高齢者も不動産担保ローンは借りられる?年齢制限なしで借りられる商品や借りる方法を解説
銀行に相談したものの、年齢面から断られて・・。 まとまった資金が必要だが、どこか対応してくれる金融機関はないだろうか? そのようなときは不動産担保ローンを検討することをおすすめします。一般的には、不動産担保ローンでも年齢制限や完済時年齢を設けている金融機関も多いですが、資金使途や申込人の収入状況によって高齢者でも取り扱いをしている金融機関もございます。 この記事では、高齢者でもまとまった資金を借りる方法について説明していきます。 |
不動産担保ローンに年齢制限はある?
多くの金融機関では年齢制限が設けられていることが多く、特に銀行では完済時の年齢が満80歳以下などの制限が設けられている場合があります。これにより、高齢者が希望する資金を借りにくいケースも少なくありません。
一方で、ノンバンク(銀行以外の金融機関)では、年齢制限を設けていない商品もあり、シニア世代の方でも柔軟に資金を調達できる可能性があります。
年齢にとらわれず不動産の価値を活かしたい方は、ノンバンクの不動産担保ローンも選択肢になり得ます。
どんな人が「年齢制限なし」の不動産担保ローンを利用できる?
では実際に、どんな人が利用できるのでしょうか?
金融機関の視点から、高齢であっても審査を進めやすい方の特徴として下記のような点が挙げられます。
・健康な方
年齢を重ねれば身体的な衰えは必ず出るものですが、皆様の周りにも年齢以上に若々しい方というのもいらっしゃるかと思います。
意思能力、判断能力に問題が無く、特筆すべき病歴も無い方は審査が進めやすいと言えます。
・年金以外の安定的な収入がある方
高齢者の方の多くは、定年退職後は年金収入のみでやりくりをされていると思いますが、事業や就労での収入、アパートや駐車場などの不動産収入、金融資産からの配当など、年金以外の収入がある方は審査を進めやすくなります。
・ご家族の同意がある方
ご高齢の方単独で審査を進めることももちろん可能ですが、配偶者の方、お子様などご家族の同意が得られていれば、金融機関側としては審査を後押しする材料となります。審査を進める中で正式に保証人をお願いするケースもあります。
・担保不動産の価値が高く、不動産価値と融資金額の間に差がある方
不動産担保ローンを利用する場合、不動産評価が高く、担保掛目(不動産評価に対して融資金額がどの程度の割合を占めるか)が低いほど審査が優位に進められます。掛目が高いということは、金融機関にとってはリスクが高く、返済が滞ったりした場合にはすぐに対処しなければならない債権となります。
この担保掛目に注意し、場合によっては融資希望金額を落とすなどの対応が良いでしょう。
年齢不問の裏側にある審査のポイント
上記の内容と重複する部分もありますが、何故多くの金融機関が年齢制限を設けているかと言うと、ローンは「借り入れした人が完済することを前提としている」ためです。
※契約者の死亡を前提とするリバースモーゲージは別の考え方となります。
年齢を重ねれば死亡リスクや健康リスクが高まり、以前のような収入を得られなくなったり、急に収入が途切れてしまったりする可能性が高まります。その可能性がどの程度のものか、万が一のことあった際に取ることができる対処法がどの位あるのかを金融機関側は考えています。
年齢制限のない不動産担保ローンにおいて審査のポイントとなるのは、健康面、収入面、不動産評価及び担保掛目です。これらを総合して審査を進めますが、この中でも大きな役割を占めるのが不動産評価及び担保掛目です。
前述の通り、担保掛目は不動産評価に対する融資金額の割合であり、リスクがどの程度保全できる見込みかを数値化したものとなります。
担保掛目が高い(不動産評価に対して融資金額の割合が高い)場合には、返済が滞ったりした際すぐに回収をしなければならない債権という見方になりますが、もし契約者の方が亡くなられていたとすると、回収に時間を要するケースがあります。
もし担保掛目が低ければ、回収に時間がかかったとしても、またその間で多少不動産価値が下落したとしても、回収は問題無く行えるだろうという判断が働きます。
審査を行う上で、この担保掛目がどうしても高くなってしまう場合には、希望金額を落としていただく、相続人となる方に保証人になっていただくなどの対応をお願いするケースがあります。
高齢者が不動産担保ローンを利用するときの注意点
ここからは、実際に高齢者が不動産担保ローンを利用する際の4つの注意点について説明していきます。
<注意すべきポイント>
・収入面について審査が厳しくみられる
・保証人を求められるケース
・相続対策として借入する場合
・契約内容について確認すべきこと
以下、それぞれの内容について説明をしていきます。
毎月の返済負担は大丈夫?収入源と返済計画
高齢者の方は若い方に比べ、死亡リスクが高く返済できる期間が短くなるため、契約期間は短くなるケースが一般的です。そのため毎月の返済額も若い方が借入するより多くなり、金融機関もその点も考慮したうえで、十分な収入があり、返済能力があるか判断されます。ご自身でも返済能力があるかどうかにを慎重に確認することが大切です。年金や不動産などの安定した収入があっても、無理のない返済計画を立てる必要があります。
保証人や連帯保証人が求められるケースとは
不動産担保ローンの場合、不動産を2人以上で所有している場合には、多くの金融機関で共有者に担保提供(物上保証人)として、契約の参加が求められます。また、高齢者の場合は将来働けなくなって事業収入がなくなってしまうリスクや死亡リスクもあるため、子供など親族の連帯保証人が求められるケースも多くなります。
保証人を立てることで、金融機関は返済リスクを軽減できますが、保証人になる方は重大な責任が伴うため、保証人を依頼する場合には慎重な検討が必要です。
相続対策として考えるべき重要事項
高齢者の中には、将来の相続対策として不動産担保ローンを活用する方もいらっしゃるかと思います。被相続人がローンを組んでいた場合、相続人は相続財産である不動産とともにその債務も引き継ぐため相続財産から負債を差し引くことで節税対策にもなります。
相続人が複数いる場合、現預金だけではなく、負担(借入)付の不動産は誰が相続するのかなど、事前に方向性を示しておくと遺産分割協議がスムーズに進みやすくなります。
契約時に確認すべき細かい条件と落とし穴
団信の適用とならず高齢者が借主となる場合は、ご自身が亡くなった後の契約についても契約前にしっかり確認しましょう。
相続人が債務を引き継いで返済が継続できるのか、一括返済をしなければならないのか。
事前にこれらの内容について家族とともに確認し、トラブルを防ぐことが求められます。
不動産担保ローン以外で高齢者が資金調達する方法
ここからは高齢者が不動産担保ローン以外で資金調達する方法について、他の借入方法についても解説します。
・リバースモーゲージ
・公的制度の不動産担保型生活資金
・シルバーローン
・家族間融資
リバースモーゲージ|住み続けながら資金を得る選択肢
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から定期的に資金を受け取り、契約者の死亡後にその不動産を売却して返済に充てる仕組みです。主に高齢者向けで、老後資金の確保に活用されます。メリットは、自宅に住み続けながら資金を得られることや、返済が原則不要な点です。一方デメリットは、不動産の評価額や将来の市場価格によって融資額が変動すること、相続人が不動産を相続できない可能性があることなどが挙げられます。
不動産担保型生活資金|公的制度を活用した低負担の借入
「不動産担保型生活資金」は、市区町村税非課税世帯などの低所得の高齢者世帯に対して、生活資金を貸し付ける国の制度です。
民間のリバースモーゲージ同様に自宅に住み続けながら老後の生活資金を借りることができますが、民間のリバースモーゲージの場合は55歳以上を対象としている金融機関も多いなか、こちらの商品は65歳以上が対象となります。
シルバーローン|担保不要で利用できる高齢者向けローン
「シルバーローン」とは、主に高齢者向けに提供されるローン商品で、老後の生活資金や医療・介護費用、リフォームなどの目的で利用され、不動産などの担保が不要なことが特徴です。高齢者でも安定した収入や返済能力があれば利用でき、資金使途が比較的自由な点がメリットである一方で、年齢や健康状態によって審査が厳しくなる場合があることや、無担保のため借入限度額が低めに設定され希望する金額まで融資を受けられないことがあります。
家族間融資|メリットとリスクを理解して選ぶべきか
家族間融資とはその名の通り、親子や兄弟などの親族同士でお金の貸し借りをすることを指します。銀行などの金融機関を介さずに行えるため、柔軟な条件で資金を調達できることが特徴です。例えば金利や返済条件を話し合いで自由に決められることや、審査が不要のため迅速に資金調達が可能です。一方、口約束だけで行うと贈与と見なされ、贈与税が課される可能性があることや、返済トラブルで家族間の関係に悪影響を及ぼすリスクもあります。家族間とは言え、契約書(借用書)を作っておくことをお勧めします。
まとめ
今回は不動産担保ローンの審査において、高齢の申込者に対してどのような視点から判断をしているかを解説させていただきました。
高齢化が進む中、「年齢制限なし」の不動産担保ローンは、高齢顧客層に対する資金ニーズへの対応策として、今後ますます重要性を増していくと考えられます。
相続対策や納税資金の確保など、資産を次の世代に承継していく場面においても有効に活用できる可能性もありますので、本コラムがその検討の一助になると幸いです。