税金滞納し続けるとどうなる?対処法や差し押さえまでの流れを解説

税金滞納し続けるとどうなる?対処法や差し押さえまでの流れを解説

 

税金は、国や地方自治体が公共サービス(警察、消防、教育、道路の整備など)を提供するための費用をまかなうために、国民や企業から集めるお金のことです。いわば社会生活を行う上での会費のようなものであり、日本国憲法では、納税は国民の義務と定められています。よって支払いを怠ると罰則が与えられます。本章では税金を納めなかった場合の罰則、信用情報に与える影響、また支払う意思があるのに諸事情により一括での支払いが困難な場合の対処方法を含め説明していきます。

 

 税金を滞納し続けるとどうなる?

  税金には、法律で定められた納付期限(法定納期限と言います)があり、期限内に支払わないと滞納となります。税金を滞納すると、他の納税者との公平性を保つために罰則として延滞税が発生します。それと同時に、税務署や地方公共団体は、法律の定めにしたがって行政処分を行います。詳しく解説しましょう。

 

延滞税(延滞金)が発生

法定納期限までに定められた税金を支払わなかった場合には、法定納期限の翌日から完納するまでの日数に応じた延滞税が課せられます。国税では延滞税、地方税では延滞金と呼ばれ、その性質は本税に対する利息です。延滞税の料率は、税金の種類や行政によって適用期間が異なりますので、ここでは国税についてご説明します。

 

国税の延滞税は、法定納期限後2ヶ月以内と2ヶ月超で延滞税率が異なります。原則として、法定納期限後2ヶ月以内の場合には年7.3%、2ヶ月超の場合には年14.6%となっています。

 

詳しくは、国税庁ホームページ「No.9205 延滞税について」をご覧ください。

 

督促状が送られる

法定納期限内に納付されない場合、延滞税は自動的に加算されていきますが、具体的な手続きは管轄している行政機関の担当者が行います。滞納すると、課税している行政機関より督促状が送られます。督促状とは、本来支払うべき期日に支払うべき金額の支払いが滞っていることを知らせる文書であり、本税(本来納めるべき税金)と延滞税の金額が明示されています。

 

督促状が送られてくるまでの日数は、国税で50日以内、地方税だと20日以内です。この段階では、延滞税という罰則は発生しているものの、本税と延滞税を支払えば滞納していることを第三者に知られることはありません。

 

差押え

国税か地方税かにかかわらず、督促状発送後10日を経過しても税金を支払わない場合には、差押えという行政処分が行われます。10日経過後に必ず差押えとなるのではなく、行政機関がいつでも差押えをすることができる状況となります。

行政機関の徴収担当者は、滞納者の財産を把握するため、官公署や金融機関、勤務先など幅広い範囲を調査します。法律に基づいて調査をすることができるため、滞納者や調査対象先の都合や意思を全く考慮することなく進められます。主に調査の対象となる財産は、滞納者の資産(不動産や動産など)や債権(給与や預金など)であり、差押え対象となる財産があった場合には、何ら予告なく差押えされます。

 

滞納による信用情報への影響

税金の滞納そのものが「信用情報機関」に登録されることは通常ありませんが間接的に信用情報や金融取引に影響するケースがあります。

1.クレジットカード納税を利用していた場合

税金をクレジットカードで納付し、そのカード利用代金の支払いを延滞すると、信用情報に延滞情報が登録される可能性があります。

2. 差押えを受けた場合

税金を滞納し自治体や税務署から預金口座や不動産などを差し押さえられると利害関係のある金融機関に通知が届くため信用情報に影響がでる可能性があります。

3. 住宅ローンや事業融資の審査

金融機関によっては融資審査時に納税証明書を確認するため信用情報に問題がなくても、税金滞納があると融資審査で不利になることがあります。

 

 滞納処分(差押え)を無視すると?  

差押えされた財産は、自由に利用や処分することができなくなります。滞納している税金を全て支払わない限り、差押えを解除してもらうことはできません。行政機関としても、差押えをしただけでは税金を徴収したことにならないため、滞納者が支払いを行わない場合には、差押えた財産を換価して滞納している税金に充当します。差押えられた財産の種類によって行われることが違うため、それぞれ解説します。

 

不動産が差し押さえられた場合

不動産を差押えられた場合、直ちに利用できなくなるわけではありませんが、登記簿謄本に差押えの登記がされます。差押えられた不動産であっても売買や贈与などの所有権移転はできますが、いつ換価処分がされてもおかしくない不安定な状態となります。そのような不動産を取得したい方は皆無であり、住宅ローンを提供している金融機関も取り扱わないため、事実上自由に処分できないこととなります。
滞納状態が継続されると、換価するために行政機関が強制的に売却(公売といいます)をし、売却代金から滞納税金を徴収されることとなります。

 

給与が差し押さえられた場合

給与を差押えられた場合には、毎月の給与全額ではなく一定の金額が差押えられて滞納税金に充当されます。一度きりではなく、滞納が解消されるまで差押えは継続します。最大のデメリットは、勤務先に差押え通知書が届き、滞納している金額や期間を知られてしまうことでしょう。また、不動産の場合と違い、差押えられた時点で一定の金額が徴収されることにも注意が必要です。

 

預金口座を差し押さえられた場合

預金を差押えされた場合には、金融機関は差押えられた預金口座を凍結するため、自由に預金を引き出すことができなくなります。給与の差押えと同様に、差押えられた時点で滞納税金相当額が徴収されるため、予定していた口座振替が決済できない事態になることもあるでしょう。融資取引をしている場合には、銀行取引約定に記載されている期限の利益喪失事由に該当してしまうため、一括返済や取引停止を求められることもあります。法人や個人事業主の方が事業用に利用している銀行口座が差押えられた場合には、取引先との支払いなども含めて多大な影響が出ることになるため、注意するようにしてください。  

 税金を滞納しないために心掛けたいこと  

収入と支出の金額を具体的に把握することで税金の滞納を防ぐことはできますが、滞納してしまうことが多くなるケースを3つご紹介します。

 

「給与所得者」

通常、所得税や住民税、不動産所有者であれば固定資産税が課税されます。
所得税や住民税は給与から差し引かれていることが多いため、実感が湧きづらく具体的な税額を把握していない方も少なくありません。同じ会社に勤めていれば滞納となる可能性は低いものの、転職や個人事業主として独立した時に気を付けたいのは住民税です。住民税は前年の収入に対して課税されるため、収入が極端に下がってしまった場合には大きな負担となります。あらかじめ準備しておくと安心です。

 

「法人や個人事業主」

一般的には、法人税や消費税、源泉所得税、法人事業税(個人事業税)、法人住民税などが課税されます。
この場合に注意したいのは、利益ではなく、課税売上に応じて納税額が決まる消費税です。消費税は預り金的性質の税金であることから、法人の利益の有無にかかわらず納付義務があります。赤字決算だったとしても支払わなければなりません。消費者から便宜的に預かっている消費税を滞納すると、税務署から厳しく追及されますので、資金繰りとは別に管理しておくことが大切です。

 

「相続が発生した時」

相続税は、相続した財産(現預金・有価証券・固定資産など)と債務(借入金など)を計算して相続財産の価額が決定され、相続人の人数などによって基礎控除額が差し引かれ、余剰分があった場合に課税されます。相続税の申告・納付期限は、相続が発生(被相続人が死亡)したことを知った時から10カ月以内となっています。期限内に税金を支払うことができない可能性があるのは、相続財産に固定資産(不動産)が多い場合です。

 

不動産は高額であるため、買い手を探すことに一定の時間がかかります。同一の不動産を複数人で相続した場合には共有名義となるため、売却の意思決定や金額などについては全員の同意がなければなりません。また、不動産の場所や種類によっては、全く売れないといったことも想定されます。相続が発生する前に、おおまかな相続税の金額をシミュレーションした上で誰がどの財産を相続するかを検討し、税金を支払うための資金を準備しておくようにしましょう。

 

それでも不足してしまう、納税できない場合には

病気や失業などの理由があって納税できない場合もあります。まずは、各行政機関に事情をよく説明することが大切です。連絡を怠ったり督促状を無視していると、行政機関も状況を把握することができないため、滞納処分の手続きに入ります。要件を満たしていれば、換価や納税の猶予を申請することもできます。その他、金融機関から借り入れをして税金を支払うという選択肢もあります。  

 

分割納付(分割)について

税金の分割納付が認められる主なケースは次のような事情で一括納付が難しい場合です。

失業や収入の大幅減少・病気やケガによる長期療養・災害による損害・事業不振 

その他、生活や事業の維持が困難になる事情 

<手続きの流れ>

納期限を過ぎる前、またはできるだけ早く税務署・自治体へ相談、収入や支出の状況を説明する。必要に応じて申請書や資料(給与明細、預金通帳、収支資料など)を提出する。 

<申請先>

国税(所得税・消費税・法人税・相続税・贈与税など)

⇒住所地や事業所所在地を管轄する税務署の徴収担当です。国税庁は、一括納付が困難な場合は所轄税務署へ相談するよう案内しています。

地方税(住民税・固定資産税・国民健康保険税など)

⇒市区町村の税務担当部署です。住民税は納税課・収納課、固定資産税は資産税課・納税課、国民健康保険税は国保担当または納税担当となります。自治体ごとに部署名は異なりますが、「納税相談窓口」で受け付けていることが一般的です。

 

納税猶予制度について

納税猶予制度は、大きく分けると次の2種類です。 

1. 換価の猶予

すでに税金が滞納状態になっている場合に、財産の差押えや売却(換価)を一定期間猶予してもらう制度です。

<主な要件>納税意思はあるが、一括で納付すると事業継続や生活維持が困難になるおそれがある。今後は新たに滞納が発生しない。 

<効果・メリット>

原則として最長1年間(状況によってはさらに延長される場合あり)の分割納付が可能になる。延滞税が軽減される場合がある。 

 

2. 納税の猶予

「災害や病気」、「事業を休止・廃止または著しい損失を受けた」などの特別な事情により、一括で納付できない時に認められる制度です。制度を利用するには原則として自ら申請することが必要です。

<効果・メリット>

原則として最長1年間(状況によってはさらに延長される場合あり)、税金を分割または猶予して納付できる。延滞税の軽減または免除される場合がある。差押えを猶予される。 

 

 税金滞納中に融資を受けることができるのか  

銀行や信用金庫は、融資をする前提として税金に未納がないことが条件となっています。したがって、期限到来前に納税準備金としての融資は行っていますが、滞納している税金は原則対象外となります。また、消費税や源泉所得税などの預り金性質の税金は、期限到来前であっても取り扱っていません。

それに対し不動産担保ローン専門会社の場合には、資金使途が自由であるため対応可能です。不動産を担保にすることで、低金利で返済期間を長期にすることができるため、返済能力があると判断されれば融資を受けることができます。延滞税よりも利率が低かったり、猶予申請よりも期間が長くなるため、キャッシュフローの改善につながることもあります。

 

 よくある質問

税金の滞納は、いつまで待ってくれますか?

国税の場合は納期限までに納付がない場合、税務署は原則として納期限後50日以内に督促状を発送します。督促状を発した日から10日を経過しても完納されない場合、法律上は差押えが可能になります。実務上は、電話連絡や納付相談、財産調査などを経て差押えに至るケースが多くありますが、悪質な場合は比較的早期に執行されることもあります。 

地方税の場合は督促状発送の時期は自治体によって異なりますが、多くは納期限後20日~1か月程度で発送されます。差押えまでには数か月かかることもありますが、法的には督促後10日を経過すれば差押えが可能です。

 

税金を払えないと捕まりますか?

一般的に、税金を払えないだけで直ちに逮捕されたり刑務所に入ったりすることはありません。税金の滞納に対して税務署や自治体がまず行うのは、刑事罰ではなく滞納処分(財産の差押えなど)です。

意図的な脱税(所得隠し、架空経費計上など)、帳簿の改ざんや虚偽申告、差押えを逃れるための財産隠しなど税務調査で悪質な不正が認定された場合は税法違反として刑事事件になり、罰金や懲役が科される可能性があります。

 

 

 まとめ

今回は、税金を滞納した場合にどのようなことが起こるのかを詳しく解説しました。滞納し続けると差し押さえが行われ、財産を処分されたり、社会的信用を失ってしまうこともあります。延滞税も決して低い利率ではありません。税金を滞納しないようにするためには、収入と支出を把握しておくことが大切です。先々の納税資金を検討しておきたい場合や納税資金が不足する可能性がある場合には、経験豊富な我々アサックスにご相談ください。

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