社に支払う保証料や不動産の調査費用・鑑定費用もかかる場合があります。

以下に参考例を記載します。

 

  費用 備考
融資事務手数料 融資金額に対し、0~3.3%程度 各金融機関やローンの種別により異なります
登記費用 数万円~数十万円 契約金額により異なります。登録免許税という税金と司法書士報酬を合算した金額となります。
収入印紙代 数千円~数万円 契約金により異なります。

 

上記のほか、印鑑証明書や納税証明書などの証明書取得費用も必要となります。詳しくは各金融機関の担当者へ事前に確認しましょう

 

 税金を滞納していても不動産担保ローンは利用できる?

税金の滞納がある状態で不動産担保ローンを利用できるかは、各金融機関の審査基準により対応が分かれます。一般的に、銀行系の不動産担保ローンは税金滞納中には利用を見送られる可能性があります。これに対し、ノンバンク系の不動産担保ローンは対応が柔軟なため、取扱うところが多いようです。審査でポイントになる点は大きく分けて、担保になる不動産の評価が十分にあるか、返済能力に問題が無いか、の2点になります。

 

滞納中でも柔軟に審査するノンバンクなら利用できる可能性がある

一般的に銀行系の不動産担保ローンは税金に滞納があると取り扱いを見送ることが多いようです。税金の滞納により担保不動産に差押えを受ける可能性があり、返済能力など与信に問題があると判断されます。一方で、ノンバンク系の不動産担保ローンは審査対応が柔軟で、税金滞納があっても、返済能力があり担保不動産に十分な評価があれば、融資金で滞納分を完納することを条件に納税資金として取り扱うケースが多くあります。税金の差押えを受けていても、融資金から滞納している税金を納付することにより、差押えも解除されます。

 

ポイント1:担保不動産の価値が借入額や納税額を上回っているか

不動産担保ローンで融資を受ける際、重要になるのが不動産の価値です。金融機関は万が一借主から返済を受けられなかった場合に、担保不動産を売却して返済を受けるため、担保価値が融資金額を上回っている必要があります。したがって、不動産の価値が融資金額に満たないような場合は、取扱ってもらえないか減額での条件提示を受けることになります。一般的に不動産担保ローンで融資を受ける場合、担保になる不動産評価額の70~80%を上限にしているところが多いようですので、融資額に見合う評価の不動産を用意する必要があります。

 

ポイント2:安定した収入があり、継続的な返済能力が見込めるか

不動産担保ローンであっても、返済能力が無い借主に金融機関は融資しません。法人であれば決算内容、キャッシュフローの内容、今後の事業見通しなどが重要になります。また、個人の場合、個人事業者であれば法人と同じような点がポイントになりますし、給与所得者であれば収入に対するローンの返済比率、勤続年数、年齢などを確認し、安定して返済できる条件が備わっているのか審査します。また過去の返済履歴や今現在の借入状況も審査の対象になるため、これまでに返済が滞った履歴があると審査が通りにくくなることがあります。金融機関からは決算書、確定申告書、源泉徴収票、事業計画書などの提出を求められることになります。

 

 【ケース別】不動産担保ローンと税金の関係

少し話は変わりますが、不動産担保ローンと税金の関係について、利用する際に知っておいた方が良いことを二つのケースで説明します。

1.個人事業主・法人が借主の場合

2.相続税の支払いに利用する場合

以下でそれぞれ詳細に触れます。

 

【個人事業主・法人】支払利息は経費にできる?確定申告のポイント

不動産担保ローンの借主が個人事業主や法人の場合、事業のための借入により生じた利息は経費として計上できます。また、利息以外にも借入手数料、収入印紙代、保証料などは経費として計上が可能です。

ただ、どんな借入であっても認められるわけではなく、「事業のため」に「どこから借り入れたか」という点がポイントとなります。

例えば、事業主の方が事業拡大や継続の目的で金融機関から借り入れた運転資金や設備資金によって生じた利息は経費にできますが、事業主の方が自らの自宅を購入する際などに借り入れた住宅ローンなどは事業に関係ないため利息を経費計上できません。事業運営に必要な店舗兼居宅を購入する際にローンを借り入れた場合、店舗部分の面積を全体から按分し、算出された割合のみ経費計上が可能となります。(店舗部分が建物全体の40%だった場合、ローンの利息の40%相当を経費計上できる)

また、どこから資金を借り入れたかによっても扱いが変わります。銀行や金融業者等からの借入であれば上記の通り経費計上はできますが、親族から事業にかかる資金を借り入れた場合には、その親族と生計を共にしているか否かで扱いが変わり、同一生計の親族からの借入金は経費計上できず、同一生計でない親族からの借入金については経費計上が可能となります。

 

確定申告する場合には、以下の勘定科目で経費に計上できます。

借入にかかった利息 → 「支払利息」

借入手数料、保証料 → 「支払手数料」

印紙税 → 「租税公課」

確定申告書を作成する際にはしっかりと経費計上し、課税額を抑えましょう。

 

【相続税】不動産を売却せずに納税資金を準備する方法

2015年の相続税法改正により、相続が発生した際に相続税の対象から控除される基礎控除額が減額されました。これにより地価の高い地域に不動産を所有している方などは、相続税が課せられる可能性が高まりました。

実際に相続が起こり、相続税を納めなくてはならないが、納めるだけの手元資金が無く、延納や物納の審査が間に合わないということも起こりえます。そのような場合に、相続した不動産を担保に納税資金の融資を受けることで、相続した不動産を手放さなくても済む場合があります。

このケースの場合に、相続人が複数人いる場合は注意が必要です。不動産担保ローンは、不動産の所有者が契約に加わる必要があるため、他の相続人と仲が悪く協力を得られないような場合には、その不動産を担保として扱うことが難しい場合があります。

 

 よくある質問

家を担保に税金支払いをするデメリットは?

自宅を担保に納税資金の借入れを行い、他の借入を返済するような場合のデメリットとしては、借入金の返済が出来ない場合に自宅を失うリスクがあるという点です。長期の延滞をすると金融機関から差押えだけではなく、不動産競売の申し立てを受け、強制的に売却される場合もあります。

 

不動産担保ローンの諸経費はいくらですか?

一般的に不動産担保ローンで融資を受ける際には手数料がかかります。概ね融資金額の2%前後としている金融機関が多いようです。その他に、抵当権や根抵当権の設定登記費用、契約書に貼る収入印紙代などの諸費用がかかります。また、金融機関によっては、不動産の調査費用・鑑定費用もかかる場合があります。

 

 まとめ

不動産担保ローンは原則として資金使途が自由であるため、納税資金として利用することが出来ますが、取扱いは銀行系とノンバンク系とで異なりますので、予め確認されると良いでしょう。また、ご利用いただく際にはメリットもありますが、デメリットもあるため、予めシミュレーションしておくことが重要です。

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