不動産担保ローンは家族名義でも申込可能?親や共有名義の注意点を解説

不動産担保ローンは家族名義でも申込可能?親や共有名義の注意点を解説

 

不動産担保ローンは短期間で高額な資金を調達できることが特徴ですが、文字通り融資を受けるに当たって担保となる不動産が必要となります。しかし資金需要者(=借主)が不動産を所有していない場合や、所有していても住宅ローンなどの借入があり、担保としての余力がないケースも少なくありません。そういった場合には、不動産を所有されている方から担保を提供してもらうことで不動産担保ローンを利用できる可能性があります。担保提供の中で最も多いのがご両親をはじめとするご家族の担保提供ですが、自己所有の不動産を担保にする場合と、家族の担保提供の場合とで審査上の観点が異なる部分もありますので、本コラム内で解説していきます。

 

 不動産担保ローンは家族名義でも申込可能?

アサックスではご自身名義の不動産の他、家族名義の不動産を担保に借入することも可能です。家族名義の不動産を担保にする場合には名義人(家族)の同意が必須です。特に何親等以内の関係者までとの規制はありませんが、おおむね三親等以内の方からの担保提供が多いです。返済が滞ると不動産が差し押さえられるリスクもあるため、担保を提供してくださる家族には十分な説明と返済計画についての話し合いが必要です。次章以下で詳しく説明していきます。

 

家族名義の不動産担保ローンとは何か?

家族名義の不動産担保ローンとは、自分以外の家族が所有する不動産を担保にして借入を行うローンのことです。借入申込者本人が債務者としてローン契約を結ぶ一方、家族は「担保提供者」として契約に参加する必要があります。

 

どこまでの家族なら担保として取扱いできるか?

不動産担保ローンで家族名義の不動産を担保として認められる範囲は、金融機関によって多少異なります。一般的には「二親等以内の親族」に限定する金融機関が多いです。

アサックスでは、「何親等以内の親族」までとは限定していないため幅広くご相談いただく事が可能です。

 

本人名義と家族名義の違いと審査への影響

本人名義の不動産を担保にする場合は担保提供者と借入申込者が同一人物のため、手続きが簡素であるため家族名義の不動産を担保にする場合よりは手続きがスムーズです。

一方で家族名義の不動産を担保にする場合は所有者の方の意思確認が慎重に行われるためご本人名義の不動産を担保にする場合と比較すると審査が慎重になる場合があります。

 

 

 家族名義の不動産を担保にするための条件

以下は、金融機関が家族名義の不動産を担保にするための主な条件を簡潔にまとめたものです。

 

1.担保提供者(名義人)の意思確認及び同意:お申込み時にご本人であることの確認に加え、担保提供されること対して慎重に意思確認をさせていただきます。担保設定契約においては、書面での同意・署名・実印押印・権利証の提出が必要になります。

2.金融機関においては二親等以内の親族であることが原則:配偶者、親、子、祖父母、兄弟姉妹など。金融機関により範囲は異なるため要確認。(アサックスでは何親等までの制限はなし)

 

必要書類や手続きの詳細を知りたい場合は、検討中の金融機関に事前に確認されることをお勧めします。

 

所有者の同意と協力が必要な理由

不動産担保ローンで家族名義の不動産を担保にする際に、所有者(名義人)の同意と協力が必要な理由は、以下の通りです。

 

1.担保設定は「所有者の意思」に基づいて設定されるものであり、勝手に他人の資産に担保を設定することは法律上できません。

2.担保に入れた不動産は、万が一返済が滞れば競売や差押えの対象になります。そのリスクを負うのは不動産の所有者なので、十分な理解と承諾が必要です。

3.登記手続き上、抵当権を登記するためには、法務局にて名義人の実印+印鑑証明+登記申請書が必要であり名義人の協力がなければ登記が成立せず、担保として成立しません。

4.トラブル防止のため、名義人が本当に同意しているかを確認するため金融機関は名義人本人と面談する他、登記手続きを行う司法書士も面談することになります。

 

 

必要な書類と申請手続きの流れ

家族名義の不動産を担保としたローンを申し込む際には、申込書の他に名義人の方以下の書類を提出することになります。

 

1.本人確認書類:運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・健康保険証・住民票など。顔写真付きの証明書は1点、顔写真がついていない証明書は2点以上が必要になります。顔写真付きの証明書を優先して求められることが一般的です。また名義人の方がご高齢である場合には前記の他、介護保険証・お薬手帳(直近6ヶ月分程度)などを提出いただき意思能力の確認を行っています。

 

2.不動産関連書類:登記事項証明書(登記簿謄本)など法務局で取得する書類を求められることが一般的ですが弊社ではお客様のご負担を軽減するため、お客様のお手元にある間取図や管理費・修繕積立金のわかるもの・賃貸借契約書・売買契約書・重要事項説明書・工事請負契約書のみのご提出をお願いしております。

 


前記書類をご提出の上申込をいただき、アサックスで審査を経て承認されるとご契約させていただきご契約当日か翌日にはご融資金の実行という流れになります。

 

金融機関ごとの異なる家族名義の条件

​家族名義の不動産を担保にする場合、金融機関によって対応が異なります。以下に、金融機関ごとの傾向をまとめました。​

 

銀行・信用金庫・・・ご家族名義の不動産を担保にすることが可能な金融機関もありますが、あまり積極的ではない金融機関も多いです。取り扱いしている金融機関でも一般的には配偶者、実父母、実兄弟姉妹の所有する不動産を対象としています。また名義人の方は担保提供の他の連帯保証が条件になることが多いです。

 

アサックス・・・ご家族名義の不動産を担保にすることか可能です。名義人との関係は何親等以内の親族であるような条件はありませんが概ね3親等以内の取引が一般的です。担保提供者には連帯保証までは条件にしておりません。

 

 親名義の不動産を担保にする方法

不動産担保ローンはご自身の名義の不動産以外にもご両親が所有する不動産を担保にすることでも利用できます。その場合には、ご両親の承諾が不可欠になりますので事前に承諾をとるようにしましょう。基本的には、お申込みいただく際にお申込人の方と同様ご面談させていただき担保提供の意思確認をさせていただくことからスタートします。

 

親が健在な場合の手続きと注意点

1.金融機関に相談・仮審査申込み融資を受けたい金融機関に「親名義の不動産を担保にしたい」と相談し担保として受け入れ可能かを確認。申込者(あなた)と担保提供者(ご両親)の関係や、収入状況、資産背景を申告。金融機関で取扱いの対象になるかを判断してもらう。

2.両親の同意取得両親とよく話し合い、担保提供の同意を得る。一緒に金融機関に訪問し申込を行う。

3.ご契約・登記手続き金融機関にて融資の承認が出たら、金融機関に訪問し金銭消費貸借契約及び担保設定登記の手続きを行う。担保設定登記の手続きは、司法書士が両親と面談して意思確認を行います。高齢であっても判断力が明確なら問題はありません

 

 

親の高齢時に考慮すべき判断能力の問題点

1.判断能力の低下高齢者の中には、認知症や精神的な衰えによって、判断力が不十分な場合があります。このような場合、契約行為や担保提供などの重要な意思決定ができない場合や契約行為自体が法的に無効とされることがあります。よって金融機関では名義人の方の意思能力に問題ないかは慎重に判断することになります。

2.成年後見制度の利用両親の判断能力が十分でない場合、成年後見制度を利用することが考えられます。この制度は、認知症や高齢による判断能力の低下が見られる人に対して、法的代理人(後見人)を立てる仕組みです。成年後見人は両親に代わって法的な手続きや契約を行います。家庭裁判所に申し立てを行い、後見人を決定する必要があります。

 

親が亡くなった後の不動産を担保にするには

1.相続の開始まず、未相続の不動産とは、相続が開始されているものの、相続人に名義変更がされていない状態です。この場合、相続人はその不動産を担保にすることは原則できません。相続開始とは、相続人が亡くなった時点で自動的に発生します。不動産の登記名義が相続人に変更されていないと、名義人としての権限がありません。

2.相続登記の実施未相続不動産を担保に使うには、まず相続登記を行い、相続人が正式にその不動産を所有することが必要です。相続登記がなされることによって、相続人が法的にその不動産の所有者として認められます。相続登記は、被相続人(亡くなった人)の死亡後に行う必要があり、登記をしないと不動産を担保にすることはできません。相続登記の申請は、遺産分割協議書に基づき、相続人が行うことになります。

 

手続きに必要な書類:被相続人の死亡証明書、戸籍謄本(被相続人と相続人のもの)、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書(相続人全員の合意が必要)あるいは遺言書、不動産の登記簿謄本(登記簿謄本)

 

 共有名義の不動産を担保にする際の注意点

共有不動産に担保を設定する場合、原則全ての共有者の同意が必要です。

共有名義の不動産は、一見すると「一つの物件」ですが、法律上は複数の人がそれぞれ「持分」という形で所有しているものです。この構造が原因で、不動産の利用や処分が複雑になるため担保に入れるには原則全員の同意が必要となる理由につながっています。

 

共有名義の複雑さとは?

共有不動産は多くの場合、物理的に部屋ごとに分けるなどせず、法的に「持分」だけに分かれている状態です。よって共有物について修繕や売却や利用方法の変更など何かを決める場合、共有者の同意が必要になります。

 

 

共有者全員の同意が必須である理由と根拠

共有名義の不動産を担保にする場合に「全員の承諾が必要」とされる理由は、担保にするという行為が不動産の「処分」にあたるためです。以下に法律的な根拠と理由をわかりやすく説明します。

 

1.法的な根拠:民法第251条(共有物の処分)「共有物の変更は、共有者全員の同意によらなければならない。」

2.担保設定(抵当権設定)は「変更=処分」にあたる担保(たとえば抵当権)を設定することは、不動産の価値を制限する行為です。債務不履行時には、不動産が競売にかけられて所有権を失う可能性があるため、「処分」に近い重大な影響を持ちます。

 

したがって、一人の共有者が自分の持ち分だけに抵当権を設定することは可能ですが、
不動産全体に抵当権を設定する(担保に入れる)には、全員の合意が必要です。

 

自分の持分だけを担保にできるケースとできないケース

金融機関では一般的には自分の持分だけを担保に融資はしません。それは共有名義の不動産が一見すると「一つの物件」であり、法律上は複数の人がそれぞれ「持分」という形で所有しているに過ぎず、持分のみでは売却することが困難であることからです。

 

アサックスでは、お客様のご要望からご自身だけの持分を担保としてローンをお取り扱いしております。但し、概ね50%以上の持分を対象にしております。

実際のお取扱い事例は次のようなケースがあります。

担保は兄弟2人で親から持分1/2ずつ相続した駐車場。兄が事業資金を借入するにあたり駐車場を担保に希望。弟は事業に携わっていないため心配をかけないようにと希望から兄の持分のみを担保に融資。

 

共有持分の担保価値はどう算定される?

共有不動産の持分の担保算定とは、共有不動産における個々の共有者の持分に対して、金融機関が担保評価を行うことです。共有不動産を担保にする場合、通常はその不動産全体を担保にすることが一般的ですが、持分だけを担保に設定する場合のポイントと評価方法について説明します。

 

1.共有不動産の持分の担保査定の基本的な流れ共有不動産の持分だけを担保にする場合、金融機関はその持分に対して評価を行います。評価方法は、主に不動産全体の価値を基にして、担保提供する持分に相当する価値を算出する形です。例えば、共有不動産の市場価値が5000万円と評価された場合、あなたがその不動産の1/2の持分を所有していれば、持分部分は2500万円の価値として扱われます。ただし、不動産の持分だけでは、実際の取引や処分が難しくなる可能性も考慮されるため、計算上で出た値よりも評価額が低くなることが一般的です。

 

2.持分の担保評価額が低くなる理由

共有不動産の持分だけを担保にする場合、その担保評価額が低くなる要因は以下の通りです。

(1) 持分の流動性の低さ

共有不動産の持分は、全体の不動産の価値に対して売却や利用が難しい場合が多く、流動性(即座に現金化できる能力)が低いと見なされます。

(2) 他の共有者の権利

共有不動産の場合、持分を担保に設定しても、他の共有者の権利に影響を与えません。したがって、担保設定した共有者が返済できない場合、金融機関がその持分を差し押さえても、他の共有者の権利行使に制限があるため、担保評価が低くなることがあります。

 

 家族名義物件での担保ローン審査のポイント

家族名義の不動産を担保にする場合、その不動産の名義人が担保設定に同意していることが必須です。お申込時に面談させていただき担保設定に関する同意の意思を確認させていただくとともに、意思能力に問題がないか慎重に判断させていただくことになります。

 

担保提供者との関係性及び担保提供に関する契約内容が、法的に問題がないかが重要です。例えば、親族が将来その不動産を返還要求する可能性や、担保設定後に問題が生じるリスクがある場合、審査において慎重な判断が下されることがあります。

 

家族名義物件で審査が厳しくなるポイント

担保提供者が高齢または認知症のリスク

家族名義の不動産を担保にする場合、名義人が高齢である場合、判断能力の問題も審査に影響を与える可能性があります。

成年後見制度: 高齢の親族が担保提供者である場合、その親族が成年後見制度などを利用している場合は、担保提供が法的に問題ないかどうかもチェックされます。

名義人が精神的に健康であり、担保提供の意思があることを確認するため、必要に応じて介護保険証やお薬手帳の提出、専門家(医師)による確認が求められることもあります。

 

家族名義での不動産を担保にする場合でも、名義人の他法定相続人が全員承諾している場合などはトラブルになるリスクが軽減されるため審査は通りやすいと言えるでしょう。

 

連帯保証人としての家族の役割と責任

担保提供者が担保を提供する(物上保証人)と連帯保証人の責任の違いは、保証の対象と責任の範囲において明確に分かれます。

物上保証人は、担保に差し出した不動産の範囲のみで保証責任をおう事になりますが、連帯保証人は借主と同等の責任を全面的に負う事になり借主が払えない場合は、自分が全額返済義務を負うことになります。

 

 具体例で比較

物上保証人の例:自分の持っている土地を提供(担保)した場合。

借主が返済できなくなると、担保として提供された不動産が競売される。不動産の価値が足りなくても、それ以上の金銭請求は基本的に来ない。

連帯保証人の例:連帯保証人になった場合。借主が返済できなくなると連帯保証人が全額を支払う義務が発生。

 

 

担保評価はどう決まる?

担保評価は、金融機関が融資をする際に、提供された不動産などの担保がどれだけの価値を持つかを評価するプロセスです。この評価が適切でないと、融資額が過剰または不足してしまうため、非常に重要です。担保評価を決める際の主な要素について説明します。

 

1. 不動産の市場価値

担保評価の最も基本的な部分は、不動産の市場価値を査定することです。市場価値とは、いくらで売却できるかという金額を意味します。

ただし融資取引は長期間に及ぶことが多いので、金融機関は現在の市場価格のみではなく将来的な価格変動も踏まえ担保評価を判断することが多いです。

 

2. 不動産の法的権利関係

不動産に設定されている権利関係も評価に大きく影響します。不動産に他の抵当権などが設定されていないか、登記簿で確認します。他の債権者が優先する場合、担保評価額が低くなります。また地役権や貸借契約などがある場合、担保評価が下がります。

 

担保評価は、提供された不動産の市場価値や立地、物理的状態、法的権利関係など、さまざまな要因を基に決まります。また、金融機関は担保の流動性やリスクを考慮し、担保割引率を適用して実際の融資額を決定します。

 

 

 よくある質問

不動産担保ローンを家族に内緒で利用できますか?

ご連絡はご指定の連絡先に限定、書類は郵送せず直接お会いしてお渡しするなど柔軟に対応させていただきますので安心してご相談、お申込み下さい。

 

親名義の不動産を担保にローンを組むことはできますか?

担保設定について同意いただけるようであれば担保ローンを組むことは可能です。

 

 まとめ

家族名義の不動産を担保としたローンについてご説明しました。
アサックスではご自身名義でなくても、ご家族名義の不動産を担保とする場合でも柔軟に対応しております。ご家族がご高齢で、ご負担を軽減したいなどのご要望がある場合にはお申込みはお伺いさせていただくなどのご相談にも応じていますので、お気軽にお声かけください。

 

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