不動産担保おまとめローン!メリット・デメリットと注意点を徹底解説
いわゆる「おまとめローン」とは、複数の借入を一つの借入にまとめることを言います。カードローンなどの無担保の借入れ、特に消費者金融からの借入れは一般的に高めの金利となっています。一方で不動産担保ローンは、無担保ローンと比べて比較的低金利で高額な融資を受けることが出来るローン形態であり、高めの金利で借入しているローンを、不動産担保ローンでまとめることにより、月々の返済負担を軽減することが出来る可能性があります。但し、不動産担保ローンを利用する際には事務手数料や登記費用などの諸費用がかかることや、借入期間を長期に出来る反面、返済総額が増える可能性があります。このようなメリット・デメリットを良く理解したうえで利用を考えることが大切です。 この記事では、不動産担保ローンを利用して既存の借入をまとめる際のメリット・デメリットや注意点を詳しく解説します。 |
不動産担保ローンのおまとめとは?
一口に「おまとめローン」と言っても、無担保ローンの借入と不動産担保ローンの借入には違いがあります。
無担保ローンでのおまとめ | 不動産担保ローンでのおまとめ | |
金利 | 低くできる可能性がある | 一般的に無担保より低金利 |
月々の返済 | 金利・返済期間により軽減される可能性がある | 金利が下がり長期返済にできる為、月々の返済負担が軽減される |
返済総額 | 金利・返済期間により軽減される可能性がある | 金利が下がる為軽減される可能性が高いが、諸経費がかかることや返済期間が長くなることにより返済総額が増える場合もある |
担保 | 無し | 不動産 |
入金管理 | 借入先が1社になるので、返済管理が楽になる |
仕組みを理解する
不動産担保でのおまとめローンを行う場合の流れを説明します。既に複数の借入がある場合に、その借入条件を確認し、まとめるメリットがあるかどうかがポイントになります。まずは不動産担保によるおまとめローンを扱う金融機関に相談されるのが分かり易いでしょう。一般的に、不動産担保ローンは無担保ローンよりも金利が低く、高額な融資を長期の返済期間で借入することが出来るため、無担保ローンが複数ある場合はメリットがあります。金融機関は不動産の担保がある分、万が一返済が滞った際の貸し倒れリスクを低く抑えることが出来るため、低めの金利で高額の融資が出来るのです。仮審査を受けて借り換えのメリットが見込めるようなら、正式に申し込みを行います。与信の調査と担保不動産の調査が行われ、審査が通れば不動産担保ローンによる借入で既存の借入をまとめることが出来ます。
他のおまとめローンとの違い
無担保のおまとめローンと不動産担保でのおまとめローンを簡単に比較してみます。
無担保ローンと比べると、不動産担保ローンは金利が低めで、高額の融資を長期で借入できます。また、ノンバンク系は審査基準が柔軟でスピードが早いのが特徴です。
無担保ローン(消費者金融系) | 無担保ローン(銀行系) | 不動産担保ローン | |
金利 | 3~18% | 1.5~14.5% |
0.85%~(変動金利) 1.95%~15%(固定金利) |
上限金額 | 300万円~800万円 | 1,000万円程度 | 300万円~10億円 |
審査スピード | 早い(最短即日~) | 時間がかかる(一週間~) |
ノンバンク系:早い(最短即日~数日) 銀行系:時間がかかる(1週間~数週間)) |
審査基準 | 柔軟 | 厳しめ |
ノンバンク系:柔軟 銀行系:厳しめ |
借入期間 | 10~13年以内 | 10年以内 | 最大30~35年 |
(※上記はあくまでも目安です。詳細な条件は各金融機関により異なりますのでご注意ください。)
不動産担保ローンでおまとめする4つのメリット
これまでも述べてきましたが、ここで不動産担保ローンによるおまとめローンのメリットを整理しておきます。①金利負担を軽減できる、②毎月の返済が楽になる、③返済期間を延ばせる、④管理がシンプルになることが挙げられます。
①金利負担を減らせる
カードローンなどの無担保ローン、特に消費者金融からの借入れは、一般的に高めの金利となっています。銀行系で1.5~14.5%位、消費者金融系で3~18%位が目安です。一方で不動産担保ローンは、無担保ローンより比較的低金利で融資を受けることが出来るローン形態です。銀行系の変動金利型で0.85%~、固定金利型で1.95%~上限15%以内というのが目安となります。高めの金利で借入しているローンを、不動産担保ローンでまとめることにより、借入金利を低く出来る可能性があります。不動産担保ローンは、担保がある分、債権者の貸し倒れリスクを抑えることが出来るため、無担保ローンと比べて低めの金利で融資が可能になるのです。
②毎月の返済が楽になる
無担保ローンの借入を不動産担保ローンでまとめた場合、月々の返済金額が軽減される可能性があります。その理由は、不動産担保ローンの方が低い金利かつ長期間で借入できることにあります。例えば、無担保ローンで合計500万円を金利15%、期間10年で借入した場合と、不動産担保ローンで500万円を金利7.8%、期間20年で借入した場合を比較してみます。
月々の返済金額 | 返済総額 | |
無担保ローン (500万円、金利15%、期間10年) |
80,667円 | 約950万円 |
不動産担保ローン (500万円、金利7.8%、期間20年) |
41,201円 | 約988万円 |
上記の場合、返済総額はほぼ変わりませんが、月々の返済金額は約半分になっていることがおわかりいただけると思います。
③返済期間を延ばせる
無担保ローンの融資期間は銀行系で10年、消費者金融系で10~13年位が目安となります。一方、不動産担保ローンの融資期間は、最長で30~35年まで扱っている金融機関があります。先にも述べましたが、不動産担保ローンは担保があるため、債権者側は貸し倒れリスクを低く抑えることが出来、長期間の融資をすることが可能となります。
④管理がシンプルになる
複数の金融機関から借入れをしている場合、毎月の返済日や返済金額を複数管理する必要があります。うっかり返済を忘れてしまうと、督促を受けるほか、遅れた分の遅延損害金を加算して支払う必要が生じるため注意が必要です。おまとめローンを利用して複数の借入先を1社にすることが出来れば、返済管理をしやすくなり、うっかり返済を忘れてしまうことも避けられるでしょう。
不動産担保ローンでおまとめする3つのデメリット
不動産担保ローンでおまとめする場合には、メリット以外にデメリットもあります。主に以下の3点、①担保不動産を失うリスク、②諸費用がかかる場合がある、③総返済額が増える可能性があることが挙げられます。
①不動産を失うリスク
不動産担保ローンは住宅ローンと同様に不動産を担保にしているため、返済不能となった場合には不動産を売却して返済しなければなりません。金融機関はどちらのローンの場合でも、担保となる不動産に抵当権や根抵当権の設定登記を行い、返済ができなくなった場合には不動産を売却し、その売却代金から元金と利息の返済が受けられるように保全を図っています。但し、数日間の滞納で急に売却されるわけではありません。滞納が続いた場合に、督促状が届き、一定の期間を設けた中で返済がされない場合は、金融機関が不動産競売申立て等の法的手続きを申請するという流れになります。そのような事態を招かないために、余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。
②諸費用がかかる場合がある
一般的に、不動産担保ローンで融資を受ける際には手数料がかかります。概ね融資金額の2%前後としている金融機関が多いようです。その他に、抵当権や根抵当権の設定登記費用、契約書に貼る収入印紙代などの諸費用がかかります。また、金融機関によっては、不動産の調査費用・鑑定費用もかかる場合があります。
以下に参考例を記載します。
費用 | 備考 | |
融資事務手数料 | 融資金額に対し、0~3.3%程度 | 各金融機関やローンの種別により異なります。 |
登記費用 | 数万円~数十万円 | 契約金額により異なります。登録免許税という税金と司法書士報酬を合算した金額となります。 |
収入印紙代 | 数千円~数万円 | 契約金額により異なります。 |
上記のほか、印鑑証明書や納税証明書などの証明書取得費用が必要になる場合があります。詳しくは各金融機関の担当者へ事前に確認しましょう。
③総返済額が増える可能性
先にも述べたとおり、不動産担保ローンは不動産を担保にすることで無担保ローンよりも比較的低金利で高額な金額を、長期の返済期間で借入れすることができるのが特徴のローンです。
ただし、適用金利を下げられて月々の返済額を抑えられても、借入期間が長くなると総返済額は増える可能性があります。月々の返済額の軽減を優先するか、総返済額の軽減を優先するか、ローンをまとめる際は、毎月の返済金額や総返済額をシミュレーションして、負担が軽減できるかを事前に確認し、ご自身にとっての優先事項を判断しましょう。
【例:借入金額500万円の場合】
無担保ローン | 不動産担保ローン | 不動産担保ローン | |
金利 | 15% | 7.8% | 7.8% |
期間 | 10年 | 10年 | 25年 |
月々の返済金額 | 80,667円 | 60,136円 | 37,930円 |
返済総額 | 約968万円 | 約721万円 | 約1,138万円 |
無担保ローンを不動産担保ローンでまとめた場合、借入額が同じで金利が下がれば、借入期間が同じでも月々の返済額は低く出来ます。但し、月々の返済金額を低くするために長期のローンを組むと、返済総額は増えてしまう場合があるので、よく考えて判断しましょう。
不動産担保ローンでのおまとめが向いているケース
不動産担保ローンでのおまとめが向いているケースには、以下のような場合が挙げられます。
・高金利の借入れがある場合
・毎月の返済負担が大きい場合
・複数社からの借入がある場合
高金利の借り入れがある
無担保ローンは金利が高く設定されていることが多くあります。例えば、銀行以外のノンバンク(消費者金融など)のビジネスローンの場合、法定の上限金利で設定されているケースもあります。一方、不動産担保ローンは、無担保ローンと比較して低めの金利設定をされているケースが一般的です。そのため、高金利の借入れがある場合、不動産担保ローンで借り換えすることで利息の負担を軽減できる可能性があります。利息負担を軽減できれば、月の返済金額にも余裕が出来るため、資金繰りの改善につながります。
無担保ローン(カードローン含む)の金利は銀行系で1.5~14.5%)、消費者金融系で3~18%位が目安です。以下に目安の比較表を表します。
無担保ローン、無担保カードローン | 不動産担保ローン | |
金利 | 15% | 7.8% |
期間 | 10年 | 10年 |
月々の返済金額 | 80,667円 | 60,136円 |
返済総額 | 約968万円 | 約721万円 |
上記の例の場合、返済総額が約247万円軽減できます。
毎月の返済が厳しい
不動産担保ローンは、無担保ローンと比較して一般的に返済期間を長く設定できることが多いため、月々の返済負担を軽減できる可能性があります。無担保ローンでは最長5年~15年程度の返済期間を設けているケースが多いですが、不動産担保ローンは、最長30年~35年の返済期間を設定できる金融機関もあります。適用金利が下がり、借入期間を長く出来れば、月々の返済金額が軽減されるためキャッシュフローの軽減につながります。但し、先述のデメリットの部分で記載しましたが、借入期間が長くなると、返済総額が増えてしまう場合がありますので、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
【例:借入額500万円の場合】
無担保ローン | 不動産担保ローン | 不動産担保ローン | |
金利 | 15% | 7.8% | 7.8% |
期間 | 10年 | 10年 | 25年 |
月々の返済金額 | 80,667円 | 60,136円 | 37,930円 |
返済総額 | 約968万円 | 約721万円 | 約1,138万円 |
複数社からの借入がある
複数社からの借り入れがある場合、借入先をまとめることで返済の管理が楽になります。先述のメリットの部分でも記載しましたが、複数社から借入れをしている場合、毎月の返済日や返済金額を複数管理する必要があります。うっかり返済を忘れてしまうと、督促を受けるほか、遅れた分の遅延損害金を加算して支払う必要が生じるため注意が必要です。おまとめローンを利用して複数の借入先を1社にすることが出来れば、返済管理をしやすくなり、うっかり返済を忘れてしまうことも避けられるでしょう。返済管理を効率化することも大切なことです。
不動産担保ローンでおまとめ時の注意点は?
不動産担保ローンでおまとめする際の注意点を2点解説します。一つは担保になる不動産の所有者が誰か、もう一つは資金使途に制限はないかです。
不動産の名義を確認する
担保になる不動産の所有者が、借主以外の場合には注意が必要です。例えば、家族名義の不動産を担保にする場合、その不動産の名義人が担保設定に同意していることが前提です。お申込時に所有者とも面談させていただき、担保設定に関する同意の意思を確認させていただくとともに、意思能力に問題がないかなど判断させていただくことになります。特に所有者が高齢者の場合、金融機関は慎重に判断させていただきます。また、担保提供者との関係性及び担保提供に関する契約内容が、法的に問題がないかが重要です。例えば、親族が将来その不動産を返還要求する可能性や、担保設定後に問題が生じるリスクがある場合、審査において慎重な判断が下されることがあります。
資金使途に制限はないか
不動産担保ローンでおまとめローンを検討する場合、既存のお借入れの資金使途によっては金融機関で取り扱いを断られるケースがあります。審査基準は金融機関によって異なりますが、銀行系は投資資金のようなハイリスクなものや、ギャンブルなど遊行費として使用されたもの、事業資金や納税資金などは扱いが難しいケースが多いようです。ノンバンクは銀行よりは柔軟に対応していますが各社の審査基準しだいです。お取り扱いできるかどうかは、事前に各金融機関に確認しましょう。
おまとめできない場合の対処法
不動産担保ローンでのおまとめローンの審査に通らなかった場合の対処法について考えてみましょう。金融機関により審査基準が異なるうえ、通常は審査に通らなかった理由を開示してはくれないため、明確な対応は難しい可能性がありますが、考え得る対処方法として、別の金融機関に申し込む、それも難しい場合は弁護士など専門家へ相談するということになります。
ほかの選択肢を検討する
不動産担保ローンのおまとめローン審査に落ちたとしても対策はまだあります。まず検討したいのが、別の金融機関への申し込みです。特にノンバンクのように不動産担保ローンに特化した金融機関は、銀行に比べて審査基準が柔軟でスピーディーな対応をしてくれるケースも多いです。例えば、過去に銀行で審査に落ちた方が同条件でノンバンクに申し込んだところ、年収や勤続年数よりも担保評価を重視された結果、融資が実行されたというケースもあります。まずは不動産担保ローンでおまとめローンを扱っている別の金融機関に相談してみるのが良いでしょう。次に不動産担保ローンではどの金融機関も取り扱いが難しいとなった場合は、無担保のおまとめローンを扱っている金融機関に相談することです。下表のとおり、無担保の場合はそこまで大きな差は出ないかもしれませんが、適用金利が若干でも低く出来たり、月々の返済管理が楽になればメリットが出る可能性があります。
無担保ローン(消費者金融系) | 無担保ローン(銀行系) | |
金利 | 3~18% | 1.5~14.5% |
上限金額 | 300~800万円 | 1,000万円程度 |
審査スピード | 即日~3日程度 | 1週間程度 |
審査基準 | 柔軟 | 厳しめ |
※取り扱い条件については各金融機関にご確認ください。
専門家に相談する
金融機関へ相談した結果、不動産担保ローンまたは無担保ローンでのおまとめローンの利用が出来なかった場合、既存の借入を返済していくほかありません。いきなり収入を増やすことは難しいでしょうから、生活費などを見直して不要な支出を減らす事が重要になります。ファイナンシャルプランナーなどの専門家は生活の見直しの助言をしてくれますので、相談してみるのも一つです。また、生活費を見直ししてもどうにも返済が難しくなってしまった状況の場合は、最終的な方法として、弁護士に相談して債務整理の手続きなどを行うということも考えられます。ただ、これはあくまでも最終的な方法ですので、そうなる前に早めに借入先の金融機関に相談して、支払方法の軽減を相談してみたりするのも大切です。
まとめ
不動産担保ローンでのおまとめローンのメリット・デメリットを解説してきました。おまとめローンは銀行系、ノンバンクと様々な金融機関が扱っているものの、取扱い基準にはかなりの幅があります。無担保ローンの複数の借入を不動産担保ローンでまとめることが出来れば、借り入れ条件次第で月々の返済金額や返済管理の負担を軽減できる可能性があります。その一方で、長期の返済にすると最終的な総返済金額が増えてしまうケースがあるなど注意も必要です。おまとめを検討する場合は、予め金融機関の取扱い基準を確認し、返済シミュレーションをすることが大切です。また、収入と支出のバランスが取れているかなど定期的に見直しを行うことも重要です。
アサックスは不動産担保でのおまとめローンもお取り扱いしています。ご検討の場合はお気軽にご相談ください。