不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは?リスクからその解消法、選び方まで解説!

不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは?リスクからその解消法、選び方まで解説!

 

不動産担保ローンとリバースモーゲージは、どちらも不動産を担保にすることで借り入れすることができる融資商品です。どちらも徐々に認知が高まってきましたが、それぞれの違いや特徴を詳しく説明できる人は多くありません。今回は、2つの商品の相違点を中心にリスクや選び方を交えてご説明します。

  不動産担保ローンとは  

不動産担保ローンとは、まとまった金額を低金利で借り入れすることができる商品です。不動産を担保にすることで返済期間を長期にすることができるため、余裕を持った返済計画を立てることができます。
一般的な融資商品と比べると、3種類の制限がないことが特徴です。

 

「利用できる人」
法人・個人を問わず、どなたでも利用することができます。金融機関により取扱い基準の差はありますが、年齢や国籍の制限が無い場合もあります。

 

「資金使途」
事業性資金や投資性資金、住宅関連資金、消費性資金など幅広いニーズに対応しています。

 

「担保となる不動産」
不動産の利用状況や種別は問いません。居住用不動産はもちろん、更地や駐車場などの土地、アパートやビルなどの収益物件を含めた幅広い不動産を担保にすることができます。取り扱う金融機関によっては、借地権付き建物や底地、共有持分などの専門性の高い不動産も対象としています。

不動産担保ローンの返済方式は、元金一括返済、元利均等返済、元金均等返済のいずれかとなっており、定められた期限内に元金を返済する仕組みとなっています。

  リバースモーゲージとは  

リバースモーゲージとは、老後資金を充実させることを目的とした個人のシニア層向けの融資商品です。銀行や信用金庫、地方自治体が取り扱っており、自宅を担保にすることで消費性資金や住宅関連資金に利用することができます。

 

他の融資商品と比べると、返済方式に大きな特徴があります。
基本的に契約期間中は利息払いのみとなっており、元金を返済する義務はありません。元金は借入人が死亡した後に、担保となっている不動産を売却して返済することを前提とした商品設計となっているためです。

 

リバースモーゲージは、あらかじめ定められた借入限度額の範囲内であればいつでも借り入れすることができるため、一括で借り入れする方もいれば、年金のような形で少しずつ借り入れを増やす方もいます。レジャーや医療費などで必要となった分だけを借り入れしたり、住宅ローンを借り換えるために借り入れしたりすることができます。年金収入が少なくても利用できるリバースモーゲージ商品もあるため、将来的な医療費や介護費の備えとして利用することもできます。

  不動産担保ローンとリバースモーゲージの違い  

不動産担保ローンとリバースモーゲージは、似ているようで全く違う商品です。
相違点は下記6つとなります。

  リバースモーゲージ 不動産担保ローン
利用できる人

個人のみが対象

年齢制限あり

法人・個人が対象

年齢制限なし(金融機関による)

資金使途

消費性資金のみ

住宅関連資金のみ

制限なし
担保となる不動産 原則自宅かつ戸建が対象 不動産全般

不動産評価額に対する

融資限度額

不動産評価額の50~60% 不動産評価額の70~80%
担保順位 原則順位1番 担保余力があれば順位不問(金融機関による)

返済方法

返済する人

借入人は利息のみを返済

相続人が不動産を売却して元金を返済

借入人が期限内に元金と利息を返済


「利用できる人」
リバースモーゲージは、個人のみが利用でき、年齢も60歳~80歳までが対象となっていることが一般的です。
不動産担保ローンは、法人・個人は問わず、アサックスでは年齢制限も設けていません。

 

「資金使途」
リバースモーゲージは、消費性資金や住宅関連資金のみを対象としています。事業性資金や投資性資金としての利用はできません。
不動産担保ローンは、資金使途に制限を設けていません。
したがって、事業性資金の借り入れや投資物件購入資金の借り入れを借り換える場合には、不動産担保ローンでなければ借り入れすることはできません。

 

「担保となる不動産」
リバースモーゲージは、基本的には借入人の自宅を対象としており、戸建がメインとなっています。マンションは取り扱っていない金融機関が多い印象です。
不動産担保ローンは、自宅か自宅外かにかかわらず、戸建やマンション、賃貸中の不動産などの不動産全般を対象としています。前述のとおり、金融機関によっては専門性の高い借地権付建物や底地部分、共有持分などでもご相談いただけます。
したがって、自宅かつ戸建以外の不動産を担保にして借り入れする場合には、不動産担保ローンでないと対応できません。

 

「不動産評価額に対する融資限度額」
リバースモーゲージは、概ね50%~60%が限度額であり、原則1億円以内となっています。
不動産担保ローンは、不動産評価額の70%~80%が限度額となっています。したがって、多くの金額を借り入れしたい場合には、不動産担保ローンの方がメリットがあります。

 

「担保順位」
リバースモーゲージは、担保順位1番を条件としている金融機関が多いようです。
不動産担保ローンは、原則順位1番を条件とする金融機関もありますが、多くの金融機関は担保余力があれば担保順位が2番以下であっても取り扱い可能です。

 

「返済方法・返済する人」
リバースモーゲージは、契約期間中は利息のみの支払いとなるため、毎月の返済金額を抑えられるメリットがあります。ただし、借入人死亡後に法定相続人が手続きをして元金の返済をする商品のため、借り入れする時に法定相続人の同意が必要になります。
不動産担保ローンは、定められた期限内に借入人自身が元金を返済する商品であるため、審査によりますが法定相続人の同意が不要となる可能性があります。

  不動産担保ローン・リバースモーゲージのリスクと解消法について  

「返済できなくなるリスク」
将来的に収入が減ってしまったり、想定していなかった出費が発生すると、毎月の支払いができなくなる可能性があります。支払いができず延滞となった場合には、金融機関から一括返済を求められるため、借り換えや担保にしている不動産を売却するなどの方法で返済しなければなりません。
借り入れをする前に、様々なシミュレーションをした上で返済計画を立てることが重要です。余裕を持った返済計画を立てることによってリスクを抑えることができるでしょう。

 

「金利変動リスク」
現在の金利は歴史的に見ても低水準となっています。将来的に金利が下がる可能性よりも上がる可能性の方が高いことから、変動金利を採用しているローンは全般的に金利上昇リスクを抱えていることになります。
リバースモーゲージは、ほぼ全ての金融機関で変動金利を採用していますが、不動産担保ローンは我々アサックスと同じように固定金利を採用している金融機関もありますので、リスクを抑える観点からすると固定金利の検討をする価値はあるでしょう。

 

「不動産評価額下落リスク」
どちらの商品も不動産評価額に対して融資限度額を設定するため、評価額が下落すると借り入れできる金額が減少します。特にリバースモーゲージの場合、当初設定された融資限度額が減少すると新たな借り入れができなくなったり、借入金額が限度額を超えていると超過分の元金返済を求められるデメリットがあります。リスクを抑えるために、必要な時に必要な金額を借り入れするようにし、初めから必要以上に借りすぎないようにしましょう。

  不動産担保ローンとリバースモーゲージの選び方  

「不動産担保ローンとリバースモーゲージの相い」でご説明したとおり、利用できるシーンが異なります。
リバースモーゲージが「個人」「消費性資金や住宅関連資金」「自宅かつ戸建」「担保順位1番」を対象としているのに対し、不動産担保ローンは「法人・個人」「資金使途自由」「不動産全般」「担保順位2番以下も可能」と幅広く対応しています。したがって、リバースモーゲージの対象となっていない法人や資金使途、不動産属性、担保順位の場合には、必然的に不動産担保ローンを選択することとなります。

 

リバースモーゲージを利用できる場合には、不動産担保ローンも住宅関連資金などで利用できることとなります。
では、両方の商品を選択できる場合には、どのような基準を設けて選ぶことができるのでしょうか。

 

「毎月の返済金額」
不動産担保ローンとリバースモーゲージの最大の違いは元金の返済方法です。
不動産担保ローンは毎月元金の返済が必要であるのに対し、リバースモーゲージは毎月利息のみを支払い、相続発生時に不動産を売却して元金を返済する商品です。したがって、毎月の返済金額を極力減らしたいのであれば、リバースモーゲージが向いています。ただし、不動産担保ローンでも毎月利息のみを支払い、元金は最終弁済期日に一括返済する「元金一括返済方式」を取り扱っている我々アサックスのような金融機関もあります。

 

「相続人に不動産を残すかどうか」
担保となる自宅を相続人に残したいか否かで選択する方法もあります。
例えば、借入人は自宅で一人暮らしをしており、子供達もそれぞれの自宅を所有している場合には、不動産を残す必要がないという考え方もあります。一方、子供達と自宅で同居しているため、自宅を残してあげたいと考える場合もあるでしょう。
リバースモーゲージは売却を前提としていますが、不動産担保ローンは返済を前提としています。相続人に不動産を残す必要がなければリバースモーゲージ、残したいのであれば不動産担保ローンを選択したほうがよさそうです。

 

「借入金額」

借り入れできる上限金額によって選択する方法もあります。
リバースモーゲージは不動産評価額の50~60%が融資限度額となっており、不動産担保ローンは70~80%となっています。住宅購入資金や建築資金を必要としている場合、融資限度額によって自己資金を出す金額が変わります。融資金額が少なくても手元資金としては十分な金額が残るのであればリバースモーゲージ、手元資金を多く残しておきたいのであれば不動産担保ローンとしても良いかもしれません。

  まとめ  

不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いについてご説明しましたが、いかがだったでしょうか。どちらも不動産を担保にするため、似ていると感じていた方も多いと思いますが、全く異なる商品であることをご理解いただけたかと思います。それぞれの商品を検討するにあたり、メリットやデメリットを吟味した上で借り入れするようにしてください。この記事がご検討されている皆様にとって少しでもお役に立つようであれば幸いです。

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