住宅ローンと不動産担保ローンの違いとは?

住宅ローンと不動産担保ローンの違いとは?

 

住宅ローンと不動産担保ローンは、どちらも不動産を担保にして借り入れすることができる商品です。住宅ローンは、マイホームを購入する時や建物を建築する時に多くの方が利用しているため、どのような商品かは認知されていますが、不動産担保ローンとの違いについてはご存知ではない方も多いのではないでしょうか。
このページでは、住宅ローンと不動産担保ローンの違いや住宅ローンのメリット・デメリット、住宅ローン返済中に不動産担保ローンを検討する時の注意点などをご紹介いたします。

  住宅ローンとは  

住宅ローンとは、居住用不動産の購入や建物の建築、増改築をする時に利用できるローンのことです。原則として、契約者本人や家族が居住するための住宅を担保とすることができる商品であるため、賃貸中の不動産や遊休地を担保として住宅ローンを利用することはできません。

 

住居は生活の拠点であり必要不可欠なものであるため、その普及を促進し、住宅関連産業を活発にすることによって景気対策につなげるという政策的な背景から、住宅ローンは一般的なローンと比べると金利が低くなっており、長期の返済期間が設けられていることが特徴です。
ローン審査においては、長期間にわたり返済することができるかが重視されており、安定的かつ継続的に収入があることが求められます。

 

住宅ローン商品は、民間の金融機関が提供しているもののほか、住宅金融支援機構が提供している最長35年間固定金利の「フラット35」や財形住宅融資、自治体融資などがあります。

  住宅ローンと不動産担保ローンの違いとは  

まず両者の違いを一覧でまとめると下記の通りとなります。

 

  住宅ローン 不動産担保ローン
対象者 個人 法人・個人
資金使途

居住用不動産の購入

居住用の建物の新築・増改築

資金使途自由
担保不動産 自己居住用の不動産に限定 幅広い不動産に対応
融資金額 1億円以内 10億円以内

金利

(2023年6月現在)

変動金利・固定金利

0.319%~3.230%

変動金利・固定金利

0.850%~15.000%

融資時手数料 0円 ~ 借入金額×2.2% + 55,000円 0円 ~ 借入金額×3.3%
返済期間 最長35年 30年前後
担保設定 第一順位の抵当権を設定

抵当権または根抵当権を設定

第二順位以下でも可

繰上げ返済手数料 無料または条件付きで無料 条件付きで無料または3%以内
審査期間 最短2週間~4週間程度 最短3日~2週間程度
返済方法

元金均等返済

元利均等返済

元金一括返済

元利均等返済

団体信用生命保険 あり なし


とりわけ、以下の二点が大きな違いと言えるでしょう。

 

資金使途
住宅ローンの資金使途は、自宅の購入や建築・増改築に限定されていますが、不動産担保ローンの場合、資金使途は原則自由となっています。住宅ローンと同様の資金使途はもちろん、収益物件やセカンドハウスの購入、リフォーム資金、事業性資金、納税資金、遊休地を活用した老後資金など、様々な資金使途で利用することができます。

 

担保不動産
住宅ローンの場合、担保にできる不動産は自己居住用の不動産に限定されており、建物の耐用年数が十分残っていることや建物の建蔽率・容積率などの遵法性に問題がないことが前提となっています。賃貸併用住宅の場合には、自宅部分の面積が半分以上であるなど、面積割合に制限があることが一般的です。
不動産担保ローンの場合には、自己居住用の不動産以外でも担保にすることができます。利用していない土地や駐車場などの遊休地、アパートやビルなどの収益物件、これから購入する事業用不動産など、様々な不動産が対象となっています。さらに、不動産担保ローン専門会社の場合には、底地(貸宅地)や借地権付建物、共有持分の不動産も取り扱っていたり、建物の耐用年数や遵法性の問題についても柔軟に対応してくれます。

 

アサックスでは、不動産担保ローン専門会社としての長年の実績と経験の蓄積によって、上記不動産は全て取り扱っておりますので、前向きにご相談ください。

  住宅ローンのメリット  

住宅ローンの主なメリットは下記3点です。

 

金利が低い
住宅ローンの最大のメリットは、金利が低いことです。
金融機関ごとに適用条件はあるものの、2021年8月現在、変動金利であれば0.4%未満~、フラット35の固定金利であれば1.28%~の超低金利で借り入れすることができます。歴史的に見ても低い水準の金利であるため、マイホームを購入するのであれば、まずは住宅ローンを検討すべきです。

 

住宅ローン控除で節税可能
住宅ローンを利用することによって、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けることができます。2021年8月現在、当初10年間(適用要件を満たせば13年間)は、借入金の年末残高×1%(上限50万円)が所得税から控除されます。入居した翌年に税務署で確定申告をする必要がありますので、忘れないようにしましょう。

 

万一の場合には団体信用生命保険(団信)で返済できる
一般的に住宅ローンを提供する金融機関の条件として、団信に加入することが必要になります。
団信とは、住宅ローンを借りた人が、そのローンを全額返済できないうちに死亡もしくは所定の高度障害といった不測の事態に陥り、ローンの返済が困難になってしまった際に、そのローンを保険会社が代わりになって金融機関に返済するという保険です。最近では死亡・高度障害の他に、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、七大疾病(+糖尿病・高血圧性疾患・肝疾患・腎疾患)、八大疾病(+慢性膵炎)も保障の対象としているものもあります。
保険料はかかるものの、万一の時にはローンが全額返済となるため、安心して借り入れすることができます。

  住宅ローンのデメリット  

住宅ローンには上記のような非常に大きなメリットがありますが、デメリットとなる主な3点もご紹介します。

 

審査は信用力が中心
住宅ローンの審査では、個人の信用力が重視されます。
不動産の担保力の高低よりも、借主が長期間にわたって返済できることがポイントとなるため、安定的かつ継続的に収入があることが求められます。したがって、アルバイトや派遣社員などの有期雇用形態の方や自営業者で収入が不安定な方の場合には、安定収入がないとみなされ、住宅ローンが利用できないことがあります。
安定収入がある場合でも、返済比率(収入に対する返済金額の割合)が重要なポイントになります。金融機関によって若干の差はありますが、一般的に返済比率は30~35%が基準と言われており、それ以上の返済比率になる場合は、借り入れすることが難しくなるようです。

 

個人での利用しかできない
住宅ローンは、自宅の購入や建築・増改築を目的としているため、借主は個人に限定されています。
法人経営者の場合、購入しようとしている不動産を事務所兼居宅として利用するため、法人名義での購入を検討する方もいます。また、法人名義で購入し、代表者の社宅として賃料を受け取る形態を希望される方もいらっしゃいます。そのような場合、個人が対象となっている住宅ローンを借り入れすることはできないため、別の方法を模索することになります。

 

団体信用生命保険(団信)に加入する必要がある
フラット35を除き、一般的な金融機関の住宅ローンの融資条件として、団信に加入することが必要になることはメリットでもご紹介しましたが、デメリットもあります。
それは、同等の保障内容の保険を民間の生命保険で手当てできる可能性があり、民間の生命保険の方が保険料が安くなるケースがあることです。団信の保険料は、住宅ローンの借り入れ金額に比例しており、借り入れ金額が多くなるほど保険料も高くなってしまいます。
表面的な住宅ローンの金利だけでなく、団信の保険料を含めた金利に注目するようにしましょう。

  住宅ローン返済中に不動産担保ローンを借りられる人  

住宅ローン返済中に不動産担保ローンを利用できるかどうかは、住宅ローンの残高が減っていることが必要です。住宅ローンの残高が減っている状態になった背景としてどのようなことが多いのか、いくつかの事例をご紹介します。

 

借り入れしてから時間が経っている人
住宅ローンを借り入れしてから大分時間が経っている場合には、不動産担保ローンを利用できる可能性があります。長期にわたり返済を続けていくと、住宅ローンの残高も相応に減っていきます。建物は経年劣化の分だけ評価額は下がりますが、土地は経年劣化するわけではないため、ある一定程度の不動産評価額がつくことになります。その不動産評価額よりも住宅ローンの残高が下回っていれば、借り入れできる可能性が高まります。あくまで目安になりますが、返済期限まで10年以下となっている場合には、不動産担保ローンを借りられる可能性があると言えるでしょう。

 

建て替えをした人
元々土地・建物を所有していたり、相続で不動産を受け取った後に、既存の建物を取り壊し、新築で建物を建て替える際に住宅ローンを借り入れした方は、不動産担保ローンを借りられる可能性があります。建て替えた時の借り入れは建築代金のみであることが多いため、土地の評価額の分は余力がある可能性があるからです。建て替えをしてから時間が経っている場合には、より可能性が高まることになります。


繰り上げ返済をしている人
金融機関によりますが、繰り上げ返済が自由にできる住宅ローンも数多くあります。まとまった金額を繰り上げ返済することにより、金利負担や総返済額を減らすことができるメリットがあるため、繰り上げ返済をされている方は多くいらっしゃいます。繰り上げ返済をし続け、不動産評価額を下回る住宅ローンの残高になっていれば、不動産担保ローンを利用できるかもしれません。


不動産購入時に相当の自己資金を出した人
不動産購入時よりも不動産価格が上昇した場合を除き、一般的に不動産担保ローンの融資限度額は、不動産を購入した金額と比べると低くなる傾向があります。不動産担保ローンの融資限度額は、不動産評価額の70%~80%になることが主な理由です。さらに、新築の不動産を購入した場合には、売主である事業者の利益を含めた売買価格となっているため、購入直後に不動産評価額自体が低くなるものです。

 

しかし、不動産購入時に相当な自己資金を出した人は、不動産担保ローンを利用できる可能性があります。現金で持っている場合はもちろん、相続で受け取った不動産を売却して自己資金としたり、元々の自宅を売却して新たに不動産を購入する住み替えをするケースが当てはまるでしょう。そのような場合には、住宅ローンの借り入れ金額自体が少ないため、不動産担保ローンを利用できる余力が見込めることになります。


住宅ローンの借り入れ期間が短い人
昨今の住宅ローンは、返済期間が最長35年間となっていますが、希望すれば短い期間の住宅ローンを借り入れすることができます。収入に余裕があり返済比率に問題がない場合には、20年間の返済期間とすることも可能です。例えば、同一金額で金利が1%の場合、当初借り入れ金額に対する10年後の残高は、35年ローンだと約74%、20年ローンだと約52%まで減ることになります。返済期間が短い場合には、残高が減っていくスピードが早まるため、その分だけ余力があることになり、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まるというわけです。

  住宅ローン返済中に不動産担保ローンを借りられない人  

反対に、住宅ローン返済中に不動産担保ローンを利用することができないケースは下記のとおりです。

 

不動産評価額が住宅ローンの残高を下回っている人
不動産を購入する時に住宅ローンを借り入れし、それほど時間が経っていない場合には、不動産評価額よりも住宅ローンの残高の方が多いため、不動産担保ローンを利用できる可能性は低くなります。ただし、自己資金を相当出していたり、繰り上げ返済をしている場合はその限りではありません。
また、マーケット環境などの理由により不動産購入時よりも不動産価格が下落した場合、住宅ローンを長年返済していたとしても不動産担保ローンを利用できないことがあります。不動産評価額の下落幅と比べ、住宅ローンの残高が減るスピードが同じか緩やかだと、不動産担保ローンを利用できるだけの余力が生まれにくくなるためです。
不動産評価額は、不動産担保ローンを提供している金融機関が査定をするため、住宅ローンの残高を確認してから問い合わせをしてみると良いでしょう。

 

返済能力がない人
住宅ローンを返済する収入があっても、不動産担保ローンを返済する原資がなければ、借り入れすることはできません。住宅ローン以外の借り入れがなく、収入に余力がない場合は不動産担保ローンを借り入れしても返済することは難しいため、不動産を売却する前提での借り入れとなってしまうでしょう。

ただし、住宅ローン以外の借り入れがあり、それを不動産担保ローンで借り換えをする場合には、返済先の金融機関に対して支払っていた返済金額が不動産担保ローンの返済原資と見込まれるため、その範囲内で返済プランが組み立てられるようであれば、借り入れできる可能性はあります。

また、法人の事業性資金を不動産担保ローンで借り入れする場合には、法人のキャッシュフローの中で返済できるかどうかがポイントになります。住宅ローンは個人の借り入れであるため、個人の収入に余力はないものの法人に返済能力がある場合には、不動産担保ローンを利用することができる可能性は高まります。

どのような返済プランが提供できるのかは、金融機関によって異なりますので、担当者に確認するようにしてください。

  住宅ローン返済中に不動産担保ローンを利用する時の注意点  

住宅ローン返済中に不動産担保ローンを利用する時には、どのような注意点があるでしょうか。

 

住宅ローン残高を確認する
不動産評価額よりも住宅ローン残高が下回っていないと、不動産担保ローンは利用できません。不動産評価額の算出方法は、金融機関によって異なりますので、住宅ローン残高を確認した上で、問い合わせをするようにしましょう。

 

第二順位でも借り入れできるかを確認する
金融機関によりますが、不動産担保ローンを提供する条件として、担保順位が第一順位のみとなっていることがあります。住宅ローンを利用したまま不動産担保ローンを検討したいということであれば、第二順位でも取り扱ってくれる金融機関を探すことが必要です。


返済シミュレーションを事前に行う
住宅ローンを利用している場合に限らず、新たな借り入れをする場合には、事前に返済シミュレーションをすることが重要です。不動産担保ローンは長期間での返済ができる商品となっているため、現状に合わせて返済プランを作ることが可能です。返済原資となる収入がどの程度あるのかを把握し、余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。

  まとめ  

住宅ローンと不動産担保ローンの違いを中心にご説明してきました。
住宅ローンを利用していても、残高や不動産評価額次第で不動産担保ローンを借り入れできる可能性は十分にあります。ご自身に当てはまる事例があった方がわかりやすいのではと思い、住宅ローン返済中に不動産担保ローンを利用できる事例をご紹介しましたが、全てに当てはまるわけではありません。
特に、不動産評価額は各金融機関で算出方法が異なります。住宅ローンの残高を確認した上で、不動産担保ローンを利用できるかどうか、問い合わせしてみることをお勧めします。

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