ワンルームマンションで不動産担保ローンは利用可能?借入条件を解説

ワンルームマンションで不動産担保ローンは利用可能?借入条件を解説

 

投資用として購入したワンルームマンションの一室でも、不動産担保ローンを利用することができるのか疑問に思ったことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ワンルームマンションは、価格が市場性や収益性に左右される部分も大きく、取扱基準も金融機関によって異なります。今回は、ワンルームマンションの一室でも融資が受けられるのかという疑問についてお伝えします。

 

 

 ワンルームマンションで不動産担保ローンは利用可能?

結論から申し上げますと、ワンルームマンションの一室を担保に不動産担保ローンの融資を受けることは可能です。

ただし、担保価値については担保となる一室の価値だけで決まるわけではなく、マンション全体の価値も加味して算出されます。また、担保価値は融資の利率をはじめとした借入条件にも大きく影響します。

・「担保価値」・・・面積、マンションのグレード、築年数、建物の管理状況(修繕履歴)、立地(人気のあるエリアか、駅からの距離など)

・「借入条件」・・・申込者の信用情報、担保掛目(立地や流動性により融資の掛目も変わる)

 

担保価値の決まり方

ワンルームマンションの担保価値は、主に「収益還元法」と「取引事例比較法」によって算出されます。

「収益還元法」は、家賃収入から管理費や固定資産税を差し引いた純収益をもとに、利回りで割り戻して評価を行います。立地・築年数・建物管理状況・入居率なども重視され、都心部の人気のエリアで、駅近や築浅ほど評価が高くなります。

 

「取引事例比較法」は査定対象の不動産とエリア、築年数、部屋の広さなどの条件が似ている不動産が直近でどのくらいの金額で取引されたかを比較し、査定対象の不動産の価格を推定する方法です。

 

金融機関の担保評価で主に使われるのは「積算評価」(=土地と建物それぞれの評価を算出して合算する方法)という方法ですが、ワンルームマンションは土地の持分割合が低いため、積算評価ではどうしても評価が低く出てしまい、実際の市場価格との乖離が大きくなります。

例)収益還元法:1,200万、取引事例比較法:1,500万、積算評価:700万 というようなイメ―ジ

本来金融機関は複数の方法から査定を行い、低い金額を担保評価として取る傾向がありますが、ワンルームマンションの場合には積算評価は参考程度にとどめ、他の評価方法を補正する役割で使われることが多いと言われています。

 

また、ワンルームマンションの評価をする上で重要なポイントは、「需要が限られるため、評価の上昇・下落が起こりやすい」という点です。

ワンルームマンションは投資用(購入者が第三者に賃貸し、賃料収入を得る)の需要がほとんどであり、実需(購入者が自分で住む)での取引が見込みにくいという特徴があります。見込める賃料がそのまま評価に直結するとも言え、エリアの人気が落ちたり築古になっていったりすると、投資家の注目を集められなくなり評価が下落していきます。

実需の物件は景気動向や金融機関の融資姿勢に関わらず安定した取引が見込めますが、ワンルームマンションは経済情勢を含めた周辺環境に左右されやすいという特徴があります。

 

ローンの主な借入条件

借入条件は、金融機関がリスクを管理するための重要な基準であり、先ほど申し上げた担保価値以外に、申込者の信用情報などを総合的に判断して設定されます。

金融機関によっても見方は異なり、都市銀行や大手信託銀行は、審査が厳しい分、優良な方や不動産の場合は高め(70~80%)の掛目を設定することがあります。一方、信用金庫やノンバンク系では、エリアや顧客属性に応じて柔軟に対応する場合もありますが、リスクを抑えるために50~70%程の掛目にとどまることも少なくありません。

ワンルームマンションなどの収益物件の場合には、収益性と賃貸需要の安定性を重視して評価され、学生街にある賃貸アパートなどは需要が安定していると判断され、掛目は70~80%程度。人口減少傾向にある地方の不動産や駅から距離のある不動産などは、掛目が50~60%に制限されることもあります。

 

審査においては銀行は申込者の属性(信用情報、収入状況=返済能力)に重きを置くのに対し、ノンバンクはどちらかと言うと不動産の担保価値を重視する傾向があります。

金利面においては、銀行は1%~4%ほど、ノンバンクは2%~10%ほどが主流となっています。

 

 ワンルームマンションを担保にするメリット

ワンルームマンションを担保にして融資を受けるメリットは、以下のような点が挙げられます。

① 金利が比較的低めに設定され、長期返済が可能

② 「スピーディー」に「自由に使える」「まとまった資金」を調達することが可能

以下、それぞれの項目につき解説していきます。

 

メリット① 低金利・長期返済で月々の負担を軽減

一般的に無担保ローンの場合は利率が5~15%と高く、不動産担保ローンの場合は、不動産を担保にすることで、金融機関にとってリスクが下がるため、無担保ローンと比べ、低金利で融資が受けられます。一般的には、2~10%程で融資が可能です。

また、最長35年のローン返済が可能なため、長期返済により月々の返済額を軽減することができます。

 

メリット② まとまった資金を調達できる可能性

事業資金に利用したい、教育資金に充当したいなど、まとまった資金の融資を受けたい場合、不動産担保ローンなら高額の資金を比較的早く借りられる可能性があります。

一部の金融機関では資金使途を制限している所もありますが、資金使途自由な金融機関もあり、使途の自由度や金額を重視するなら不動産担保ローンを検討してみてもよいでしょう。

 

 ワンルームマンションを担保にするデメリットと注意点

一方、ワンルームマンションを担保に融資を受ける場合に以下のようなデメリットと注意点も紹介します。

・返済不能時に物件を失う、競売のリスク

・金融機関によって取り扱い基準に差が出やすい

・固定金利か変動金利かにより返済総額に影響する

 

デメリット① 返済不能時に物件を失うリスク

不動産を担保にしているため、返済不能となった場合には物件を売却して返済をしなければなりません。

返済が滞った場合、金融機関と相談の上任意で売却することもできますが、延滞日数が嵩むと金融機関により競売の申し立てを受け、競売により物件を失うことになります。

不動産という大事な資産を失わないためにも、事前に無理のない返済計画を立てておくことが重要です。

また、ワンルームマンションは自己使用よりも賃貸物件として賃料収入を得ているケースが多いものですが、物件からの賃料収入を返済原資として考えている場合には、空室時のリスクなども考慮した上で返済計画を立てる必要があります。

 

注意点① 金融機関による評価基準や金利の違い

先述の通り、ワンルームマンションはファミリータイプのマンションや一戸建てと比較すると需要が限られる傾向があるため、金額の上昇・下落幅が大きく担保(=長期間に渡って価値を維持することを期待される)としての安定性はやや劣ると言えます。

そのため、取り扱いをしていない金融機関もあります。銀行の審査においては不動産よりも申込者の属性が重要視され、ノンバンクの審査は不動産のエリアや物件のグレードが重要視されるようになります。

 

  銀行 ノンバンク
掛目 60%~70% ただし申込者の属性によっては80%~90% 50%~80% 不動産のエリアなどによって上下
金利 年1~4% 年2~10%
期間 30年~35年 ただし不動産の築年数によって減少の可能性あり 30~35年
審査基準 申込者の属性を重視 担保不動産の評価や収益性を重視

 

注意点② 金利方式の選択が返済総額に影響

ローンを組む際の金利方式についても注意が必要です。

固定金利は、返済期間中ずっと金利が一定で安定しているため、将来の計画が立てやすく金利上昇局面では安心感がありますが、変動金利よりも金利が高めに設定される傾向があります。一方、変動金利は市場金利に連動して定期的に金利が見直され、借入後に金利が下がる可能性もあれば、上がるリスクもあります。

 ワンルームマンションの場合、都心部のエリアと地方のエリアでは年間の利回りに10%以上の違いがあり、地方のエリアは利回りは高くなりますが、その分空室リスクも高くなり、場合によっては、自己資金の持ち出しが必要になるケースもあるかもしれません。安定を重視するなら固定、金利が低いうちに返済を進めたいなら変動が選択肢になります。

 

 まとめ

ご所有のワンルームマンションの一室を担保に不動産担保ローンを利用することは可能です。ただ、マンションの立地や、グレード、築年数などにもよって評価が異なるため、評価が低くなってしまうと融資が受けられないこともあります。

収益物件の場合は、収益還元法で査定されることが多いので都心部などの人気のあるエリアだと収益性のある不動産と判断され融資を受けやすいですが、郊外で人気のないエリアだと収益性も低く、評価も低くなってしまい、場合によっては融資が受けにくくなるケースもあるため、事前に融資先の担当者に相談のうえ進めることをお勧めします。