納税資金の融資は受けられる?融資対象や資金を確保する対策をご紹介
突然の納税通知に、資金の確保に悩むことはありませんか?不動産を相続した際の相続税や、無償で資産を受け取った際の贈与税、事業者の所得税や法人税など、自身が想定していた金額以上の税金が課されると、手元の資金だけでは対応が難しい場合があります。あまり知られていないかもしれませんが、事業資金や住宅ローンなどと同様に、納税資金であっても銀行等の金融機関から融資を受けられる可能性があります。 本コラムでは納税資金について金融機関から融資を受けられるケース、受けられないケースについて解説し、融資が受けられない場合の対処法もあわせて記載していきます。 |
納税資金とは何か?
納税資金とは、個人や法人が税金を支払うために必要な資金のことです。
個人の場合、発生する税金は所得税、住民税、固定資産税、相続税などが代表的です。一般の給与所得者(サラリーマン)の場合には、住民税や所得税は給与から天引きをされているケースが多いため、別で資金を確保するというケースは少ないかもしれませんが、年末調整後に発生する所得税の追納や、親から不動産などの資産を相続した際の相続税など、予期せぬ税負担に対応するために資金の準備が必要な局面になることもあります。
個人事業主や法人等の事業者は売上や利益に応じて納税義務が発生します。
個人事業主は所得税、個人事業税、消費税などが、法人は法人税、消費税、法人事業税などが代表的な例で、事業運営の中で資金繰りが厳しい場合あっても納税資金を別途確保しておく必要があります。
融資対象となる納税資金とは?
個人・法人を問わず、納税資金で融資の対象となるか否かは、一時的な資金不足であると判断されることや税額が高額であること、事業や生活に密接に関わる税金であることなどが判断基準となります。
融資対象と見なされやすい税目は個人と法人で異なりますが、個人では相続税が代表的です。相続税は高額になりやすく、手元資金だけでは対応が難しいことから、融資を利用するケースが多く見られます。
法人では法人税、事業税などが対象となります。これらは年間の利益に対して課せられる税金で、原則一括納付が前提となります。前年度に想定以上の利益が出たため、確保していた現金が不足するという事態に陥ることも珍しくありません。こういったケースでは返済能力は十分にあるが、一時的な資金不足ということで融資を検討してもらえる可能性は高くなります。
前提として金融機関から融資を受けるにあたっては、納税証明書の提出が必要となります。そのため、申込時点よりも先にある納税資金を確保するための申込であること、過去の税金は全て完納していることが求められます。
また、あくまでも「納税資金の不足は一時的な資金ショートである」という前提のもとで融資の土台に乗せられるものであるため、融資を受けられたとしても返済期間が1年以内になるケースが多い点は注意が必要です。
納税資金の融資が難しいパターン
一方で、融資対象外となる税金も存在します。具体的には消費税、延滞税や加算税などの税金、自動車税や軽自動車税などの比較的少額で生活や事業に直接影響しにくい税金も融資対象外となることがあります。 ではなぜ融資が難しいのかについて、説明していきます。
ケース① 消費税
消費税は、事業者が顧客から預かった税金を納付する性質があるため、本来は事業資金とは別に管理されるべき性質を持つためです。金融機関は消費税を納税できない状況を「資金管理能力の問題」や「経営状態の悪化」と捉えることがあり、返済能力に不安があると判断されることから、融資対象外となることがあります。
ケース② 延滞税や加算税
延滞税や加算税は、本来の税金に対するペナルティであり、計画的な資金管理不足を示すと金融機関が判断するためです。これらの税は納期限を過ぎたことで発生するものであり、融資を行っても根本的な経営改善につながりにくいと考えられることから、金融機関は融資に慎重な姿勢を取ります。
ケース③ 自動車税や軽自動車税
自動車税や軽自動車税は、税額が比較的少額であり、生活や事業運営に直接的な影響を与えにくいと金融機関が判断するためです。これらの税金は個人や法人の資金繰りに大きな負担を与える性質ではないため、融資の必要性が低いと見なされ、融資対象から外れることが一般的です。
融資が難しい場合の納税資金を確保する対策
納税資金の融資を受けることが難しい場合には、資金確保の対策として、資産売却や資産の活用、親族や知人、銀行以外の金融機関からの借入を検討するようにしましょう。
それでも資金確保の見通しが立たない場合には、管轄する税務署や市区町村に事情を説明し、納税猶予や分割納付の申請を行うようにしましょう。それぞれの対策について説明していきます。
対策① 保有資産の売却や活用
納税資金を確保するために、不動産や株式などの資産を売却して現金化する方法があります。遊休資産などを所有している場合には、まず優先的に検討される方法になるかと思いますが、不動産をはじめ、ある程度まとまった金額のものを売却する際には一定の時間を要します。
早期の資金化が難しい場合には、不動産を担保に融資を受ける「不動産担保ローン」を利用することも一つの手段です。お申込からご融資まで通常1~2週間で対応している会社が多く、早期にまとまった金額を確保するための手段として有効と言えます。銀行以外の金融機関が提供している商品も多く、各社独自の審査基準で対応しているため、銀行等で断られてしまった場合であっても相談をしてみることをお勧めします。
対策② 親族や知人からの借り入れ
銀行等の金融機関や不動産担保ローンでの融資が難しい場合、親族や知人から一時的に資金を借りる方法もあります。この場合、信頼関係を損なわないよう、返済計画を明確にし、可能であれば借用書を作成することが望ましいと言えます。ただし、借りたお金を返済できない場合、関係が悪化するリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。また、贈与とみなされることを防ぐために、適正な利息を設定することが推奨されます。
対策③ 分納(納税猶予)の申請
納税資金の確保が難しい場合、税務署や市区町村へ納税猶予や分割納付を申請するようにしましょう。税務署や市区町村では、経済的な理由で一括納付が困難な場合、一定の条件を満たせば納税を複数回に分けて支払うことを認めることがあります。申請には、財産や収支の状況を示す資料を提出し、納税意思を明確に示す必要があります。その際、分納中の延滞税は軽減されることもあります。ただし、税務署や市区町村の判断によるため、早めに相談することが重要です。
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納税資金の確保を検討する手段として是非ご検討ください。
まとめ
今回は納税資金の確保について、金融機関の融資対象になるか否かについて記載させていただきました。銀行等から納税資金として融資を受けられる可能性はありますが、どんなケースであっても受けられるわけではない点、受けられたとしても短期資金となる点は、改めてご注意いただければと思います。
納税は義務であり、日頃から資金を確保しておくことが望ましいところですが、想定外の事象により資金が不足する事態は往々にして考えられます。そうなってしまった際、どのように資金を確保するのか、資金が確保できない場合にはどのような手段を取ることができるのか。本コラムが対策の一助や参考になれば幸いです。